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第五恒星システム第三大気圏外居住区

ヒロイン紹介:鈴木十三編

鈴木工務店店主鈴木十三はここ第三大気圏外居住区に店舗を構える。

店舗を構えているが、店番をするのは自動応答する機械で、本人はいつも居住区を徘徊している。

(腹減ったな。久しぶりに有機栽培でも食うか)

居住区での食事は、糊状の合成たんぱく質か、植物を加工した肉もどきか、培養成型肉か、

動物を育てて肉にした、有機栽培と呼ばれるものに分かれる。

有機栽培は肉質がまばらで筋があったりして食べにくく生臭さもある上、高価すぎて一部の変わり者しか食べない。


「もうしわけありませんが、当店は3等以下の方はご利用になれません。」


鈴木が目に入った食堂で昼食をとろうとしたところ、接客の機械に門前払いされてしまった。

(そういや服ちゃんとしたの着てこなかったな)

鈴木は徘徊するとき、小汚い格好をするのが好きだ。

ぼろぼろの浴衣に草履に外套。身分証も通信端末も自衛用の電気銃も持たない。


「あーごめんね~まちがえちゃった」


機械に謝罪し、隣にある植物肉の食堂に入る。


『光電交換機軌道帯上でデブリが発生しました。規模は二千トン十億片と見積もられています。当該デブリの当居住区への到達可能性は7σ以下です。第一居住区のみ現実的な到達可能性がありますが、住民の生活への影響はない見積もりです』


鈴木がカウンターに案内されている間、店内に流れる天候ブロードキャストが何らかの事故を伝えている。


(二千トンか。ターミナルがそれぐらいのでかさだがデブリになってるなら仕事にはならんな…)

「鶏風味油少な目400グラム、ライス特盛でお願いします」

「お会計8290円です。お席の正面の端末でお支払いをお願いします」

「あー現金使える?はいこれ」

「承りました。ご提供まで3分ほどお待ちください」


『当該デブリ付近では、内村興業の調査船宙遇が運航しており、関与について内村興業は調査中との発表をしています。

ダイソンスフィア建設機構ならびに仮設都市政府組合が合同捜査本部を設置し、捜査を進める意向です』


(今日は外れかー面白い見た目のやつが一人もいねぇ)


鈴木の徘徊は老後の暇つぶしである。使い捨て(ということになっている)杉田のおかげで、個人がもつには十分すぎる資産を築いている。

暇なのである。

大気圏外居住区は容易に巨大な構造が作れ、環境調整も必要ないが、

地上居住区は工学的なハードルに加え、環境保存にもコストを割く必要があり、大気圏外居住区の2000倍ほどの事故リスクがあるためあまり人気がない。

そのため、恒星システムの9割の住民は大気圏外居住区で生活している。


巨大なうえに密であるため、いくら徘徊しても行ったことのない場所がなくならないし、あったことがない人はいなくならない。

初期の居住区に住む人は地上と違い方角的カンでの移動が困難で、番地のみを頼りに移動していたが、

鈴木は大気圏外居住区生まれで幼いころから三次元的方向感覚が養われた新世代で、

行ったことがある場所に迷いなくたどり着くことができる。

初期の居住区では、同一風景による感覚の混乱をきたす人が多くいた。

第五恒星システム第三大気圏外居住区では等方的な建造を行わなくなったため、

とても特徴的で移動が楽だななどと鈴木は思っている。


生活のための困難が存在しないため、多くの人は日々の生活が単調にならないように注意を払っているが、大部分の人はやりなれたことを繰り返し、また、ほかの人のライフスタイルを知らず知らずにまねてしまう。

鈴木はそういったところから逸脱した変わり者と出会いたくて日々徘徊しているのである。

「いい味付けだ。飯が進むぜ!」

鶏肉はうまい。

鶏肉おいしいということしか書けなかった。

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