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アンライトーunrightー  作者: 幕ノ内豊
第一章 《闇陽蓋世す黎明》(スカーレット・マーターズ)
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学園到着

 目覚めた同伴の女性と一悶着ありながらも、馬車でのゆらりとした旅は進んでいた。

 俺の目が覚めてから数十分、その間も、馬車は止まることなく先へと進んでいる。

 ずっと窓の外から景色を眺めていた俺は、森の景色の異変を敏感に感じ取った。

「なあ、一ついいか?」

「何でしょう?」

 彼女は、勤めて冷静に返事を返す。

「森、何か変わってないか?」

「!」

 その言葉に、息を飲んだのを、俺は見逃さない。

「よく気が付きましたね……」

「生憎とな、こういう違和感を敏感に感じ取れるヤツは戦場で生きやすい。些細な異変を感じれば、罠であったりするからな」

 俺の言葉に、彼女はなるほど、と答える。

「この森、人工林だろ?」

「はい、その通りです。植えられている木は『メヤス』です」


 メヤスの木は、魔獣除けの樹木だ。メヤスの木から発生している独特な香りを、魔獣は嫌う傾向にある。小規模な村は、村の周りをこの木で覆い、村を守ったりすることに使う。

 この香りは、メヤスの木が体内に持つ油分から発生している。木造建築の建物や船舶として利用されるほか、薪としての性能も高いという万能樹木だ。

 人工的に栽培されることもあると聞いていたが、この規模は異常だ。

「それだけ、この先に魔獣を近付けたくないってことか」

「その通りです。ですが、他にも役割はあります」

 その言葉を聞いて、珍しく興味が湧いた。しかし彼女に話の続きを促そうとした時、窓の外を見ていた彼女が、俺より先に口を開いた。


「見えてきましたよ」


 その一言で、興味を移した俺は、彼女のように窓の外を見やる。


 そこには、想像を絶する景色が広がっていた。


 巨大な建造物が、山間を戴くように悠々と建っている。王城ほどとまではいかないものの、それでも十分に巨大だ。

 見る限りでは三階建。規模は《陽の国》の城と大して変わらない。だがこの国の住宅街一戸の大きさと比べれば、遥かに巨大だ。

 建造物は焦げ茶色で、全体的に見れば四角形のような形だ。それに奥には、七回建相当になろう巨大な塔が建っている。

 まだメヤスの木が並ぶ森の中から覗いた、あの建造物群の一部だというのだから、その規模は想像以上だった。


「な、何だアレ……」


 俺の小さな呟きに、彼女はしっかりと答えた。


「あれこそ、我がウェルサイユ王国が誇る次代の騎士養成学園。幾人もの才を送り出し、ウェルサイユの三つの騎士養成施設の中で最も成果のある学園で、貴方の留学先でもある。


『ウェルサイユ王立騎士養成学園』です」


 どこか自分ごとのように、彼女は堂々と言い張った。


ーーーーーーーーーー


 ようやっと到着した馬車から降りると、その学園の規模の大きさが、先ほどよりもよく伝わってきた。

 幾つもの建造物の中には、小規模ながらアリーナなどもあり、戦闘訓練には従前と対応できていることが窺える。

 さらに見れば、奥には集合住宅のようなものも見受けられた。「学生寮」と言うらしい。どうやらこの学園に通う学生たちは、この「寮」とやらで生活するらしい。

 校門には、一人の女性が立っていた。

 黒い髪を後ろで一つにまとめ、きちんとした礼服を着崩している。その顔は整っていて美人だが、不敵な笑みを浮かべているせいで台無しだ。面影が父の竜冴と重なるせいで、あまりいいイメージが浮かんでこない。

 ただし、割と胸元は素晴らしい。体格も良く、口を開かなければ美人、と言うタイプだろう。

 同伴していた侍女が先に降り、俺の方の扉を開けてくれる。俺は礼を言いながら、素早く地面に降り立った。


「待ちくたびれたぞ、留学生」


 開口一番の愚痴。

 俺はしっかりとその一言を流し、自己紹介に入る。

「どうも、極東の地《陽の国》より、交換留学生として参りました。御雲竜鬼と申します」

 それを受けてか、彼女も自己紹介を返す。

「私はレイン・リーヴァー。この学園の理事長を務める者だ。

 ついて来い、まずは実力を測らせてもらう」

 随分と自分勝手な理事長らしい。俺はそんな横暴な態度を軽く流しながら、彼女について行った。



 強気な理事長が現れた! どうする?


 そんな状況に身を任せて、竜鬼くんの物語は進んでいきます。


 評価やコメントなどを下さると幸いです!

 まだまだ拙い文章ですが、皆様と一緒に、この作品を成長させていきたいです。

 よろしくお願いします!

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