第60話 魔王
目覚めると慌ただしく獣人の冒険者が駆け込んできた。
「ユウマ様!大変です!」
「どうした?まず落ち着けな」
なんかつい最近もこんな感じだったような……
「王国が……消えました……」
消えた?消滅?なんで?
「巨大な怪物により、一晩で壊滅したようです……」
マジすか?アレですよね、遊戯の神さんが言ってた奴ですよね?マジかーそんなの相手にしなきゃならんのかー
「それともう一つご報告が」
えっ?まだあんの?
「魔王がお見えになっています」
「えっ?なに?もう一回言って」
「魔王がお見えになっています」
おー二つも問題持ってくるなーTPOをわきまえてくれよ。
「いかがなさいますか……」
「いかがなさいますかって……どうしたらいい?」
突然だからノープランだぜ。
「私に聞かれましても…」
そりゃ困るよね。俺も困る。
「魔王は俺が目当てなのか?」
流石に魔国まで名前がいってるとは思わない。帝国との戦争も俺よりリル達や受付嬢さんのほうが目立ってたし。
「はい。どうやらそのようです」
「なぜ⁉︎」
思わず声が出ちまったよ。
「聖女様からの紹介のようです」
「あの絶壁…覚えてろよ…」
いかん、いかん。イライラしては憤怒の種が発芽してしまう。平常心、平常心。
「ふぅ。で、なんのようなんだ?」
「それが…「いつまで待たせるつもりかしら?」ま、魔王様!」
こいつが魔王か……
目の前に10歳くらいの幼女が立っている。長い黒髪は地面につきそうなくらいで、足が黒く変色してるようだ……
「お初にお目にかかります。無傷の殲滅者様。武勲は聖女様よりお聞きしております。私がヘイム魔国で王を務めますヘルと申します。以後お見知り置きを」
なんつう言葉遣いする幼女だ。しかしヘルね〜
ヘルは手をさし握手を求めてくる。
「いや、握手はやめておこう」
「何故ですか?変な事はしませんよ?友好を無下にするおつもりですか?」
「いやなら喋らなくてもいいんだが……不死のスキルがあるだろ?」
「看破をお持ちなんですね……」
鑑定じゃなく看破か…隠蔽してたんだな。
「いや、看破どころか鑑定もないよ。神様の助言だ。俺には鑑定出来ないだろ?」
「……」
「無言は肯定ととるぞ?俺にはスキルが効かないんだ。俺に近づくとお前さん死ぬぞ?」
「分かりました。私の身を心配していただいたのですね…ありがとうございます」
ヘル……悪戯の神ロキの娘で死者の国ヘルヘイムの支配者。その半身は腐ったように黒く変色していたとされる。死者を支配する役割を与えられていたと言う。
何となく不死者のスキルを持ってる気がしたんだ。遊戯の神さんも言ってたし。
「で、俺に何かようか?」
「我が魔国を助けていただきたいのです」
「助ける?」
「先日、王国が壊滅しました。次は魔国が危ういかと……」
「理由は?」
「距離です。王国からなら帝国…いえ教国よりも魔国が近いですから……」
「弱いな」
「えっ?」
「理由が弱い。多分次に来るのは教国だ」
「なぜそう思われるのですか?」
「王国を襲った化け物には目的がある。あんた大罪を持ってるだろ?」
「…なぜ?」
「俺の称号が反応してる。色欲か?幼女で色欲は辛いな…」
「発芽させてませんから…」
「まぁいい。化け物の目的は大罪を集める事だろう。彼奴は原始的スライムで自我がない。最初は暴食により行動していて、今は強欲で大罪の価値に目がくらんでるはずだからな」
「詳しいのですね」
「神にきいたからな。でだ、教国にはあと3つの大罪がある。嫉妬、憤怒にヘルの色欲。傲慢は俺が砕いたから残りは怠惰だけ。仮に魔国に怠惰が居たとしても数的に多い教国を目指してくる可能性が高い」
「なるほど…分かりました。では私もこの集落に留まります」
「……そうなるよな〜」
「いやですか?お礼は身体で払いますよ?」
「…色欲発芽してるだろお前。俺は幼女に興味ねぇよってか触れたら死ぬぞお前!」
「あぁそうでした。残念」
「ウチだと危ないから外の宿か、首都にでも行ってくれ。同じようは魔国に被害がなければいいんだろ?」
「はい、そうですね。聖女様の所でお世話になりましょう」
「あぁそうしてくれ、心臓に悪い」
突然の魔王襲来はこれでなんとかなった。幼女で魔王で不死者で突っ込みどころはいっぱいあったが、危なくて聞く余裕がなかったぜ。
さて、スライムが来るまでどうするかな……
先日から新しい小説を掲載はじめました。
作風は変わりますが、宜しければそちらもご覧下さい。
おい異世界!商売舐めるなよ!
よろしくお願いいたします。




