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その番犬、狂暴につきまして。  作者: 朱音小夏


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13/21

episode13

大丈夫とは言ったものの、学校へ向かう車内でオレは少し身体を強張らせていた。最初は外の風景を見ながら気を紛らわせていたが、学校に近づくにつれ、最悪な思い出が蘇ってきていた。そんなオレの様子に気がついた叶弥がオレの手を握ってきた。


「...叶弥?」

「京。安心しろ。オレがずっと傍についていてやるから。」

「...うん...。」


叶弥のその言葉と手の温かさで、オレの心は少しずつ落ち着きを取り戻していった。

そうこうしているうちに、ベンツは校門の前へとたどり着いた。


「京、着いたぞ。」

「あぁ。大丈夫だ。行こう。」


ベンツの扉が開かれ、叶弥に手を引かれながら校舎へと向かって歩いて行く。その間、周りの生徒から視線が送られてきたが、オレは気がつかないフリをした。

そうして教室へ入っていくと、騒いでいた生徒達は"シーン"と静まり返った。しかし、次の瞬間、思ってもみない展開に見舞わられた。...クラスメイト達がオレの方へと集まってきて、温かい言葉をかけてきたのだ。


「田河君!大丈夫?!金曜の騒ぎ聞いたよ...怖かったよね...」

「アイツら即退学処分になったらしいから安心して大丈夫だよ!」

「...え?」

「困惑しちゃうのも無理ないよ...。でも、もう害になる様なヤツらはいないから、これからはオレらと一緒に楽しい学校生活送ろう?折角同じクラスになったんだし。ね?」

「...皆...ありがとう。」


クラスメイト達の言葉にオレは礼を言いながら、...気づいたら涙を流していた。


「た、田河君?!大丈夫?!」

「ッ...ご、ごめん。...嬉しくて...」

「なんだよ京。まぁた、昔みてぇに泣き虫になっちまったか?」

「!ウルセェ!」


叶弥の言葉にオレは折角温かい気持ちになったのに水を差され、オレは叶弥の腹部にこぶしを入れた。


「イッテェ!!何すんだよ、京!」

「だ、大丈夫?五十嵐君...」

「京のヤツ、中学の頃から手癖が悪くてさ...て、京!悪かったって!こぶし振り翳すのヤメロ!」


オレと叶弥のやり取りを見てクラスメイト達が笑い出した。オレはそれに気恥ずかしくなってしまって、顔を赤くし下を向いた。


「京?良かったな。良いクラスで。」


叶弥はオレにそう笑いかけながら頭を撫でてきた。

オレは胸を温かくして、クラスメイトに「ありがとう」と笑いかけた。

...オレは皆が顔を赤くしたのには気がつかなかった。

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