02 待機日
昨日はそんな感じの素敵な日常を過ごしましたが、今日は特にお仕事は無しの待機日。
そして待機日とは休日にあらず、もちろん遊んでる場合では無いのです。
健康チェックや普段は出来ない装備のメンテナンスなんかを重点的に行う、
冒険者活動を円滑に行うための休肝日みたいなもの。
今日は私の装備のチェックを、アリシエラさんに事前予約していたのです。
「こんにちは、モノカさん」
こんにちは、アリシエラさん。
装備のメンテナンス、よろしくお願いします。
「お任せあれっ、では早速、モノカさんを『デジャヴュ』しちゃいましょうか」
?
「『ディープ ジャッジメント ヴューアー』、つまりモノカさんの現在の詳細なコンディションを、この『鑑定』魔導具で計測しちゃおうってことですよ」
あーアレですね、フィナさんのノータッチ採寸に使っためっちゃスゴい『鑑定』魔導具。
でもなんで?
「ノノカちゃんへの変身には、正確な採寸が欠かせないのですよ」
「身体に合わないスーツでは特攻活動に支障が生じて、子供たちをがっかりさせちゃうのです」
確かに、ヒーローショーとかで中の人の体型があからさまに違っちゃうと萎えますもんね。
私は人前での変身は極力控えているのですが、よろしくお願いします。
「いきますよっ」
「はい、チーズ特盛っ」
にっこり
「……」
どうですか。
「素晴らしいですっ」
「あいも変わらずの超絶体脂肪率!」
「余計な脂肪は影もカタチもナッシングッ、ですよっ」
毎日いっぱいミルクを飲んでも増えるとこ増えないなんて、
夢も希望もナッシングですよぅ。
「身長・体重・スリーサイズも全ていつも通り」
「さすがは『可憐なる闘神』、無敵な乙女ボディの維持に余念ナシッ、ですねっ」
いや、無敵ボディよりも、乙女ボディしたいんです。
だってどうせなら強くてわがままボディの方がお得じゃないですか。
「ヴァニシアさんたちと比べてはいけませんよっ」
「あんな規格外わがままボディはトラブルの元でしかないのですっ」
「ご主人さまも常日頃からおっしゃってますよ」
「『人生何ごとも程々が一番』と」
程々ですら無いのが問題なんですよぅ。
アリシエラさんは良いですよ、そんなにナイスバディなんだし。
「ナイスバディもわがままボディも、素敵な伴侶を得られなければ塵芥に等しいのですっ」
「モノカさんはカミスさんと出会えたことで、とっくに人生勝ち組なんですよっ」
それは否定しませんけど、どうせなら豊かに実ったアレで、より実り豊かな人生を。
「つまりはシジミちゃん用に製作した胸部増加装甲を御所望ってことですね」
いえ、実はこっそり試着したことがあるのですが、あれだけデッカいのがお胸にくっついちゃうと身体のバランスが崩れて、演舞にすら支障が生じるほどで。
あんな盛り過ぎじゃ、とてもじゃないけど実戦には使えませんよ。
「通常は徐々に増えていく部分ですからねえ」
「では、段階的に徐々に増やしていく、みたいなやり方ではいかがでしょう」
なるほど、一気に増やすんじゃなくて、増毛みたいに少しずつ増していけば、身体の負担にならない上に周囲にも気付かれにくい、と。
「えーと、モノカさんは世間の注目の的ですので、ほんのちょっとでも体型が変化したらすぐに知れ渡っちゃうのではないかと」
ひどいよ、世界中からストーキングされちゃってるよ。
「アイドルはつらいよ、ですねっ」
最近、街中で取り囲まれなくなっただけでもヨシ、なのかな。
まあ体型ネタはこれくらいにしといて、装備のメンテナンスをお願いしますね。
「お任せあれっ」