トランプとマジックとトラップと。
トランプって本当に沢山の遊び方が出来ますよね
トランプを考え付いた人は天才だと思います
だから異世界での資金源No.1の座をリバーシーと争って乱だろうな
♦︎❤︎マジックカード♠︎♣︎
パソコンの光に照らされた男が美味しそうにご飯を食べている。
少し暗い部屋のなか、「ごちそうさま」と男の声が聞こえた。
「うぅー、うぅ!」
男の後ろには縛られた女性がいる。
男はニコリと笑うと、女性の方を向いた。
「まぁ、そう焦らないで。今から始めるから」
優しく言い聞かせるように、後ろの女性へと声をかける。
弁当を食べていた手を止め、ゆっくりと振り返った。
男の手には、いつの間にかトランプのカードらしきものが握られている。
「ほら、暴れないで。痛くはしないから、ね?」
壊れものを触るような扱いで女性の猿轡を外した。
だが、その足も手も縛られている彼女は小さく震えるのみ。
「さて、ここから一枚引いて。 ほら」
有無を言わさない雰囲気に押されて、女性は、トランプのカードをくわえた。
男はおもむろにそのカードをトランプの中に戻す。
すると、
「さぁ、見てて。種も仕掛けもございません。僕は何もしないからね。このジョーカー達が君のカードを見つけてくれるよ」
男は2つのジョーカーでトランプで挟む。
そしてトランプを拡げると、一枚のカードがジョーカーに挟まれていた。
「ほら、ジョーカーさんが見つけてくれた。さてさて......」
男がカードを見ると、その動きが止まる。
ひらひら と男の手からカードが落ちる。
ゆっくりと空気抵抗を受けながら、カードが落「かはッ!」ちていく。
男の手は、女性の首を絞めていた。
コキッ と子気味よい音が聞こえる。
女性から生気がなくなった。
「はぁ、最近良いのでないなぁ。確率変えるべきかな......。でも仕込みはズルだしな。悩ましい。」
パソコンの前に向き直ると、近くにあった袋からケーキを取り出した。
「うーん、どうしよかなぁー」
デザートを食べながら、男は思考の海へと沈んでいった。
*****
「ねぇねぇお姉さん。今暇ですか?」
まだ空が茜色の中、男は女性ににっこりと微笑んだ。
少し辺りが暗くなる。
「へぇー、あれ好きなんだ。いいね。」
「うん、面白いから!貴方はどっちの方が好き?」
2人は楽しげに話をしていた。
人気のあまりない住宅街。あたりは暗くなっている。だが、まだ日は出ておりある種の幻想的な雰囲気を醸し出していた。
「どうしたの?」
「ううん!なんでもない。それで?」
寒くなったのか、女性は手をさすっていた。
もうそろそろ11月に入ろうかというところ。夕方は、少し寒くなってきていた。
男は「ちょっと待ってて」と女性に言うと、自販機で1つの温かい飲み物を買う。ちなみにもう1つは冷たいスポーツドリンクである。
男は女性のもとへと戻ると
「これ、持ってて」と冷たいドリンクを渡した。
女性は驚き不快な顔をする瞬間
「これ開けるから」 と温かい飲み物の蓋をあける。
「あれ!?固いな。ちょっと待ってね」
女性は嬉しそうな表情で彼を見ていた。
男は少し前屈みになり、力を入れる。
フリをして彼女の視界を遮ると、さっ、と軽くふたを開けた。
流れるように白い粉を飲み物の中にいれる。
男は飲み物をふり女性へ渡す。
「もう、なんでふるの」
女性は楽しそうにこぼす。
「こうやった方が美味しいんだよ。そこに沈殿しちゃうからね」
女性は嬉しそうに飲み物をのみ、男はそれは優しい笑みを見せていた。
男の手には、眠った女性がいた。
*****
明るい部屋のなか、女性が目を覚ます。少し混乱してるのか、回りを見渡す。
「あっ、起きたんだね。元気になった?」
「うん、ありがとう?」
「どういたしまして」
男は自然にここにいるという常識を作りだす。
「こういうことよくあるの?」
男の質問の意味がわからないのか、女性は首をかしげる。
「倒れたんだよ、この時期だと熱中症というより脱水症状かな。もう少し早く渡せば良かったね」
と、男は飲み物を手に取る。
男の言葉に驚くが、嬉しそうに頷いた。
机にはお酒が並べられている。
お互いほろ酔いだ。
「マジックを見せてあげるよ」
「ホントに!」
男はジョーカーを使い、マジックを始める。
女性がカードを引き、男がカードを戻し、カードを広げ、カードを見つける。
男は驚き、目を見開いた。
女性に手を伸ばす
男の手が女性の頬にあたる。
「あぁ、貴方の肌、とても綺麗だ」
女性は嬉しそうに、そして顔を赤らめると
「シャワー借りていい?」
と、お風呂の方へと向かう。
「♠の3。僕は運が悪い」
男は立ち上げていたパソコンを、シャットダウンした。
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