夢を見る時間と希望を少しだけください
はじめまして、靴べらと申します。
今回は読んでくださりありがとうございます
ある日夢に見た出来事を急いでそのままメモにしてしまったので少しおかしな部分もございますが見逃していただけるとありがたいです。
──....一体、生き続ける事に
何の意味があるのだろう....──
...☆「どうせ同じ日々を、変わらない景色を、絶対的日常を、リピートして行くだけなのに...──」
....高校入学式後、初日登校日。
自由席のそのクラスは、中学とは少しだけ異なり...少しだけ騒がしかった。
俺は園原 彩人
一番現実的な名前で一番平凡的な人間だ、小学校でも中学校でも成績は善し悪し無く極普通な学校生活を送ってきた。...何も面白くない、こんな日常をもし変えることが出来るのならば。
もし"夢見る時間"が俺にあるのならば。
一度だけ...世界を救う勇者になってみたい、
だがそんな事など叶うハズもない。
何故ならこの世界にはモンスターも武器も宿屋も種族さえありゃしない。
...当たり前だ、ここは2次元ではなく現実という3次元なのだから。エルフという耳が尖り金髪で瞳が青い種族など......。
何だろう──俺は夢でも見ているのだろうか、もしこれが夢ではないのだとしたら明らかに可笑しい。
だってここは現実世界だ、モンスターも武器も宿屋もダンジョンも...存在するハズがない。
では何故俺は今、金髪の瞳が青い耳の尖ったエルフらしき少女に睨まれているのか。
...否、きっと俺じゃない。そうだ席を移動しよう...きっとここは彼女のお気に入りの席で俺が奪ったのをじっと目で訴えかけているんだそうだそうに違いない。
そう思って俺は席を立った、...するとエルフらしき少女は言い放った
ミカエル「ちょっとそこのアナタ、来てもらえるかしら」
突き刺さる様な鋭い目付き、冷淡な口調、ツンデレキャラの様なツンケンとした高く脳にまで響くような声。そう思っていると不意に腕を掴まれ教室を出た
ミカエル「...アナタ、今"夢"を見たでしょう?どんな夢を見たのか、教えて貰っていいかしら」
彼女が止まったのは通ると不吉なことが起こると言われ避けられている階段、其処では何人もが死んでおり清掃を行った事務員も亡くなっている。故にホコリが溜まりに溜まったある意味不吉な階段で、..."あちら側の階段"と呼ばれているらしい。
彩人「...え、えっと...あの...その....君は、エルフのコスプレが好きなのかな...お、俺も...好きなんだけど...」
ミカエル「こすぷれ?何よそれ、聞いたことない言葉ね。そんな事より質問に答えて欲しいのだけれど」
彩人「ごめん....夢、っていうか...希望っていうか...一度だけでも良いから世界を救う勇者になりたいなー、なんて...はは...えっと...それがどうかした、かな...もしかして、馬鹿らしいって笑いに来た....?」
ミカエル「はぁ?バカらしいなんてそれこそバカらしい、...やっぱりアナタであっていたのね、なら話が早いわ。アナタに私の世界を救って欲しいの...もう時間があまり残ってない、今すぐ戦う準備をして」
突然過ぎる予想外の展開に混乱する、頭の中で状況が把握出来ていない。
まず何故今俺は空を飛んでいるのか...それはエルフらしき...いや、エルフである彼女の背中に生えている翼が動いているからだろう。
二つ目は彼女の世界を救う、はい救いますと言うだけならタダだ、誰にでも出来る。
だが三つ目、武器が無いのにどう戦う準備をしろと言うんだ?わからない...わからないが。
何故か勝てる気がする、緊張などない。
...むしろ
彩人「...ワクワクしてきた」
しまった
ミカエル「バッカじゃないの!?世界が危機なのよ!?それをアナタ、ワクワクしてきたって!」
エルフである彼女は俺の呟いた小言に反応し怒る素振りを見せると深く溜息を吐いた、...そんなに期待されても困る。
剣や盾など持ったことのない高校生にモンスター退治など出来るはずもないのだから──
そう考えながらしばらく空を浮遊した、天を突き抜け再び空へと落下する。
...俺は思わず目を閉じた
次に目を開けた時、俺の目の前には信じられない光景が映っていた
彩人「...ウソ、だろ....何だこれ....竜?モンスターか...?この街が危ないって事はわかる...」
否、街ではなく世界だと彼女は言っていた。こんな平凡だらけの一般人にドラゴンを倒す事など無理に決まっている。だってここは現実で....___現実?
彩人「違うだろ、何言ってんだ」
気付いた時にはもう勝手に口が動いて止まらなかった
ミカエル「アナタ何独り言呟いてるの!?早く戦ってドラゴンを倒しなさい!」
彩人「武器が無いのに戦えるわけ無いだろ、倒しなさいって命令する前に勇者である俺に武器を渡すのがエルフの仕事じゃないのか?」
何偉そうなこと言ってんだクソ...ッ
無理だ...あんな巨大なドラゴンに一人でボロい装備で戦いを挑むなんて。
何度も言ってるハズだ...俺は...一般人で....ちょっと待て、それはただの言い訳じゃないか...?
勇者になりたいとか言っておきながら俺は一般人だからって言い訳作って逃げる為の機会伺ってるだけじゃないか...?
彩人「...勇者になりたいならしっかりしろ...俺は誰だ!!何になる為この世界に来た!!俺は何の為に生き続けている!!考えろよ....!!」
...俺は園原彩人、勇者になる為にこの世界に来た...いや、エルフに連れ去られたと言った方が正しいだろうか。...俺の生き続ける理由は、
彩人「...俺は...俺はッ!!"夢を見る時間と希望"を見つける為に生きているんだ──!!!!!!」
突然に腕の中が光に包まれた、その光はやがて長剣の形になり、俺の腕へ落ちた。剣はとても重く、勇者になるという言葉を重量で表しているかのようだった
彩人「ウォォォォォォ!!!!エルフバンザァァァイィ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
俺の叫びと共に長剣がドラゴンの脳天に突き刺さる、...ドラゴンは力無く地面に倒れると光と共に消えて行った。
...一瞬の静寂が訪れ、そして大歓声が沸き起こった
...俺は世界を救ったんだと言うことにようやく気付いた、...そうだ。救ったんだ、世界を、俺が。
パニック状態から解放された反動からか突然手足が震え出し、涙が止まらなくなってしまった
ミカエル「アナタ良くやるじゃない!!すごいわ!この調子で勇者に──って何で泣いてるのよ!?世界を救ったのよ!?なのに何故泣くの!?」
彩人「うッうぅ...クソ...泣いてねぇよ...ッ」
ずず、と鼻啜り涙を腕で拭いエルフである彼女を見る、...おかしな人と笑われた。...けれど俺は世界を救ったんだ、とても怖かった。
何万人、何億人の生命が存在するこの世界を俺がもし救えていなかったら、と考えると。
...世界は救われたんだ、暗い事を考えてはまたモンスターが生まれてしまう
...そう言えば彼女の名前は何というのだろうか、ふと疑問に思い俺は彼女に名前を聞いた
ミカエル「え?名前?あれ、言ってなかったかしら?私の名前はミカエル、ミカって呼ばれてるからそう呼んでも構わないわよ、よろしくね?園原彩人」
彩人「彩人でいいよ、実際名前で呼ばれた事ないけど....えっ、ミカエル!?ミカエルってあの大天使ミカエル!?」
そう、あの全ての願いを叶えると言われている大天使ミカエル様。
その神が今俺の目の前にいるのだ、...と言うことは勇者になりたいという願いをミカエルが叶えてくれたということになる...俺が自分で叶えたんだけどな
...ミカエル、か...他にも神がいるなら紹介してもらいたい、と俺はミカエルに頼んでみた
ミカエル「他にも神がいるなら紹介して欲しい?別に良いけど、どうして?」
彩人「ミカエルが居るってことはルシファーもいるんだろ?会いたいと思うじゃんか」
ミカエル「ハァ...これだから男子高校生は。確かにルシファーはいる、けれどアイツは今パテリリックに遠征中なの。だから一週間程は会えないわ」
※パテリリック
彩人とミカエルがいるミルクリアという国から遥か遠くの南にある国、ミルクリアとは仲が良く食料や物資を支援し合っている
まさかのよりによって遠征なんて...仕方ない、一週間を早く過ごす為にこの世界の事についてもっともっと詳しく調べる必要がありそうだ。
どうせこの世界に来てしまったなら二度と現実には戻れないのだろう
....そういえばミカエルは何故俺があの高校に居ることを知ってたんだ?...偶然なのかもしれないけれど....あの高校に来れたってことは俺もあの世界に戻れるってこと...!?
ならば今すぐ戻りたい...!戻ってふかふかのベッドで寝たいィィィ...!!
ミカエル「ち、ちょっと!?帰りたいなんて夢見たら──」
夢?夢など見ていないはず...ただひとつわかることはふわふわとして記憶が曖昧だということ
そして気付いた時には、俺は自分のベッドの上で寝ていた、しかも全裸で
あの世界が嘘なのか本当なのか、ただエルフがこの世界にいるということは真実である。
だとしたらもう一度強く願い"夢"を見たらあの世界へ行けるかもしれない
彩人「やっぱあの世界に戻りてぇぇぇぇぇ!!!!!」
夢見る時間と希望を少しだけください
「とある俺の夢事情」
おしまい
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はじめまして、靴べらと申します。
今回が初投稿なのですが続きを考えておりません...
不定期ではありますが続きを書けたら良いなと思っております、今回は読んでくださりありがとうございました!
改めてはじめまして、靴べらです
今回が初投稿で至らない部分が多々あると思われますが楽しんでいただけましたでしょうか?
前書きの通り夢で見た内容を忘れないうちに慌ててメモしたものをこうして投稿させていただきました。
時間があればまた続きを書こうかと思っております、ではありがとうございました!