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古代人の君と旅をする  作者: ラクト
11/23

10.ある日の午後

ーフォルス視点

 ギルを保護してからは平和な日々が続いている。あれから僕は仕事を探し、今は工事現場で働いている。ルシュさんとの約束である情報収集をしながら働いているが、大した情報はない。昼食時に話す内容も家族の話や仕事の話が多い。

 「そーいやぁ、昨日俺の息子が5歳になってよぉ。あっという間に大きくなって嬉しいような寂しいような」

 同僚の1人であるイーグがそういった。ゆっくり喋る人で性格もおっとりとした人だ。

 「もう5歳かぁ。もうすぐ学校に通い始めるな!」

 もう一緒に昼食をよく取るハーデンがそう返した。ハーデンは気さくな人で、よく僕に話しかけてくれる。

 「そうなんだよなぁ。子ども同士で遊ぶことも多くなるだろうし、ちょっと心配なんだよ」

 「わかるわかる。俺んちも『暗くなったら地底の悪魔が攫いに来るぞ』って脅して早く帰るよう、言いつけてるよ」

 「懐かしいな。俺が子どものときも言われてなぁ」

 ここら辺では子どもへの脅し文句に『地底の悪魔』が使われるのか。

 「へぇ。ここではそう言うんですね」

 「まぁな。フォルスのとこはどうだったんだ」

 「僕のところでは『森に住む怪物が来るぞ』でしたね」

 「やっぱ地域ごとに違うんだなぁ」

 「よし、そろそろ昼休憩終了だ。もう戻るぞ」

 ハーデンの言葉をきっかけに、僕ら含め周りの人達も工事現場へと向かった。


 数時間後。

 ふぅ…。流石に疲れたな。帰ったら風呂入ってすぐご飯にしよう。オリヴィアたちも待っているだろうし。

 ヴー、ヴー、ヴー。

 電話…?あ、ルシュさんからだ。

「はい、フォルスです」

「今、大丈夫かしら」

「大丈夫ですよ。どうしましたか?」

「ちょっと聞きたいことがあるから、今から来てほしいの」

「今からですか…。わかりました」

今からかぁ。正直、早く帰って休みたい…。でもまぁ、ルシュさんからの呼び出しを断るわけにはいかないし、行くしかないな。


 カフェ アスカル。

 ドアを開けるとウィリスが笑顔で出迎えてくれた。

 「いらっしゃいませ。あ、フォルスさん。こんばんは。ルシュさんは2階にいますよ」

 「わかりました。ありがとうございます」

 カウンターの奥にもう一人女性がいたが、彼女はアルバイトの人だろうか。前はいなかったよな…?

 2階へ上がり、ルシュさんの部屋に向かった。

 コン、コン、コン。

 「はーい、どうぞ~」

 「失礼します。こんばんは、ルシュさん」

 「お、いらっしゃい。わざわざ悪いね。渡した通信機器に盗聴防止機能があるといっても、直接話せるならその方がよくてね」

 「いえ、大丈夫ですよ。それで聞きたいこととはなんでしょう?」

 「色々忙しくて聞きそびれていたんだけど、グリア研究所の場所について聞きたいの。オリヴィアはその研究所にいたんでしょ。彼女をそこから連れ出したって言うんなら、場所知ってるわよね」

 「あ、その…オリヴィアがいた研究所はもうありません…」

 「はぁ?どういうことよ。なんでよ」

 「何か問題が起きたとき、研究所は壊されるようで…。それに、オリヴィアがいたところも本部ではなかったので、残っていたとしても大した情報はなかったと思います」

 「…そうなのね。いくつか研究所を持っているのか…。じゃあ、ギルがいた所ももうないかもしれないわね」

 「はい、その可能性が高いと思います」

 「はぁああぁぁぁ…。そっかぁ。わざわざ来てもらったのに悪かったわね」

 ルシュさんは大きなため息をつきながら、申し訳無さそうにこちらを見た。

 まぁ、研究所がなくなるとは普通は思わないし、仕方がない。

 それに、グリア研究所はお金と土地を相当持っているようで、オリヴィアを引き取ったときは森の中で周りに建物は見えなかった。だから、たとえなくなっていなくても、正確な場所はわからない。

 「いえいえ。こちらこそすみません。すっかり伝え忘れていました」

 初めてあったときに僕らのことも話したし、あまり話せないこともあるせいですっかり言える情報を伝え忘れていた。

 「ところで、なんでグリア研究所について調べているんですか?」

 あまり他人の事情に踏み込みすぎるのはよくないのだろうが、ルシュさんも深く関係しているのかとつい、気になってしまった。

 「んーーっと…。私の恋人が行方不明…でね。色々情報を集めている内にグリア研究所が関係している可能性が浮上してきたのよ」

 ルシュさんは少し困った顔をしながら話し始めた。

 「行方不明ですか…。誘拐されったてことですか?」

 「たぶんね。…はい!聞いていいのはここまでよ」

 もう少し聞きたかったが、あまり話したくないようだ。

 誘拐…。ギルは誘拐ではなかったが、奴らは自分らの欲求を満たすためには手段を選ばない傾向にあるからな…。

 「それよりも、他に持ってる情報あるなら教えて。私も無関係ではないから、話してもらって大丈夫よ」

 「そうですね。とは言っても大した情報はないですよ」

 僕は持っている情報の中で話せることはすべて話した。

 帝国内にいくつか研究所を持っていること、正確な研究員の人数はわからないが、結構いること、僕の親友も研究員だったこと、人体実験が頻繁に行われていること。

 「これくらいですかね」

 「う~ん。謎ね」 

 「謎です」

 「まぁでも、ありがとう。他に話せることが増えたら、そのときはよろしく!さて、車で送るからついてきて」

 …。『話せることが増えたら』って、今の会話で話せないことがあるってわかったのか?ほんと、すごいな…。


 僕はルシュさんに車で宿まで送ってもらいながら、今後のことについて話した。

 「次向かうなら、バディルがいいんじゃないかしら。治安いいし、色んな人が集まる発展した街だから、情報も色々手に入ると思うわよ。ちなみに、メイフレンはやめた方がいいわ。閉鎖的で外部の人間を嫌う傾向にあるから」

 「そうなんですね。わかりました。ありがとうございます」

 次はバディルに向かうとするか。

ギルの故郷方面だし、ちょうどよさそうだ。

読んでくださりありがとうございます。

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