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その番犬、狂暴につきまして。  作者: 朱音小夏


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episode1

ある日突然、両親を失った。交通事故だった。

両親とオレの三人で散歩をしていた時、飲酒運転のトラックがオレ達目がけて突っ込んできた。オレ達が渡っていたのは青信号の横断歩道で、トラックは赤信号。完全にトラックの運転手の過失だった。トラックはスピードを落とすことがなかったので、オレ達は避けるヒマを与えられなかった。そんな中でも両親はオレを守るように抱きしめてくれた。お陰でオレは事故から3日後に病院のベッドの上で目を覚ます事が出来た。しかし、両親は直に地面に叩きつけられた為即死だったらしい。そんな事を淡々と医師に告げられた。「君はご両親のお陰で骨折を免れる事が出来た。あと二日程で退院する事ができるだろう。」

先程まで淡々としていた医師の声は今度は優しものへと変わっていった。それはオレが呆然としていたからだろう。そんな言葉をオレは他人事の様な顔で聞いていた。医師と看護師が困った顔を見合わせ、「何かあったらナースコールで呼んでおくれ。」と言い残し病室を後にした。

一人ポツンと残された病室でオレはやっと何が起きたのかを理解した。すると途端に涙が頬をつたい始めた。


「父さん...母さん...!!」


一度流れ始めた涙は止まることを知らなかった。

そんな風に泣いていた時、病室の扉をノックする音がした。そしてこちらの返事を待たずに一人の男性が杖をつきながら入ってきて、オレに話しかけてきた。


「初めましてだな坊主。俺はお前の父親の友人で"五十嵐 凛太朗"ってもんだ。」

「いがらし...さん...?」

「そうだ。今日はお前に大事な話があって来た。...えぇっと...」

「京司です。...田河 京司...。」

「そうそう!京司!スマンな、最近どうも忘れっぽくて...お前の父親に散々聞かされてたんだがな。」


凛太朗さんは豪快にガハハと笑いながらオレの頭をガシガシと撫でて話を続けた。


「実はな、お前がいつ目を覚ますか分からないからってお前の親戚共がサッサと葬儀を行っちまったんだ。」

「え...」

「安心しろ。今度俺がお前の両親の眠る墓地に連れて行ってやる。...直接お別れを言えないのは残酷だがな...。」


親戚達がオレを良く思っていないのは分かっていた。

...オレは母親の連れ子だった為だ。そのため次に凛太朗さんの口から出る言葉は想像出来た。


「それでな。お前はまだ8才だ。だから誰がお前を引き取るか言い合いが起きてな...」

「...オレは施設でも構いません。」

「まぁ、聞け。それでもっていても立ってもいられなくてな。お前はウチで引き取ると言ってやったわ!」

「え...」


想像を遥かに超える言葉に思わず絶句してしまった。


「俺にはお前と同い年の息子がいてな。お前さえ良ければ息子の相手になってもらいてぇんだが、どうだ?」

「えっと...」

「突然だから直ぐ答えが出ないのは分かる。施設よりはだいぶマシだと思うぞ?それに田河姓を捨てなくていい。」

「...いいんですか?」

「あぁ。だが一つ言っておくが...ウチは少し特種な家柄でな。」

「特種?」

「実は極道を生業にしていてな。出来たら将来はウチの家業に携わってもらいてぇんだが...どうだ?」

「...はい。ぜひ、お願いします...!」

「ありがてぇ。いい返事だ。よろしくな、京司。」


それから凛太朗さんは「退院する日にまた迎えに来る」と言い残し去っていった。

オレは再び一人になった部屋で目まぐるしい一日だったなと思いしげっていた。


「いいやつだといいな...」


まだ見ぬ凛太朗さんの息子に少しワクワクしてしまった。お陰で両親を失った悲しみがほんの少しだけ和らいだ気がした。

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