第十八話 本格介入
町に足を踏み入れると、空気が変わっていた。
市場は騒然とし、結界は不安定に点滅。
屋根の上、屋敷の中、聖堂の黒衣たちが姿を見せる。
今回は観測ではない。本格介入だ。
「秩序を乱す者は排除する」
一人が低く告げる。
複数の追跡者が魔力を展開し、町全体を制御しようとする。
私はミリアの手を握る。
「落ち着いて。変えられる」
手をかざすと、魔力の流れが見える。
歪みは巨大だ。
街全体、魔力循環、信仰の結界、人々の生活――すべてが絡み合い、放置すれば破綻する。
ミリアは手を振り、光を放つ。
昨日より強く、安定した光。
彼女自身の意思が作用している。
私は補助に徹し、微細な循環を調整する。
追跡者たちは攻撃を仕掛けるが、成立条件を変えられ、魔力は無効化される。
直接戦闘ではなく、状況を変える――
静かな無双。
住民たちは混乱しながらも安全。
聖堂の介入は力ではなく、観察と圧力に留まるしかない。
ミリアが小さく笑い、光を安定させる。
「できた…?」
「うん、上手くやれた」
手を握り返す。
夕暮れ、町は変化を受け入れたかのように静かになる。
秩序の形式は崩れたまま、だが世界は少しだけ安全になった。
そして私たちは歩き続ける――次の歪みへ、次の戦いへ.




