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02-01-01 カイタは怒られる

「おー。疲れた……」


 扉を出てすぐにしゃがんだ俺は悪くない、と、思う。


「それにしても普通チュートリアルは可愛い女の子がやってくれるもんだと思うんだけど、なんでいかついおじさんだったんだ……」


 怖かった。

 病院で設定した時に注意されていたの忘れてて、すぐメニュー開かないでチュートリアルを始めなかったのは俺が悪いかもだけど、あんなにネチネチ注意しなくてもいいのに……。だいたいそれなら強制的にチュートリアルに行くような設定にすればいいんだよな。まったく。


「はぁ……」


 溜め息も出るってそりゃ。

 ギルドで冒険者登録をしたら、一回帰ろう。




 受付の女の子は可愛かった。

 って、言いたかった。

 なんでそこまで男なんだー!

 男っていうより女の子に見間違えそうな美少年だったけど、俺にそのケはないんだー!




「よし、帰ろう」


 ギルドカードはインベントリに入れた、駒札は首にかけてる。ギルドの地図もインベントリに入れた。クエストの受注もした、片手剣と盾の教習は後で予約を入れる。

 よし、大丈夫だ。


「あ」


 やばっ。[魔力操作]を止めておく[封技]を設定しなきゃいけないんだった。また怒られる!

 それにしても変な設定だよな。チュートリアルの時に設定したらこちらでも継続できるようにしておけばいいのに。


「カイタ!」

「いてっ!」


 メニュー操作を忘れずにやっておこうと思ってギルドロビーの壁に向かって歩き始めたら、頭を思いっきり叩かれた。


「誰!?」

「わたしよ!」


 振り向いた先には美少女。ここに来てやっとの関わった女の子がこんなに可愛いので心の中のテンションがぐわっと上がったが、腐れ縁の幼なじみなのですぐにテンションはゼロに戻った。


「なんだ、もえ……じゃなくて、ラヴィ?でいいのかな」

「あら、よく分かったわね。それに名前も覚えてくれてたんだ」

「長いつき合いだからな。それにあれだけ連呼されれば覚えるよ」


 俺の頭を叩いたのはラヴィこと宇佐木萌香。同い年の幼なじみで、何かとちよっかいを出してくる変人だ。顔は美人だけど、胸部が残念なのが玉にきずである。……あれ?ちょっと大きい?


「カイタ?」

「お、な、なんだ?」


 やばっ。チェックしたのを気付かれた?


「あんた、またバカなことしたんだって?」

「……え?」

「サツカが、えっと……」


 周りをキョロキョロと見る萌香。


「ま、いっか」


 何か気にしたみたいだけど、適当なのはどこにいても変わらない幼なじみクオリティ。


「本城が色々知ってたわよ」

「……何を?」


 司が?


「なんか蛇の化け物と戦ったらしいじゃない。どうせメニュー開いてチュートリアル始めるの忘れて走ったりしてたんでしょ。本城に事の顛末と自分の置かれてる立場を聞いてきなさい」


 何故分かるかな。

 っていうか何故司が知ってるのか。


「これから戻るところだよ」

「そう。じゃあこっちの世界で二時間は戻らないわね。私は細剣の教習を受けてくるから、こっちに来たら連絡して」


 萌香が目の前で指を何回か振ると、視界の右上に赤い光点が生まれた。


「なにこれ」

「今、技能の[書状]を使ってメッセージ入れたけど届いてない?」

「えっと、さっき貰ったあれか」


 メニューを思考だけで開くと、メッセージ受信のメッセージが、画面に出ている。


「おー。じゃあ返信はこれでこうして……送信!届いた?」

「操作に慣れるの早いわね……」


 何故そんなに嫌そうな顔をする。

 そっか。ここでも電子機器の操作は苦手なのか。思うだけで色々出来るから、思考操作型デバイスと同じで良いと思うんだけど。


「うん。届いた。ちゃんと忘れずに連絡しなさいよ?」


 そういえばこいつは思考型デバイスで大失敗してたな。


「おー」

「連絡しなさいよ!」

「……はい」


 他のこと考えながら返事したのがバレた。


「あ、もう時間になる!それじゃあ私は行くけど、向こうに戻ったらちゃんと本城に連絡しなさいよ!心配もしてたから!」


 こちらを何回か振り向きつつ、時間がないと言いながら駆けていくけど、大丈夫なんだろうか。

 ま、方向音痴では無いはずだから大丈夫だろう。


「では、俺も行きますか」


 とりあえず地図を見よう。

 戻る専用の場所とかないのかな?






 大志館って名前、ダジャレだよね。

 その中にあるトイレみたいな個室に行き着くまでにちょっと時間がかかった。

 迷うような造りじゃないけど、なんか時間かかったのは何故だろう。

 疲れているからかな。

 そう結論付けて、イスに座る。

 お、自動で鍵がかかった。

 メニューを開いて、大志館の受付で貰った紙を見る。


「えっと……とどのつまりはメールの設定か……めんどくさいけどやっておくか」


 思考型デバイス万歳ということで、サクサクと進めるけど一つ気になることが。


「[書状]って中のプレイヤー同士でしか使えないんだよな。多分。つしおみの人も使えるなら、あんな鳥を使ったりしないだろうし」


 プレイヤー仕様といえばそうだし、AI同士でメッセージ送りあうのも想像出来ないけど、なんとなく他の技能と違う気がした。

 一番時間が掛かったのが自分のアドレスを入れるときというアホをしつつも設定を終わらせて、メニューを閉じる。


「って、ダメじゃん」


 メニューを開き、一番下の転移を触る。

 何回か思考でやろうとしたけど、これはダメらしい。

 ま、なんかの勢いで「もう帰る!転移する!」とかいって作動したらやばいか。

 そんなことを考えていると目の前が暗くなり、眠りに落ちるような感覚で意識が消えた。

 

 



 


 


 


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