第十四話 揺れる力
夜明け前、森の小道を進む私たちの前で、微かな光が揺れた。
ミリアの手からだ。
小さな魔力の残滓――だが、明らかに彼女自身の意志が絡んでいる。
彼女は恐る恐る手を振ると、光はふわりと宙に浮いた。
「……動いた」
私の心に、小さな震えが走る。
まだ制御は不完全。
だが、魔力を奪われていた少女が、初めて自分の力で変化を起こした――
それは希望であり、警告でもある。
背後で、聖堂追跡者の気配。
今度は間近。
屋根の上から、複数の視線が光を追う。
前回よりも本格的な接触の兆し。
私はミリアの肩を軽く抱き、声をかける。
「落ち着いて。魔力は怖くない。変えられるだけ」
ミリアの手が少しずつ光を安定させる。
小さな制御、微細な循環の調整。
私が教えたことではない。
彼女自身の意思が作り出す変化だ。
追跡者は警戒しつつも、直接介入できず、観測に徹する。
彼らにとって、魔力を持つ者を“制御されないまま存在させる”ことは許されない。
しかし、私が介在する限り、無理に攻撃はできない。
ミリアが私を見上げる。
「……私、ちゃんとできてる?」
「うん、上手くやれてる」
小さな笑み。
森の中、光は静かに揺れ、二人の魔力循環は調和する。
まだ道半ば。
だが、世界の歪みを変え、守る力は確実に育っている.




