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古代人の君と旅をする  作者: ラクト
13/23

12.出発の日

ーフォルス視点

 ルシュさんと話してから3日後、僕らは次の街に向かうことにした。バディルは今の街から北西に向かう。徒歩で3.5日ほどかかるが、途中で小さな町もあるので食事や寝床の心配はないだろう。

 だが、出発前にやっておかなければならないことがある!

 「オリヴィア、ギル!ちょっと来て」

 「「はーい」」

 身支度を整える2人を呼び出した。

 「今日出発するわけだけど、その前にしっかり変装しようと思う」

 「ひげか?」

 ギルがそう言ったが、子どもが髭つけたら違和感しかないだろ。

 「違う違う。じゃーん!!これだよ。オリヴィアにはカラーコンタクト、ギルは染毛剤」

 「え、なにこれ?」

 さすがにオリヴィアは初めて見るので、不思議そうな顔でカラーコンタクトを見ていた。

 「これを目に入れると、目の色が変わるんだよ」

 「え、こわっ…私、今のままでいいよ?なんかかっこいいし」

 オリヴィアはそう言って、サングラスをかけて指でくいっと上げた。

 ちょっと誇らしげにサングラスかけるなんて、実は気に入ってる?それならこのまま…いやいやいや、万が一があってはダメだ。

 「サングラスが取れたりしたら困るし、今の姿が伝わっていたら困るだろ?」

 「ぬぅ…」

 「おれは髪を染めるだけでいいのか?」

 「うん。オリヴィアは瞳が特徴的だからつけるわけだしね。それに、カラーコンタクト高いんだよね…」

 お手入れ用品も必要なので、結構な出費となった。

 「なるほど、わかった」

 僕はオリヴィアに紺色のコンタクトを入れて、ギルの髪を明るい茶髪から黒へと染めた。ついでにオリヴィアの髪も染め直し、髪を切りそろえた。

 「よし、終わり!!2人とも似合ってるね」

 「ほんとかー?」

 なんだかんだ髪の長いオリヴィアの髪を染めるのが一番大変だったな。

 ギルは鏡で見慣れない自分の姿見て「う~ん」と唸っていた。

 一方で、オリヴィアは目に違和感があるのか、目を瞑ったままじっとしていた。

 「さぁ、そろそろ出発するから準備するよ」

 「「はーい」」


 僕らは荷物をまとめ、宿の支払いを済ませ、早速街の北にある大門に向かった。

 ルシュさん達には昨日の内に挨拶を済ませておいた。その際に、念のためにウィリスさんとも連絡先を交換した。もちろん、ルシュさんに貰った通信機器で。ルシュさんは最近何かと忙しく、緊急の連絡ができなかったら困るだろうとのことだ。


 宿から45分ほど歩くと北大門へと到着した。

 僕らがしばらくいたこの街の周りは森が広がっており、大型の動物も生息しているため、街は外壁で囲まれている。そして、東西南北それぞれに大門があり、そこから出入りするようになっている。来るときに通った東大門も立派だったが、北大門も立派だ。

 「うわぁ…!でっけぇ門だな!!」

 「ギルもここ来るとき見てるだろ?」

 「え?いや、おれ外壁乗り越えてきたから知らねぇ」

 「はぁ?!結構高さあるぞ?!」

 「木とか伝っていけば余裕余裕。…そういう風に変えられってからな」

 ギルは少し悲しい顔をしながらそう言った。

 ギルと出会ってから2ヶ月ほど経つが、何か考え込むことはあっても塞ぎ込むことはない。涙を流したのもあの日が最後だ。だからこそ、メンタルは強い方だと思っていたが、実はそうでもないかもしれない。ただただ、自分のしたことに責任を感じて、我慢しているだけかもしれない。

 自分にできることはないかと考えたが、あまりいい案は思い浮かばなかった。色々旅している内に、少しでも傷が癒えることを願うしかない…か。

 「ギルはきっと、私たちには見ることのできない風景を見ることができそうね」

 オリヴィアがギルに向かってそう言った。

 「あ…あぁ、そうだな」

 ギルは驚きながらも、少し嬉しそうに笑った。

 オリヴィアの言う通りだ。悪いことばかりではない。”それ”があったこそ見えるものがあるだろう。

 オリヴィアが励ます目的でそう言ったかはわからないが、僕は「ありがとう」と囁きながらオリヴィアの頭を撫でた。

 「さ、行こうか」

 「「うん」」

読んでくださりありがとうございます。

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