14.赤髪の女
ーオリヴィア視点
この辺の文明はいつ滅んだんだろう。いや、滅ぼされたのだろうか。
懐かしいようなそうではないような、不思議な感じだなぁ。
そういえば、ここは交易の場だったんだし、何か有益な武器とか物とか残ってないかな。
そんなことを思いながら周りを探索していた。すると
「ねぇ、何か面白いものでもあるのぉ?」
「いや、別に……って、え、は?!」
誰?!フォルスでもギルでもない!!!
そう思い、声のする方に目を向けると、赤い髪の女性が遺跡の上に立っていた。赤い瞳と黒い服、そして森の暗さが相まって、異様な雰囲気が漂っていた。
「あなたは誰、かしらぁ?ん~この辺は、危ないって、教わらなかったかなぁ?」
「え、えっと…」
柔らかい声と口調とは正反対の獲物を見るような目。
やばいやばいやばい。この人はやばい。
私はすぐにそう思った。
私が誰なのか気づいてないようだけれど、私が誰かわかれば瞬殺される。
何か根拠があるわけではないけど、そんな予感がする。逃げないと…!!
「知らずに来ちゃったのかなぁ。でも、ごめんねぇ。殺さないといけないのぉ」
彼女はそう言って私に向かってきた。
戦わないと。どうやって?痛いのは嫌だ。嫌だ嫌だ…!!!
そう考えてきたとき。
「逃げろ!!!!」
ドゴーーーーーン!!!
「…っ」
爆発…?一体何が起きてるの?さっきの声、フォルスだよね。
爆発によって巻き起こった土煙の中から、見えたフォルスは赤髪の女の方に手のひらを向けて立っていた。
そして、今までに見たことがない、怖い顔をしていた。敵意むき出しの獣のような表情だった。
「あっぶなぁ!!一体何よぉ」
赤髪の女は宙に浮きながらそう言った。
浮いてる!?え、魔法?というか、今の爆発避けたの!?
フォルスはどうするんだろうと思い、目を向けるとズボンのポケットから銃を取り出し、その女性に向けてすばやく撃った。
しかし、彼女は器用に空中で避けた。舞うように避ける姿はどこか美しさがあった。
「もぉ!どこから撃ってるのよぉ!!隠れてないで出てくればぁ?」
彼女は余裕そうな様子でそう言った。ファルスは土煙の中を移動しながら撃っているため、彼女はフォルスがどこにいるのかわからないようだ。
どこから来るかわからないはずなのに、フォルスが撃つ弾は当たらない。
どうしよう…。私も、私も何かした方が…。でも…、どうしたら…。
私は戦い方を知らない。現代人よりも力はある。でも、それだけ。使い方を知らない。
でも…、でも…!このままではいずれみんな殺される!!何かしなきゃい…。
「撃て!!!」
パン!!
フォルスの声の直後に銃声が聞こえた。私の後からだ。ギルだ!!!
ギルが撃った弾は赤髪の女の背中に命中した。
「いっったぁ!!!な、なにぃ…?注射針??……!…まさか毒!?」
彼女はすぐに解毒剤を飲み、毒を撃ってきた方向、つまり私の方へと銃を向けて撃った。
バン!!バン!!バン!!
うっ…。痛っ!!一発かすってしまった。でもまぁ、大した傷ではないしすぐ治るはず。
この体のせいで今まで嫌な思いばかりしてきけれど、こういうときはこの体でよかったと思える。
「もぉ!!!ここじゃマシンガン使えないし、姿は見えないし、やりにくいなぁ!!殺さないとい…けない…ん…あ……れぇ…?」
え?
突然、赤髪の女はふらふらしだし、地面に落ちた。
「オリヴィア、大丈夫か?」
フォルスが私の方に駆け寄り、小さな声でそう言った。
先程の表情とは全く違う、私を心配そうに見る優しい表情。さっきのは一体なんだったんだろう。
「う、うん。大丈夫。それよりも、何をしたの?」
「麻酔を撃ったんだよ。でも、すぐには効かないし、もうしばらく待とう」
「わかった。ところでギルは?」
「少し離れた茂みの中で周囲を見張ってもらっている。誰かに報告されてたり、この騒ぎで気づかれて囲まれたら最悪だからね」
「なるほど…」
フォルスは赤髪の女を眠らせてどうするんだろう。彼女は地面に横になっており、土煙もあるこの状態なら逃げやすいはず。それなのに、彼女が眠るのを待っている。誰かが来てしまうリスクを背負いながら。
「そろそろいいかな」
麻酔銃を撃ってから数分たち、フォルスはそう言った。
土煙もおさまり、横になる赤髪の女はここからもしっかり見えた。
「オリヴィアはここで待ってて」
「え…、わ、わかった」
フォルスはそう言って赤髪の女の方へと向かった。
何をするつもりなんだろう。殺すつもりはないと思うけれど…。
フォルスは右手を赤髪の女の額を指でなぞりながら何かを探しているようだった。そして、あるところでピタっと止めた。その次の瞬間、小さくバチっという音を立てながら白く強い光が放たれた。
ま、眩しい…!
光は数秒で収まり、フォルスがこちらへ戻ってきた。
「今、何をしたの?」
「あー、えっと、記憶を消したんだ。この数分間にあったことの」
「え、えぇ?!そんなことできるの!?」
「まぁ、一応ね。でも、他の人に言ったらダメだから」
「う、うん。わかった。でも、なんでそんなことが…。それに、さっきの爆発もフォルスだよね?」
「…そうだよ。僕の両腕は機械なんだ。僕の先生によって少し改良されて、今みたいなのができるようになっている。あんまり使いたくないけどね」
「そう…なんだ」
「さ、これでたぶん僕らの情報が漏れることもないだろうし、ギルのところに戻ろう」
「うん」
本当はもう少し詳しく聞きたかった。どうして機械の腕なのか。『先生』って誰なのか。なんで、使いたくないのか。そして、なんであんな怖い表情をしていたのか。
聞きたいことは多いが、なんとなくこれ以上踏み込んではいけない気がした。
読んでくださりありがとうございます。




