episode20
どのくらい眠っていただろうか。部屋が薄暗くなっていた。時間を見ようとしたが、ガッチリした腕に抱きしめられていて身体が思うように動かせない。首筋には叶弥の寝息が感じられてくすぐったい。夕食の仕度をさなければならないので、オレは叶弥に声をかけた。
「おい。叶弥起きろ。もう夕方だぞ。」
「んー...京がチューしてくれたら起きられるかも。」
「...何をふざけたことぬかしてるんだ。いい加減にしろ。」
オレは軽く叶弥の頭をこずく。すると力の込められていた腕が緩められたため、オレは上体を起こした。オレに続いて叶弥も起き上がりオレを力強く抱きしめたと思ったら首筋にキスをしてきた。
「...オイ。そういうのは恋人作ってやれ。」
「...ハ?なに。お前、オレが好きでもねぇヤツにキスするとでも思ってんの?誰彼構わずって?」
「叶弥...?何、怖えよ...。だってお前オレに好きだとかなんだとか言ったことねぇじゃねえか。」
オレは叶弥がキスしたり抱きついてきたりするのは、幼馴染みの延長線だったり、落ち着かせようとするためだと思っていた。それ以外の何物でもないと。いつも身近にいるせいで距離感がバグってるだけかと...
「あんだけ熱い言葉投げつけといて、お前以外に目を向けろって?お前はそれで良いわけ?オレは絶対お前以外の人間はいらねぇよ。お前はオレので、オレはお前の物なんだよ。...好きなんだよ。出会った時からずっと...愛してんだ...。」
熱烈な告白にオレは顔が熱くなり下を向いてしまう。しかし、叶弥はオレの顎を持ち上を向かせて自身と無理矢理目線を合わせさせる。叶弥の目は熱を帯びていて見つめられるとこちらが恥ずかしくなる。しかし、叶弥は目線をそらすことはさせずにいる。
「...京司。お前は?お前は違うのか...?あとどれくらい示せばオレを見てくれる?」
「...オレは...よくわからない。...けど、お前が他のヤツといるのを見るのは嫌だ...」
オレは叶弥のシャツを握りながら今のオレの気持ちを伝えた。
「...お前、それが"好き"っていう感情じゃねーの?しかも独占欲もあるみたいじゃねぇか。」
先程まで怖い雰囲気を出していた叶弥だが、おれの言葉を聞き嬉しそうな笑みを浮かべた。
「お前が不安なら何度だって言ってやる。オレは、五十嵐 叶弥は田河 京司を愛してる。」
「...オレも。オレも愛してる。...気付かないで傷つける様なこと言ってごめん...」
「いや、オレも言葉にしなかったのが悪かったな。お前のこと掻き乱したかもしれねぇ。悪かった。」
そう言うと叶弥は力強くオレを抱きしめた。オレはそれに応えるように、そっと叶弥の背中に腕を回した。
「これからは"恋人"としてオレのそばにいてくれ。京司。」




