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その番犬、狂暴につきまして。  作者: 朱音小夏


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episode7

オレの祈り虚しく、迎えは黒塗りのベンツだった。

周りの生徒達がなんだなんだと騒いでいる輪に近づくと、車の外で待機していた若衆が「若!京司さん!」と大声で呼んだ。すると人集りの輪が解けオレ達に道が譲られる。


「入学式お疲れ様です!宴会の準備が出来てるんで、早く組へ帰りましょう!」

「...五十嵐組って本当に何かとこじつけて宴会したがるよな。」


オレがボソッと呟くと叶弥は「そーでもなくね?」と言う。


「だってお前の誕生日はともかく、オレの誕生日までどんちゃん騒ぎじゃねーか。」

「そりゃお前、未来の若頭補佐の誕生日は祝わねーとだろ。」

「そうですよ!京司さんはオレ達の女神ッス!」

「...女神って...」


若衆の言葉に呆れながらオレは車内で頬杖をつきながら外の景色を眺めた。これからこの道を通うのかぁ、とボンヤリしている内に車は組へと帰ってきた。車を門の前に横付けし車のドアが開かれ外へと出ると、組の若衆が屋敷へと続く道に並んで一斉に「おかえりなさい!若!京司さん!」と声をかけてきた。すると奥の方から凛太朗さんが杖をつきながらオレ達の所までやって来た。


「おかえりさん。叶弥、京司。」

「ただいま、オヤジ。」

「ただいま帰りました。凛太朗さん。」


オレ達はあいさつを交わし終えると凛太朗さんに連れられ大広間までやって来た。そして各々自分の席へと着く。


「えぇー、今日は晴れて叶弥と京司の高校入学の日だ。めでてぇ日だから皆、無礼講で楽しく呑んでくれ。それじゃ、乾杯!」


凛太朗さんのかけ声をかわきりにそこら中から「乾杯!」「おめでとうございます!」と声が上がった。そうして、楽しい宴会が始まるのであった。

オレは凛太朗さんの元へ行きお酌をする。凛太朗さんが「ありがとさん、京司。」と声をかけてくれた。


「今日はありがとうございました。凛太朗さん。」

「京司にはこれから叶弥を支えてもらいながら五十嵐組を盛り上げてもらわなきゃいけねーからな。ホラ、京司。お前も呑め。」

「いや、オレは...」

「いいじゃねーか京ぃ。お前も呑めよォー。」


凛太朗さんに酒を勧められるのを断ろうとすると叶弥がビール片手に絡んで来た。


「叶弥...お前は未成年と言う自覚をだな...」

「良いじゃねぇーかよ。今日はめでてぇ日なんだからよォー。」

「そうだぞ京司。かたっくるしいのは無しだ。」

「...じゃあ一杯だけ。」


そう言いオレは凛太朗さんに勧められるがまま日本酒を一気に煽った。


「いい呑みっぷりだ。」

「ありがとうございます。」


宴会が始まって3時間。凛太朗さんの「今日はお開きにするか」と言う言葉にどんちゃん騒ぎをしていた連中は背を正した。


「それじゃあ、叶弥、京司。今日は本当におめっとさん!」


凛太朗さんの言葉をかわきりにそこら中から「おめでとうございます!」と声をかけられ、凛太朗さんから「二人は部屋でゆっくり休め」と言われたのでオレと叶弥は大広間を後にした。

オレが自分の部屋に入ろうとすると何故か叶弥までオレの部屋に入ってきた。


「自分の部屋行けよ。」


そうオレが言うと「んー」と声を上げながらオレを抱きしめ肩に頭をグリグリと押し付けてきたのだった。


「おい、酔っ払い。いい加減に...」


オレが声を上げようとした時なんと叶弥はオレにキスしてきた。


「んぅ...やめ、」

「やめねぇー」


叶弥は強引にキスを続けてきてオレをベッドに押し倒そうとした。その時だった。若衆が廊下で「若ー!スマホ忘れてますぜー!」と叶弥を呼んだ。叶弥は「チッ」と舌打ちをするとオレの頭をガシガシと撫でつけ「おやすみぃ」と言い部屋を出て行ったのだった。...オレは助かったと肩を撫で下ろすのであった。

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