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第十話 小さな歪み

 道中、古びた村に差し掛かった。


 小さな広場で、子供たちが魔法の球体を遊んでいる。

 だが、球体の魔力循環がおかしく、近くの井戸や水路に微細な干渉を起こしていた。

 目には見えない小さな歪みだが、放置すれば大きな問題に繋がる。


 ミリアが声を上げる。

「どうするの?」


 私は手をかざすだけで十分だと考えた。

 小さな流れを調整する。

 球体は正常に動き、井戸の水は澄み、魔力の干渉は消えた。


(直すのではない。変える)


 子供たちは驚き、少し拍手する。

 だが、村の長老は眉をひそめる。

 魔法の“操作”は、教えられた秩序の外。

 彼女の目には、異端の存在として映っている。


 長老は、私に問いかける。

「あなたは…何者なのか?」


 言葉は不要だった。

 手を動かすだけで、異端は理解される。

 反論も攻撃もなしに、秩序を変える――

 それが、私のやり方。


 村を後にすると、背後に再び気配を感じる。

 聖堂の監視者が、影のように続いている。

 直接の衝突は避けつつ、行動は記録される。


 ミリアが小さくつぶやく。

「でも…守られてるんだよね?」


 私は頷く。

 守るために戦うのではない。

 世界の歪みを変えること、それだけで守れる。


 夕暮れの街道を歩きながら、思う。

 ――歪みを変えることが、誰かの未来を救う。

 戦わず、叫ばず、ただ静かに.

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