02-02-37 合流・シーシア
「こっちでもチートとか」
「いやいや、こっちもあっちもチートじゃないし!苦労したし!」
「金持ちでイケメンで頭も良くてスポーツも出来るなら、それはチートだと思う」
呆れたようなラヴィの言葉にサツカが否定するが、カイタが笑いながら追い打ちをかけた。
「それで言うなら俺よりよっぽど章太の方がチートだろ?」
「あれはバグキャラよ」
「バグキャラって」
「金持ちで美少年で全国模試一位経験有りで持久走以外のスポーツは問題なし」
「持久走走らないのも確か「つまらない」が理由だったわよね」
「そういえばただひたすら同じことをするのが嫌いとか言ってたなー。図書館の整理で一緒になったとき」
「なんか……いとこがすまん」
話がそれたことにほっとしつつも頭を下げるサツカ。
そんなサツカの心情を分かってはいるが、特に話を戻そすこともなく、二人はサツカを見た。
「さて、トクタはやらせとけば良いとして、シーシアは?」
「そうそう、彼女はまだ特訓してる?」
「あー。二人もダメか。トクタも……ダメだろうな」
ラヴィとカイタの問いかけにちらりとトクタを見つつ答えるサツカ。二人の眉間にしわが寄る?
「どういうこと?」
「何がダメなんだ?」
「シーシア。ありがとう」
「はい」
カイタとラヴィの後ろに現れるシーシア。
「え?」
「お?」
声に驚いた二人が振り返、にっこりと微笑むシーシアを見て更に驚く。
「え?!」
「お!?」
「いつ来たの!?」
「いつのまに?!」
「サツカさんと一緒に来ましたよ?」
「え!?」
「お!?」
再度振り返りサツカを見る二人。鏡合わせのようなその一連の動きに頬がゆるみそうになるのを堪えつつ、サツカは頷く。
「ずっとそこにいたけど、やっぱり分からなかった?」
「ずっと!」
「!?」
声を上げたカイタ。ラヴィは驚きを表情に出しつつもサツカからシーシアに視線を移す。
「技能?」
「はい。内容は秘密ですけど」
にっこりと微笑みながら返事をしたシーシアに、悔しそうな顔をしたラヴィ。
「ぐー!私も何か特殊な技能が欲しい!」
「そこなんだ」
「そこなんだ」
「そこなんですね」
口をゆがめて呟いたラヴィに呆れる三人。
「持ってる人はそう言うのよ」
それに対して、ラヴィは悔しそうに呟きながらサツカを睨む。
「いや別に。と言うか何故俺だけ睨むのかな?」
「ここにいる中ではあんたが一番チートだから」
「またチートとか言う」
「でも、事実でしょ」
睨むと言うよりはじとっとした内面を探るような目でサツカを見るラヴィ。
サツカは自分の技能や能力を思い出し、思わず視線を逸らした。
「ほら、やっぱり」
「あーまー。うん」
「チートと言えばチートですよねー。サツカさん」
「あ、やっぱりシーシアもそう思う?」
「はい!」
元気よく返事をしたシーシアに抱きつくラヴィ。
「うぇ!」
「やっぱりチョーカワイイ!」
「ら、ラヴィさん?」
「いや、シーシアも結構チートだと思うけど」
「女の子は良いのよ」
シーシアに抱きついたまま、サツカの顔も見ないで断言するラヴィ。
苦笑いを浮かべるしかできないシーシアと、諦め顔で肩を落とすサツカとカイタ。
「で、あんたのチート具合はどんなだったのよ」
「ん?あー。じゃあ、送るね」
「送る?」
カイタが不思議そうに呟いたとき、カイタとラヴィの目の前にウインドウが現れた。
「……なにこれ?」
「俺の技能[指揮]の効果」
「『指揮下に入る』ってなにこれ」
眉間にしわを寄せたラヴィの問いかけに、今分かっている[指揮]の能力を話すサツカ。一つ一つ説明していると、ラヴィとカイタの眉間からしわが取れ、訝しがっていたものから呆れている状態に変わった。
「……やっぱりチートじゃない」
「チートだな」
「チートですよね」
「え?シーシアまで!?」
冷めた目でサツカを見るラヴィと、苦笑いを浮かべるカイタ。そしてにっこりと微笑んだシーシアが同じ内容を口にした。
「総意よ」
「……この技能に関しては、否定はしない」
「サツカさん」
悔しそうに呟いたサツカに声をかけるシーシア。サツカは気持ちを切り替えて頷いた。
「うん。で、二人に試してもらいたいことがあるんだ」
「何をすればいい?」
サツカの言葉に何の疑いもなく返すカイタ。そしてラヴィもその横で気持ちを切り替えている。
そんな二人を見て少し驚いているシーシアを気にせず、サツカは口を開く。
「シーシアが身を隠していても、指揮者である俺は居場所が分かるようになっているんだ」
「そうでないと指揮できないか」
「そりゃそうよね」
「うん。で、二人には同じ俺の指揮下にいるときに、シーシアの居場所が分かるようになるか試してもらいたい」
「グループ的な感じになるかどうかってことね?」
「ああ」
「了解」
「じゃあ、シーシア……って、もう消えてるのね」
カイタとラヴィの意識が自分から離れているのを感じて技能を使ったシーシア。
カイタとラヴィは慌てて周囲を見回す。
「ダメね」
「俺もわからない」
周囲を三回ほど見回した後に二人は諦めてサツカを見る。
「駄目なのかな」
「姿が分からないとクエスト受けているときとか問題があると思うけど」
「そうよね」
「あっ」
改めて周囲を見回す二人。サツカは目の前に浮かぶ自分を含めた人数分のウインドウを触っていたのだが、突然自身のウインドウに新しい項目が追加されたのを見て声を出してしまった。
「何か見つけたのか?」
「あー。[指揮]する人数が増えたりして技能のレベルが上がったのか、新しい項目がでた。ちょっと操作してみるから周囲を見てて」
「了解」
「おー」
サツカがウインドウを操作すると、しばらくして二人の視界に透明なシーシアが現れた。
「おお!」
「透けてる!?」
「姿を隠している状態の相手を見つけると、透明に見えるみたいだ」
後ろが透けている状態のシーシアは二人に向かって手を振っており、かなりシュールな状況に二人は苦笑いを浮かべながら手を振り替えした。




