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かつて人は、世界を守るために神さまを殺した。
神さまを殺して、世界を救った。
バラバラになった神さまの体は奇跡となって、世界中の人々の上に降り注いだ。
奇跡は人に宿り、その想いによって力を蓄え、その死と共に再びこの世界へと放たれた。
全て人は死ぬと奇跡を遺す。
全て人が死ぬと奇跡が遺る。
それは一番大切な想い人へ。
たいてはささやかな、でも時には国ひとつをひっくり返すほどの。
ただし誰にどんな奇跡を遺せるのかは、それこそ死んでみなくちゃわからない。
望む人に望む奇跡を遺せるとも限らない。
自分が誰を一番大切に思っていたのかは、死んで初めてわかるのだ。
例外はない。
たとえそれが、ぼくの知り得る限り最高の、とてつもない天才少女だったとしても。




