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その番犬、狂暴につきまして。  作者: 朱音小夏


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episode4

黒い髪をサラサラと靡かせ学校へと向かう。

今日の入学式を祝うかのように桜の花びらが風に煽られ舞っている。

オレの隣には少し長めの金髪を後ろで一括りにして気怠そうに歩いている叶弥がいる。


「朝っぱらから疲れた...」

「凛太朗さんじゃ無いけど、ホントお前ってオレの事になると子供の頃のガキ大将みたいになるよな。」

「...ウルセェ...」


オレが叶弥にそう言うと叶弥は力無く項垂れるのであった。そんな叶弥にオレは追い打ちをかけるような言葉をかける。


「いいか、叶弥。中学の時みたいに誰彼構わずケンカ売るなよ?」

「...それは京にも言える事じゃねぇか?」

「オレはケンカを売ったことは無い。...買いはしたケド。」

「売るのも買うのもケンカには違いねェじゃん。」

「...屁理屈言うな。」


オレは叶弥に軽い蹴りを入れる。それに対し叶弥は笑いながら甘んじて受け入れる。


「イテェ(笑)」

「痛くないだろ、バァカ。」


そうこうしている内に、二人が新たに通う高校へとたどり着いた。オレ達が校門をくぐりぬけると...そこは男、男、男。そうオレ達二人がこれから通うのは男子校である。


「...ムサ苦しいな...。」

「あぁ...」


そんな男の群れの中にオレ達は身を投じた。

この高校はオレ達の通っていた中学から進学する者が多かったので、オレと叶弥の噂は知れ渡っている様で、あちこちから視線を感じるのであった。


「なぁんか視線がウルセェな。」

「これじゃ平和な高校生活は送れそうにないな...」


叶弥に同意するとオレ達は遠い目をしてしまった。サラバ、平穏。

そうしていると、オレ達の元に大男が三人姿を見せた。


「おぅおぅ。五十嵐組の坊ちゃんとそのチワワじゃねぇか。」


男の一人がそう言うと別の男が叶弥の胸ぐらを掴んで腕を振りかざした。その瞬間、叶弥は笑みを浮かべ、オレは咄嗟に男の顔面めがけ力いっぱい拳をめり込ませた。すると勢いが良かったのか、男の身体は吹っ飛んでいった。


「オレの愛犬ナメんじゃねぇよ?」

「犬って言うな。」


オレに吹っ飛ばされた男は鼻血を出し、前歯が一本おジャンとなった。そして意識もどこかに飛んでいったらしい。

仲間の男達はそんな様子を見て、大きな身体を震わせながら校舎へと逃げていった。


「あーあ、やっちまったな、京。」

「...オレにヤラせる気満々だったクセに。」

「まぁまぁ。...ありかとな京。」


叶弥はオレに優し気な笑みを向け礼を言ってきた。

それに対しオレは擽ったさを感じ、小さく「...おぅ」とだけ返すのだった。


「それじゃ、鮮烈な高校デビューも果たした事だし、校舎に向かうとするかねぇ。あ、まずはクラス確認しねぇとか。」

「何かイヤな予感がする...」

「イヤって何だよ、イヤって。」


オレのイヤな予感とはただ一つ。中学の噂が原因で三年間叶弥と離れること無く同じクラスになると言う事だ。...実際、中学の時は小学生の頃ガキ大将だった叶弥をオレが宥めていたため、中学生活を三年間共にする羽目となったのだった。


「オレは京と同じクラスじゃねーとイヤだけどなァ。」

「...ハァ。言ってろ。」


そうしてクラス発表がされている掲示板へと来ると案の定、オレと叶弥は同じクラスとなっていた。

...これから三年間、平和を祈るばかりであった。

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