episode6
こうして無事?出席確認を終えると、大森に引き連れられ、校舎案内となった。そこでは並び順なんて関係ない様で叶弥がオレの元へやって来る。
「京ー。お前早速目ぇつけられてんじゃねぇか。」
「...お前も人の事言えないだろ。大森、あえて口には出てなかったけどお前の金髪見て眉間にシワ寄せてたぞ。」
「マジか。」
そう軽口を叩き合いながら校舎案内を終え教室へと戻ってくると、教科書配布やらなんやら細々としたものを行い今日は解散となった。
オレは貰った教科書を机の中に突っ込んで帰り仕度をする。すると、大森が「五十嵐ー、田河」ーと呼んできた。
「お前らちょっと居残りな。教室で待ってろー。」
そう言い残し大森は一度教室を出て行った。
「なんなんだろーなぁ?オレ達まだ何もしてなくね?」
「まだって...オレからも頼むから高校生活は平穏に送ってくれ...。」
「それは周り次第じゃねぇーの?」
しばらくすると教室にはオレと叶弥だけが取り残され、皆帰って行った様だった。すると大森が校長を連れて戻って来た。
「いやぁ、待たせたな。スマンスマン。」
「君達が五十嵐 叶弥君と田河 京司君かな?」
校長がそう尋ねて来たので「そうです。」と肯定する。すると校長は笑顔になりながら話しを続けた。
「いやぁ、五十嵐君のお父さんには学生時代よく助けられてね。」
その言葉にオレと叶弥は驚愕した。どうやら校長と凛太朗さんは学友だったらしい。
「お父さんはね、極道の人間だからと最初のうちは腫れ物の様な扱いを受けていたんだけどね。それでも彼の面倒見の良さと人間性であれよあれよと人気者になったんだよ。」
「オヤジが...」
「私もね、イジメられていた所を何度も助けてもらったよ。それで息子さんである叶弥君には謝らねばならない事があってね...」
「謝らねぇといけない事?」
叶弥もオレも校長の言葉に疑問を持った。
「お父さんが足を悪くして杖無しでは生活出来なくなってしまったのは、私を庇ったせいなんだ。本人にも謝罪はしたんだが、気にしなくていいとしか言ってくれなくて、ずっと気がかりでね...息子である叶弥君にも謝罪したくて時間をとってもらったんだ。...本当に申し訳ない。」
校長はそう言うと叶弥に対して頭を下げた。
「別に校長先生が悪いわけじゃねぇーし、オヤジも気にしてないと思うんで、謝罪だなんていらねっすよ。」
「叶弥君...」
「それにオヤジがちょっと不自由になった所で、組にはデケェ大人達がいるんで、困った事も無いし大丈夫っす。」
叶弥は「それに...」と言葉を続ける。
「オヤジは人助けが趣味みてぇなもんだし、気になんて全然してないっすよ。」
「そうですよ校長先生。オレも凛太朗さんから助けていただいた身ですけど、あの人はお礼とか謝罪とか見返りを求めるような人じゃ無いです。」
「...そう言ってもらえると心が軽くなるよ。...ありがとう。」
校長の礼を聞き、オレと叶弥は顔を見合い笑った。
「君達二人にはのびのびとした高校生活を送ってもらいたい。何か困った事があればここに居る大森先生達を頼っていいんだからね?もちろん、私でも構わないよ。」
校長は憑き物が落ちた様な穏やかな笑みを浮かべそう言った。
「時間をとらせてすまなかったね。気をつけて帰るんだよ。」
そう言うとオレ達二人を残し校長達は去って行った。
「んじゃ、オレ達も帰るとしますか。迎えが来てるみてぇだし。」
叶弥はスマホを見ながらそう言った。...黒塗りのベンツでない事をオレは祈るばかりであった。




