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第十六話 秩序の圧迫

 町に入ると、すぐに異常に気づいた。


 市場では魔法の噴水が逆流し、結界の光は点滅し、住民たちは混乱している。

 小規模ではなく、街全体が歪んでいた。

 人々の生活と魔力の流れ、信仰組織の介入が絡み合い、正常を保てない状態だ。


 ミリアが私の手を握る。

「どうするの…?」


「変えるだけ」


 手をかざす。

 魔力の流れが視える。

 矛盾、干渉、無駄なループ――複雑すぎる構造も、私の中では“変えられる歪み”だ。


 町の広場で、聖堂の代表者たちが待っていた。

 表情は冷たく、目は監視と圧力を示す。

 言葉は少ない。行動で制そうとする。


「あなたの干渉は、秩序を乱す」

 一人が声を上げる。

 だが、私は手を止めない。

 歪みを巻き戻し、魔力循環を再構築する。


 攻撃ではなく、制御。

 成立条件を変え、秩序の形式に逆らうのではなく、状況そのものを変える。

 静かな無双。


 住民は混乱しても安全。

 聖堂は介入できず、観察に留まる。

 力で押さえつけるのではなく、状況を変える――

 それが、私のやり方だ。


 ミリアが小さく息をつき、安心した表情を見せる。

 彼女の力も、少しずつ安定してきている。


 夕暮れ、町は静寂を取り戻す。

 秩序は守られたわけではない。

 だが、世界は少しだけ安全になった。

 そして、私たちは歩き続ける――次の歪みへ.

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