episode3
そんな夢から目を覚ますとオレは涙を流していた。
涙なんていつぶりだろう...そう思っていると部屋の扉が開かれた。
「京、早く仕度しねぇと入学式に遅れるぞ。」
「悪い叶弥。急いで仕度する。」
「...ってお前。何泣いてんだよ。"鬼の目にも涙"ってか?」
そう。あれから叶弥と共に体術などを学び、見る見るうちに力をつけていって、中学卒業する頃にはここら一帯じゃ"五十嵐組の番犬"言われ恐れられるまでにケンカの腕を磨いたのであった。
叶弥は叶弥でガキ大将だったのが嘘かの様に、次期組長に相応しい貫禄を身につけていたのであった。
そうしてオレはベッドから降り、真新しい制服へと袖を通す。
「お待たせ、叶弥。」
「おう。...似合ってんな、制服。」
「なんだよ急に...。しかもそんなしみじみと。」
「いや、言いたくなっただけだ。ほら、早く行くぞ。」
「?あぁ。」
叶弥はオレの手をひき屋敷の居間へと向かった。
そこには凛太朗さんを筆頭に、組の若衆達が集まっていた。
「おはようさん、京司。」
「おはようございます。凛太朗さん」
「制服良く似合ってんじゃねぇか。」
「ありがとうございます。」
オレが凛太朗さんへ礼を言うと叶弥がえぼつった様に話しかけてきた。
「何でオレの時と反応違ぇんだよ...オレが言った時は若干呆れてたくせに。」
「凛太朗さんはオレの恩人だから素直に嬉しいだけだ。」
「...オレだってオヤジとそう変わらねぇだろ。」
「なんだァ?叶弥。ヤキモチでも妬いてんのかァ?」
凛太朗さんがそう言うと叶弥は顔を真っ赤にしながら「違ぇし!」と反論した。
「お前も中学上がる頃にはちったァ落ち着いたかと思ったが...ククッ。京司の事となると父親相手でも冷静でいられなくなるもんな?」
凛太朗さんは実の息子である叶弥に対して、まるでオモチャで遊んでいるかの様な対応をする。そのため叶弥は口でも凛太朗さんに適うことはなかった。
それから叶弥が黙ってしまうと若衆の皆がオレに話しかけてきた。
「京司さん!高校入学おめでとうございます!」
「若のこと宜しく頼んます!」
「...ありがとう皆。叶弥の事は任せて。うん。」
実を言うと最初の頃は若衆の連中には歓迎されていなかった。しかし、ケンカを覚え力をつけた中学生の頃に大の大人相手に若衆を一人残らずのした所、将来の若頭補佐へと認められる様になり今へと至るのだった。
「それにしても...京司さんの制服姿、お美しいッス...」
「何だか背徳感を覚えるよな...」
そんな言葉をオレは聞かないフリをした。
「オイ!おめぇら!京に変な目向けんじゃねぇ!!」
「すんません!叶弥さん!」
「オジキに勝てないからってオレらに当たらないで下さい!!」
「...んだとォ?!」
「オイ、叶弥。落ち着け。オレは気にしてない。」
「お前は少し気にしろよ...そんで危機感を持て。」
叶弥は真っ赤な顔で若衆に食ってかかるが、オレの言葉を聞くと、落胆した様な、呆れた様な声でそう言うと方を落としたのだった。
「おい、お前ら、早くメシ食っちまわねぇと遅刻すんぞ?」
「!すみません!ほら叶弥、メシ食おう。」
「...あァ。」
「入学式にはオレが参加するからな!」
そう凛太朗さんが言うと叶弥は「来んな!」と言い返し食事を始めるのであった。




