13.森の遺跡
…。
どこ行ったんだよ、あの2人は…。
ー30分前。
道の周辺には危険な生き物は生息していないと聞いていたが、思っていたよりも暗いせいで、少し不気味だな。道も舗装されていないし、歩きにくい。
森を向けた先にある小さな町まで行きたいが、体力的にきついかもしれないな。かと言って、ここで野宿するわけには行かないし、休憩を挟みながら行くしかない。
「2人もの疲れたら言ってな?」
「おれはたぶん1日中歩いても大丈夫だと思うぞ」
「私も大丈夫よ」
「そ、そうか」
さすがというか、なんというか…。僕さえ気をつけていれば大丈夫そうだな。
そんなことを考えていると、突然「ガサガサ」という音が右側の森からした。
なんだ?!追ってか?!
「フォルス、なにか来てる…」
オリヴィアが少し警戒しながらそう言った。
ガサガサ…。ガサガサガサ!!!!!
「ぬぉあああああ!!!」
「うわぁあああぁぁ!!!!」
「え!?ちょ、オリヴィア!ギル!待て!!ただの大鹿だって!!」
高さ3 mもある大鹿は一見怖いが、草食動物で穏和な性格なので危険はない。
でも、それを知らないオリヴィアとギルはびっくりしてしまったようで、一目散に左の森の中に入ってしまった。
2人なら大鹿に勝てるだろうに…。いや、ギルは武器がないと無理か。
今度戦い方でも軽く教えた方がいいかもしれない。
そんなことより、奥には言ってはいけないと言われてるし早く探さないと…。
30分探しても見つからない…!!
奥には毒を持つ生物が生息していると宿のおばちゃんに聞いた。木々が生い茂っているため、ラスラと呼ばれる耐陰性の高い有毒植物が多く自生している。また、ビアゴンナという虫は小さいが牙に毒があり、噛まれると嘔吐、下痢、発熱などの症状を引き起こすらしい。
さすがに、毒耐性はないだろうし、早く見つけないと。
そう思い、周りをキョロキョロしながら探していると、オリヴィアらしき人がいるのが見えた。
「オリヴィア!!無事でよかっ…。なにこれ」
オリヴィアの方に駆け寄ると、オリヴィアの目の前には大きな遺跡があった。遺跡は石でできており、表面には苔が生え、植物が自生していた。何かの建物のように見えるが、半壊しており、かろうじて入り口と右と奥の壁、屋根が半分残っているだけだ。
一体何千年前のものだろう。模様のようなものも刻まされいるが、何を表しているのかは全くわからないな。
「フォルス、これ、たぶん私の時代のもの」
「え?でも、オリヴィアは北に住んでいたんじゃ…」
「確か、元々はもっと南側に住んでたと思う。ここには交易で来てた…かな。見覚えはなんとなくあるんだけど、あまり思い出せない」
「そうか。じゃあ、ここはオリヴィアと同種の古代人が住んでいたのか」
「いや、たぶん違う。見た目が全く違った。腕が、確か…4?5?くらいあったし」
「それは…現代人からするとなんか怖いな」
「他にもいた気がするけど、ちょっと思い出せない」
「いや、無理に思い出さなくいいよ。というか、ここに交易に来ていたってことは、元々村かなんかがあったってことか」
「うん。ほらあっちにもあるでしょ」
オリヴィアが指指す方を見ると、崩れた遺跡が見えた。同じようなものがいくつもあったので、おそらく家だろう。ただ、最初に見た遺跡にあった模様のようなものは見られなかった。
「フォルスーーー!!!」
ギルが僕を呼びながら走ってきた。
「あ!ギル!!よかった、無事で」
「ごめん、勝手に森入っちゃって…」
「まぁ、いいよ。でも、あまり勝手な行動はしないように」
「あぁ、今度からは気をつける…」
「オリヴィアも」
「わかった…」
ギルは反省しているようだが、オリヴィアも反省…しているよな?
あまり勝手な行動取られると困るんだけどなぁ。
「それよりも、ここはなんだ?石?」
「これはオリヴィアの時代にあった村の跡。遺跡だよ」
「へぇ、オリヴィアは何千年前に生きてたんだ?」
「「さぁ?」」
言われてみれば確かに、オリヴィアは何千年前に生きていたんだろう。わからないことは多いが、聞いていいのかわからくてこれまで聞いて来なかった。
「2人ともわからないのか?!」
「資料があるわけでもないし、そもそもオリヴィアみたいな古代人はこれまで発見されていなかったしね」
「ふーん。ってことは、この遺跡も未発見のものってことか?」
「いや、さすがにこの遺跡は…。ん?」
あれ?街から2時間歩いたところではぐれて、そこから30分。そんなに街から離れていないから、未発見ってことはないと思ったが…。小さいとはいえ、わかりにくいってほどでもない。それに、ここにオリヴィア曰く、古代人が住んでいたのだから、近くに骨や遺体が埋葬されているはずで、発見されたら骨の形状からも新たな古代人として発表されるはずなのに、そんな情報もなかった。
いや、まさか。ありえないよな…。
「オリヴィア、ここに来る前に何かなかったか?」
「特に何もなかったけど?」
「それならいいんだけど…」
奥地には危険で来れていないだけ…か。
「とにかく、元の道に戻ろう」
ここから早く離れたほうがいいと判断した僕はそういった。しかし、
「待って。もう少しだけここにいたい」
オリヴィアが僕の服を引っ張り、真っ直ぐこっちをみてそういった。
ようやく出会えたオリヴィアが生きていた時代のもの。少しでも記憶を思い出したいのか、懐かしさから離れがたいのかわからないが、あまりここに長くいるのもな…。
それでも彼女の気持ちを無下にはできない。
「……あと30分だけな」
「ありがとう」
オリヴィアはそう言って遺跡の中を歩き始めた。
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