異世界へ!
俺はイセカーイ・ジン。この魔法都市一の秀才だ。そんな俺はこの日、遂に異世界へ転移する術式をつくりあげた。
「長かった……これを作るために10年もかかってしまった……
だが!ようやくこの時が来た!」
「開け!Go To イセカイ!!」
辺りがまばゆい光に包まれ、魔法が発動する。
光が収まり、目を開けると、そこには見慣れない風景が広がっていた。
(石の塔、そして変な色の道。間違いない!魔法は成功したぞ!)
強い喜びが溢れてくる。しかし、油断はできない。ここはイセカイだ。どんな人が住んでいるかわからない。もしかすると好戦的な部族が住んでいるかもしれないので、まずは見つからないよう慎重に行動する。
壁を伝ってそろそろと歩いていると、なにやら白髪の老人を見つけた。目立つ模様の杖、派手な服装からして、ここら一体の長老であることは間違いないように思えた。周りには誰もいない。早速接触のチャンスだ。この時のために開発した、言語がわかるようになる呪文を唱え、話しかける。
「おい、私は遥か遠くから来た。話をさせてもらいたい。」
「おうおう、ガイジンさん……おっと、もうこの言い方はよくないんだった、外国の人じゃあないか。どうしたんだ?」
「それではまず、名を名乗ろう。私はジンだ。あなたの名を名乗れ。」
「俺はヨシアキだ。それにしても日本語ペラペラだなぁ。勉強頑張ったんだな。」
「光栄だ。それでは、本題に入ろう。単刀直入に言う。お前たちは、私と友好的な関係を築きたいと願うか?」
「おお。仲良くしたいってことだろ?もちろんだ。そうだ、飴ちゃんでも要るか。」
老人はなにかを手渡してきた。包みを開けると、そこには大粒の赤い宝石が入ってきた。友好の証ということだろうか。
「感謝する。ところで……」
プルルルル!変わった音が鳴り響く。
(なんだ!?一体どこから!?何が起きているんだ!)
「お、すまんな、ガイ……外国人さん。孫からデンワがきちまった。」
老人は服からなにやら板を取り出すと、板が光った。なんてことはない。おそらく魔法の一種だろう。
「おうおう。久しぶりだな。どうしたんだ?電話なんてかけて」
「もしもーし。今日ね……」
板から声が聞こえる。まさか、あの板で空間を繋げたというのか!?空間魔法は魔法の中でも高等なのだぞ!?それをあのように易々と……もしや、この世界の人々は、遥かに卓越した魔法力をもっているのか!?