借金返済
チュン、チュ、チュン
小鳥の鳴き声がする。
朝かな
眼を開けると隣に人が居たのでびっくりして声を出してしまった。
「うわぁぁぁっ!」
そうだ
昨日は長谷川さんと寝たんだった。
長谷川さんも起きてしまったらしく
「あっ、おはよう」
「ごめん、起こしちゃったね」
「えっ?いや・・・」
「じゃっ、僕下に行くから。着替えてきなよ。指輪もつけて来てね」
下に降りると、クレメンスさんが朝食を準備してくれていた
「おはよう、クレメンスさん」
「おはよう、永遠」
トントンと長谷川さんが降りてきた。
「おはようございます」
それから3人で朝食をとり終わると
「さっ、もう学校には連絡しておいたから早速行動しましょ」
分担はクレメンスさんが部屋と食材の用意
僕と長谷川さんが、借金返済と家具の買い付け
アタッシュケースと財布に30万を持ってクレメンスさんが調べた金貸し業者のところへテレポートした。
門を見ると槌喜多組と書かれてる。
もしかして・・・
「もしかして、ご両親がお金を借りられたのって・・・」
「そう。ここ、槌喜多組から」
僕たちは、門をくぐった。
「おい、ガキがここに何のようじゃ?」
これがヤクザさん?
「え〜とですね、長谷川さんのご両親がここからお金を借りられたそうなのでここの責任者にお取次ぎ願いたいのですが」
「長谷川ぁぁ?まぁいい、金は持ってきとるんじゃろうなぁ?」
「はい。ここに借りたお金より1300万円多い1億が」
1億と聞いて男たちの顔が緩んだ
「そうかそうか。まぁ通れや」
僕たちは奥へと通された。
「金は?」
「1億持ってきました」
「残念だったな。昨日までは1億でよかったんだが今日から2億になったんだよ。利子だよ」
「そんな法外な利子を払う義務はありません。1億で十分でしょう?」
「ホラ、ここに借用書があるんだ。さッさっと払いやがれ!」
「失礼します。さッ行こう。長谷川さん」
僕たちが帰ろうとすると男たちが4,50人集まってきた。
「通してください」
「力ずくで通ってみろや!がはっは」
1番強そうな男の人に釣られ笑い声が大きくなる
「怪我しますよ?」
男たちの笑い声がまた大きくなった。
「怪我するよだってよ。ヒャハハ」
「言うねぇ。兄ちゃんやってみろや」
「では、怪我したくない方たちはどいてたほうが良いですよ?」
誰も動こうとしない・・・いいのかな?
「では、槌喜多組は本日解散ということで」
攻撃のスペルを唱えた。
このスペルは、攻撃の呪文の中ではあまり強くないほうだけど・・・
男の人の横にある柱に触れて
ドギャァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン
門ごと吹っ飛ばしてしまった。
もう少し力を抑えたほうが良かったかな
後ろに居た人たちに振り向いて
「ハイ、これで槌喜多組は解散してくださいね。それと、早く救急車呼んでやってください」
やはり力が大きかったためか外のほうで半分以上の人たちが伸びてる。
参ったなぁ。
大戦の時は思いっきり力を振るえたのに・・・
少し力を抑える練習してみようかな?
「さぁ、長谷川さん。家具、買いに行こっか」
そういうと長谷川さんは、怒ったように
「澪。澪って呼んでくれるんじゃないの?」
クレメンスさんの影響かな?コレ
「分かったよ。行こう澪」
「うんっ」
それからは、家具を買っては家に居るクレメンスさんに転移魔法で部屋に入れてもらうという作業を繰り返した。
辺りが紅色に染まったころ・・・
3人で夕食を食べていた。
「今日は大変だったね。永遠、澪ちゃん」
「別にそこまでってわけじゃないよ」
夕食をとり終わり澪の部屋の家具の配置に追われた。
11時にようやく部屋らしくなったところで僕は失礼した。
肉体的にも疲労が蓄積していたのですぐ眠れた。
その日は夢を見た。
何年も前の夢だ。
爆音、血、武器
力のみがものをいう悪夢
オーク、獣人、エルフ、ヒューマン、魔獣
それら全ての生き物に家族、友が間違いなく居た
そして何年も生きてきたものたちを一瞬にして葬り去ったのも僕であり同じ生き物だった
魔法、剣、拳
終わることのない復讐の連鎖が今もまだ続いているのかと思うとこの平和のほうが夢に思える
昔、仲間に聞いたことがあった。
この戦いが終わったらどうするのか、と
魔法の国、魔法の島を転々とすると言った
そういえば、このあと重大なことを言われた気が・・・
朝だ
何かを思い出した気がするんだけどなぁ
いつものように僕は下へと降りて行った