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第十三話 秩序の交錯

 大きな町に到着した瞬間、魔力の混乱が目に入った。


 市場の噴水は逆流し、街路灯の結界は点滅し、商人たちは小さな魔法事故に困惑している。

 ここは前回より複雑だ。

 人間と魔法の流れ、社会の秩序、信仰の介入――すべてが絡み合い、歪みを増幅していた。


 ミリアは私の手を握る。

「大丈夫?」


 私は短く頷く。

 焦る必要はない。

 静かに、しかし確実に変える。


 手をかざすと、魔力の流れが視える。

 矛盾、干渉、無駄なループ。

 複雑すぎるほど複雑な魔法構造も、私の中では整理可能な歪みとして扱われる。


 背後で音がする。

 屋上から、聖堂の追跡者たちが複数、観測陣を敷いている。

 今度は単なる監視ではなく、介入の兆候がある。


 一人の追跡者が声を上げる。

「ここまで放置するつもりか。秩序に逆らう者は――」


 言葉は届かない。

 魔力の流れを変える私の指先が、すべての歪みを巻き戻す。

 攻撃も秩序も、成立条件を変えられ、無力化される。


 町の人々は混乱の中で生きる。

 それでも、誰も傷つかない。

 変えるのは、状況であり、秩序の形式ではない。

 静かな無双。


 ミリアが小さく息をつく。

 安心しているのか、まだ混乱しているのか。

 その表情を見て、私は考える。

 ――世界の歪みを変えること、それが私にできる唯一の救い。


 追跡者たちは、再び撤退する。

 戦闘ではなく、圧力と観測。

 次の行動は世界の判断に委ねられる。


 夕暮れ、町全体の魔力循環は安定する。

 秩序は変わった。

 人々は知らない。

 でも、世界は少しだけ安全になった.

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