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その番犬、狂暴につきまして。  作者: 朱音小夏


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15/21

episode15

昼休みが終わると、午後の授業はホームルームだった。なんでも再来月にある体育祭についてらしい。身体を動かすことが好きなオレと叶弥は、体育祭が少し楽しみであった。すると、中学が一緒であったクラスメイトがオレと叶弥を体育祭のメイン競技である"組対抗リレー"に推薦してきたのであった。そのクラスメイトいわく、


「中学の頃の体育祭で五十嵐君と田河君は注目の的だったんだよね!二人とも凄く足速いし!」

「そうなんだ。なら二人で決定でいいんじゃね?」

「...いやいや、他に適任がいるんじゃねぇか?」


オレがそう言うとクラスメイト達は、「田河君、普段の体育の授業でも運動神経の良さが見えてるよ(笑)」と言うのであった。


「...ハァ...目立ちたくねぇ...」

「京。諦めろ。」

「だって、リレーなんかに出るなんて言ったら、組のヤツら全員で観に来る気だろ...?」

「それはまぁ...そーだな...。」


これには叶弥も同意見だったようで、どこか遠い目をしていた。


「えー、てことはこのクラスから組対抗リレーの代表として出るのは、五十嵐君と田河君ってコトで良いかな?」


教壇に立っていたクラス委員長がそう言うと、クラス中から「異議なーし!」と声が上がるのであった。


放課後になると、叶弥はオレの席までやって来た。


「京ー。いい加減機嫌治せよ。決まっちまったもんは仕方ねーじゃん。」

「それについては諦めてる。なんだけど、この表見てくれよ...」

「?...コレ...」


この表は組対抗リレーの各クラス代表の名前が記載されている名簿だ。そこに書かれている一つの名前に叶弥は顔をしかめた。


「..."湊 友樹"...」


そう。この2年の"湊 友樹"という生徒は、オレ達と同じ中学の出身で、...中学時代、オレにつきまとっていた生徒であった。


「コレ、大森に言っといた方がいいんじゃね?」

「...でも向こうが卒業してから接触してねぇし...」

「でもこの前みたいな事が起きてからじゃ遅せぇし、大森も何かあれば言えって言ってたし...話しとくだけ話しといた方がいいって。」

「...そーだな...」


叶弥に説得され、オレは折れる事にした。そして、そのまま二人で教務室へ行き、大森の姿を探した。


「五十嵐?田河?どーした。」


大森はどうやら教務室の外にいたらしく、オレ達の姿を見て後ろから声をかけてきた。そして叶弥が大森に湊 友樹の事を報告した。


「...なる程、中学の時にね...」

「はい。だから京の事気にかけておいてくれねぇっすか?」

「分かった。注意しておくわ。」

「...ありがとうございます。」


オレは少し安堵し息をついた。


「もしあれなら、代表から外す事も出来るが...」


大森はそうは言うがクラスのあの盛り上がりようを見てしまうと...


「い、いえ。そこまでしなくて大丈夫です。クラスの皆もオレに期待してくれてるし、それを無下にはしたくないです。」

「...そうか。」


オレの言葉に大森は少し考えたようであったが、オレの意思を尊重してくれた。


「ま、オレがほかの教師にも情報共有しておくし、安心しろ。」

「...はい。ありがとうございます。」


そうしてオレと叶弥は教務室を後を出て帰路につくことにした。...オレに視線を送って来る人物には気がつかないまま。

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