屋根裏より、愛を込めて
「なろうラジオ大賞4」応募作品です。
一応ホラーにしましたが、これを現代恋愛だと思うかサイコホラーだと思うかはあなた次第です。
メリバかな?
あいつとは昔からよく趣味が合った。
食べ物や服の好みなんかも一緒だった。
そもそも仲良くなったきっかけが小学生の時に俺がいつもカバンにつけてた好きなキャラのストラップと同じものをあいつもカバンにつけてたからだ。
「おまえもそれ好きなの?」
って聞いたら、あいつは小さく「うん」と頷いた。
それから、話せば話すほどいろんな好みが似ていることに気がついた。
「なんか、私たち全部一緒だね」
あいつはそう言って笑った。
その後、俺に彼女ができた。
高校に入ってから仲良くなった子だ。
その子は俺にはないものをたくさん持っていた。
知れば知るほどその子のことが気になって、気付けば好きになっていた。
それで、その子も俺のことが好きと言ってくれて、俺たちは付き合うことになった。
「俺たち、付き合うことになったんだ」
あいつにそのことを伝えると少しだけ驚いたような顔をしたけどすぐに顔をほころばせて、
「おめでとう」
って言ってくれた。
良かった。
あいつとは、これからも良い友達でいられそうだ。
彼に彼女ができた。
ショートカットが似合う活発でかわいらしい子だった。
どうしてかな。
私はどこで間違ったのかな。
小学校で一目惚れしてから、ずっと彼だけを見てきた。
中学も高校も同じとこで、これから進む大学だってもちろん同じところ。就職先だって同じにするつもりだ。
私は彼をずっと見てきた。
ずっと、ずーっと。
私は彼のことを何でも知ってる。
何時に起きてまず何をするか、玄関から出るのにどっちの足から出るか。バイト先と予備校も、彼の全部を私は知ってる。
いったいどうやって彼女と仲良くなったのだろうかと思ったけど、どうやらメールのやり取りを頻繁にしていたらしい。
さすがにまだそれを盗み見る技術は修得していなかった。
告白までメールで。
でも、私はすぐにおめでとうって言えたわ。
私、分かったの。
私は彼とどうにかなりたいわけじゃなかった。
ただ、彼のことを見ていたかった。
それだけで幸せなのよ。
これから先、彼が彼女と仲を深めて、両親の帰りが遅い火曜の夕方に彼の部屋に彼女が来て、進学しても就職しても、もしかしたらそのまま結婚して子供も出来るかもしれない。
私は、その全てを見ていたい。
ううん。見るわ。
大丈夫。
私はいつまでもずっとあなたのことを見続けるから。
あなたが幸せになっていく姿をずっと上から見てるから。
だからどうか、幸せになってね。
あなたの部屋の屋根裏より、愛を込めて。
(たんばりん様作)