episode13
大丈夫とは言ったものの、学校へ向かう車内でオレは少し身体を強張らせていた。最初は外の風景を見ながら気を紛らわせていたが、学校に近づくにつれ、最悪な思い出が蘇ってきていた。そんなオレの様子に気がついた叶弥がオレの手を握ってきた。
「...叶弥?」
「京。安心しろ。オレがずっと傍についていてやるから。」
「...うん...。」
叶弥のその言葉と手の温かさで、オレの心は少しずつ落ち着きを取り戻していった。
そうこうしているうちに、ベンツは校門の前へとたどり着いた。
「京、着いたぞ。」
「あぁ。大丈夫だ。行こう。」
ベンツの扉が開かれ、叶弥に手を引かれながら校舎へと向かって歩いて行く。その間、周りの生徒から視線が送られてきたが、オレは気がつかないフリをした。
そうして教室へ入っていくと、騒いでいた生徒達は"シーン"と静まり返った。しかし、次の瞬間、思ってもみない展開に見舞わられた。...クラスメイト達がオレの方へと集まってきて、温かい言葉をかけてきたのだ。
「田河君!大丈夫?!金曜の騒ぎ聞いたよ...怖かったよね...」
「アイツら即退学処分になったらしいから安心して大丈夫だよ!」
「...え?」
「困惑しちゃうのも無理ないよ...。でも、もう害になる様なヤツらはいないから、これからはオレらと一緒に楽しい学校生活送ろう?折角同じクラスになったんだし。ね?」
「...皆...ありがとう。」
クラスメイト達の言葉にオレは礼を言いながら、...気づいたら涙を流していた。
「た、田河君?!大丈夫?!」
「ッ...ご、ごめん。...嬉しくて...」
「なんだよ京。まぁた、昔みてぇに泣き虫になっちまったか?」
「!ウルセェ!」
叶弥の言葉にオレは折角温かい気持ちになったのに水を差され、オレは叶弥の腹部にこぶしを入れた。
「イッテェ!!何すんだよ、京!」
「だ、大丈夫?五十嵐君...」
「京のヤツ、中学の頃から手癖が悪くてさ...て、京!悪かったって!こぶし振り翳すのヤメロ!」
オレと叶弥のやり取りを見てクラスメイト達が笑い出した。オレはそれに気恥ずかしくなってしまって、顔を赤くし下を向いた。
「京?良かったな。良いクラスで。」
叶弥はオレにそう笑いかけながら頭を撫でてきた。
オレは胸を温かくして、クラスメイトに「ありがとう」と笑いかけた。
...オレは皆が顔を赤くしたのには気がつかなかった。




