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序章
私の危篤の報を聞いて、世界中から人々が集まってきていた。
脇に並ぶ弟子たちに交じって、各国の重臣や大司祭たちが顔を見せ、僧院の外では一般の人々が大勢つめかけている。
大往生。
文句のつけようのない臨終の景色に、静かに目を閉じる。
瞼の裏に浮かんでくるのは、死んだかつての仲間たちの顔。
数々の戦いの記憶。
強大な野心を抱いた皇帝が率いたヌートリア帝国との死闘。
その裏にいた世界の浄化を目的とした秘密結社・カルテルニーたちとの暗闘。
ようやく得た平和の中で、王国の腐敗した宮廷での諜報戦。
彼らが癒着していた犯罪組織の裏には、カルテルニーたちの残党がいた。
まさか辺境に住む少数部族のヒポノタマスたちが、禁断の召喚術によって世界を恐怖に陥れることになるとは、誰も予期していなかった。
そんな激戦の日々も今や昔。
結局、私が最後になってしまった。
先に逝った者たちの元に旅立とう。
もう微かになっていた息が、いよいよ途絶えていく。
残ったのは静寂さと……