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第8話 昼寝と夕食会

「「うおわっ」だってぷくくっ。」

いつの間にか避難していたナーニャが戻ってきて何やら笑っていた。


「ん?」


「あ。変な声あげながら飛んでった自覚がないな~。面白くないニャ~」

残念そうなナーニャはスルーしてガイル先生の方を見ると批評が始まる。


「とりあえず評価だが、お前・・マコトはレベル幾つだ?」


「レベルは18です。」


「そんなもんか。いや、一回生としちゃそれなりに抜きん出てはいるが、そのレベルでよくあんな攻撃が出来るな。ああ。先に注意しておくが、他の先生方にはいくら実技の授業とかであっても同じような事はするなよ。死人が出るぞ。」

「授業は魔法は適正があるから取るのは当然として、俺の授業を取れ。加減を覚えとかんと大変な事になるぞ。」


「えっと・・了解です。」

どうもやり過ぎたようだ。あくまでそこに標的が止まり続けて向こうが攻撃してこない条件が必要な欠陥魔法なんだけどな~。前もって使い捨てのエンチャントアイテムも準備しないといかんし。


その後

印象も少し悪そうなので、ゴマスリと痕跡を消すために後片付けを買ってでる。

実力を試したくなって持てる技で挑んだが、他の生徒に実力をバラす必要はないしね。幸いまだ三番手の生徒は現れていないし。さっさと地面を綺麗にしておこう。


・・・。

・・・・・。

・・・・・・・・・。


気がつくと空が赤くなっていた。


「あれ?」


広場の端で寝ていたようだ。

毛布がかけられている。


「あっ、やっと起きたニャ」


どうやら適正テストはとっくに終わっているようだ。ナーニャに話を聞くと間が飛んでいる理由が分かった。


俺はクレーターを土魔法で平らにならした後、魔力が足りなくなって横になってそのまま寝こけていたらしい。


テストが終わり解散したのは小一時間ほど前らしく広場にはまだ少しだけ生徒が残っていた。


「よう。マコト。なかなかいい身分だな。とりあえず夕飯食いながら話をしようぜ。」


話掛けてきたのはクリスだ。騎士を目指している。横で小柄な男の子が激しく頷いている。こっちはラスクって名前だったか癒しの神を信仰している司祭見習いだった筈。


いい身分ってのはぐっすりと寝ていた事と美少女3名が回りを取り囲んで待たせているかのような構図のせいだろうか?


「マコト様。やっと起きられましたのね?では、こちらに乗って下さいませ。」

と、いきなり馬車に乗るように話掛けてきた美少女はこの前助けたシェリーだった。


寝起きで、理解が追いついていないでいると、


続けて話しかけられる。

「マコト様。先日のお礼をさせていただきたく。お話は道中でも出来ますのでまずはお乗り下さい。」

さらに腰の低い感じで話掛けてきたのはお付きっぽく思えてしまうシェリーの友人のミシェルだ。


「なんかご飯用意してくれてるんだって。さっさと乗るニャ!」と既に馬車に乗り込み中から身を乗り出して話掛けるナーニャ。


以上の3名が起きるのを待たせていたようだ。


クリスとラスクの方を向くが

クリスが口を開く。

「俺たちもご相伴にあずかるからさっさと乗れ。」


釈然としない気持ちになりつつ馬車に乗りこむ。乗り込む時にナーニャが耳打ちしてくる。


「シェリーがマコトを狩りの獲物を見るような目で見てたニャ。気を付けるニャ。」

極端な表現だな〜。有望な人材として見られてはいそうな話か。ナーニャの感覚は馬鹿に出来ないから強引な勧誘を計画してるのかもしれないな。


シェリーに勧められて、席につく。


中は意外と広く、令嬢が使う馬車としては簡素な気がするが使われている素材の高級感がすごい。板1つ見ても光沢があり滑らかな手触りで深く濃い茶色が重厚感のある感じだ。


席は男性陣と女性陣が横一列になった。

ついナーニャの発言でシェリーを見やる。


「?」


視線の意味が分からず一瞬キョトンとした表情を見せつつ柔らかな微笑みを返すシェリー。整った顔立ちと気品につい見とれそうになり視線を変えると既にクリスの目はハートマークで聖職者見習いのラスクですら頰を赤くしてボーっとしている。


「ん。ゴホンッ」

ワザとらしい咳払いをするミシェルがメガネの位置を直すような動作をしながら用意していたようなセリフ回しで話始める。


「改めまして、先日は危ないところを助けて頂き誠にありがとうございました。お約束は外食という事でしたが、住まいも決まりましたので夕食会を寮で準備しております。マナーが気になるとの事でしたので、立食形式にしましたのでマナーはほぼ気にされなくて大丈夫です。」


「ミシェルは喋り過ぎです。私が喋る分がないじゃないですか。わたくしからも改めて御礼申し上げます。危ないところを助けて頂き本当にありがとうございました。」続けてシェリーがそう言って深々と頭を下げる。


謙遜を口にしつつ頭を上げるようにお願いしていると、

事の顛末を理解したクリスが意外そうな感想を述べる。

「シェリーさん。あんなに強かったのに拐われそうになったのか・・」

「私の力は普通は守り手がいないと使えないですわ。」

話が分からないので詳細を聞こうとしたところで、馬車が止まる。


しょうがない。話は一旦止めて馬車を降りる。そこは学舎からほど近い貴族用の寮があるエリアだった。


「すごいニャ〜。」

ナーニャが言っているのは建物の事だ。城か教会と見間違うほどの大きな建物だ。(ここは・・王族御用達の建物じゃなかったか?)俺はとある理由から学園内の建物を一通り学園のシステムを使って閲覧している。この建物は国の持ち物のはずでかなりの地位でないと借りれないはず。シェリーは大貴族かもしかすると王族に連なる親族かもしれんな。すごい大物と知り合いになってしまったな。


「流石にこの建物にはマコト様も驚かれたようですわね?」

色々考えていたら、驚いて固まっている男性陣他2名と同じ状態と判断されたようだ。


「その、様付けはお辞め頂けませんか?色々と憶測を呼びそうですし。」

「命の恩人に様付けは当たり前です!

ですが確かに時と場合は選んだ方がいいかしら?」

「そうですね。まあ、事情を知るこのメンバーでなら様付けは問題ないでしょう。それより、いつまでも建物の前に立っていないで中にお入り下さい。」

シェリーに都合のいい適当な相槌をしつつミシェルが建物の中へと誘導する。


中に入るとそこは大広間で中央に巨大なシャンデリアその奥には大理石で出来た巨大な女神像が中二階にあり左右の階段がそこで折り返して二階へと続いている。昼食会場は二階との事なのでその階段を上がる。


「す、凄すぎる・・ニャ。学園の中にこんなとこがあるなんて知らなかった・・ニャ。」

「ニャの後付け感がすごいぞ。」

思わずツッコミを入れる。


「ここには何人住んでのニャ?」

俺のツッコミを無視してナーニャが質問する。


「使用人が2名とコックだけですわ。流石に掃除しきれないので部屋を決めて使うつもりなんですの。」

「?!」

想定していた返事でなかったのだろう。ナーニャは理解が追いついてなさそうだ。ナーニャの理解が追いついていない事を含め理解が追いついている者が俺以外にもう1人いる。そしてその人が補足説明を入れる。

「生徒で住んでいるのはシェリー様以外だと私だけですね。」


「貸切ニャ?」

ミシェルの説明で理解が追いついたナーニャは更に確認する。


「そうですね。私も住んでるので正確には貸切ではないですが、貸切に近いですね。」とミシェルが解答する。


恐らく貴族の優遇と学園の生徒が平等に過ごせるルールの狭間のための措置のように思える。


「過去の事例に基づく配慮のように思えますね。建物の規模からも伺えますがシェリー様の家柄はそうとう歴史の長い名家ですよね?」


感心した表情のミシェルが返答する。「なかなかの考察ですね。シェリー様はミナモト家のご令嬢です。」


「ミナモト家。あの高い戦闘能力を保有する武家で王家とも親戚筋の・・。」騎士を目指しているカイトが話に加わってくる。騎士を目指す上で雇い主となる貴族の事を勉強しているが故の発言だろう。


会話しているうちに会場に着いたようだ。ダンスホールに立食用のテーブルが置いてありすでに食事は準備済みで品によっては湯気が出ていて出来立てなようだ。ダンスホールは100人は入りそうな大きさだ。流石に中央にテーブルを置いても落ち着かないと判断したのか、割と入口に近い端の方に置いてある。


その後シェリーの挨拶があり食事を楽しむ。サンドイッチや上品なサイズの骨付き肉にプチシュークリームや一口サイズに纏められたゼリー状の野菜の煮込んだものだとか、本を読み漁っていたおかげで大体の食べ物が何かは分かったが、初めて口にするものも多く。特にナーニャとクリスがはしゃいでいた。


余り意識していなかったが昼を食べていなかったので食べだすと美味しいのもありかなりの勢いで食べてしまった。

落ち着いたのを見計らったようにシェリーが近づいてきた。

「ご満足いただけましたか?」


「十分堪能させて頂きました。話に聞いた事はあっても中々食べる機会のないものばかりで、非常に美味しくてびっくりでした。」

本当はがっついてしまってゆっくりと味合わなかった事を若干後悔しているのはカッコ悪いので顔に出さないように努める。料理の話題を続けるとボロが出そうなので馬車で聴き損ねた事を訪ねる。


シェリーの活躍の場は適正テストだった。ガイル先生はその後もひたすら腕を組んで仁王立ちで微動だにしなかったらしい。唯一、拳を振るわせたのがシェリーだったそうだ。


「風の精霊を召喚して攻撃して凄かったんだぜ!」とのクリスの話だが何が凄いのかわからん。


「あれは風の精霊のスキルを利用して一定の空間の成分を生物に適さない環境に入れ替えたんだと思います。」とすかさず追加情報を入れてくるミシェル。


「よく分かるわね。私の召喚術は呼び出しまでに時間が掛かるのが一番の難点で、普通は呼び出し自体阻止される可能性の方が高いのですが、ガイル先生は待ちの一手だったので、力を使う事が出来ました。力技では、誰も通用していなかったので、ミシェルの言う呼吸を阻害する策を講じたんですが、すぐに反撃されて風の精霊も倒されてしまいましたわ。」


「いやいや。あれはガイル先生が異常なだけで、攻撃させただけでも凄いですよ。何しろ放っておくとガイル先生にもダメージになると判断する攻撃をしたって事です。」

今度の発言は分かりやすいなクリス


「そうです。と言うかガイル先生は本当に異常ですね。普通の攻撃では精霊にはダメージすら入らない筈なんですが。」とミシェル


「俺なんて剣で叩き切ろうとしてるのに終始カキンッって金属音がするだけだぜ・・。っとそうだ、聞いたぞマコトもガイル先生に手を出させたんだってな。」


?!


返答を保留しつつ事情を聞くと、

やたら昼寝し続けていた俺は悪目立ちしていたようだ。痺れを切らした奴がいて起こそうとしたところをガイル先生が止めたらしい。「そいつも俺に拳を振るわせた奴だぞ。テストで力を使い切って寝てるからそのままにしておけ。」と。


「流石はマコト様ですわ。嗚呼っ。わたくしももっと早くに来れば良かったですわ。マコト様の勇姿を見逃すなんて。」


勇姿って・・。


俺の攻撃方法もやたら時間掛けた自然現象を利用した一発芸的なものだしな〜。


その後どうガイル先生を攻撃したのか質問責めにあったがなんとか奥の手で秘密だと押し通した。


「っと、そろそろ、帰らないとな。」

窓から見える景色は既に暗く黒一色だ。歓談が楽しくつい長居をしてしまった。

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