第57話 vsハルラース帝国
「それで敵の数は」
「正確には分かりませんか、万を超える軍勢です」
俺は今、挙兵した帝国軍について獣人の冒険者から報告を受けている。
「大将は王子か?」
「はい。それと…勇者もいるようです…」
やはりいたか…バカだな。あっ!バカだった。次は容赦しないぞ?
「分かった…ありがとう」
「いえ、それでは」
獣人の冒険者は足早に去っていく。次はギルドに報告するそうだ。ギルドより俺が先ってなんだかなぁ。
「リル、サラ、アメ。出掛けてくる」
皆んなに告げる。集落に軍勢が来る前に打って出るべきだろう。ここはハクアみたいな城壁はないからな。被害を抑えたきゃ広い場所に行くのがいいだろう。奇襲にもなるし。
「主人殿、私達もお供いたします」
「は?俺は出掛けて来るとしか言ってないぞ?」
『いや、今のタイミングで出掛けるって、それしかないだろ?』
いやまぁそうだけど…
「私達も弱くないですよ?」
いやまぁそうだけど…
「僕も行くよ!」
なんでヨルムが此処にいるんだ?
「アメはご飯作って待っての!夕飯までに帰ってきて欲しいの!」
アメさんそれは流石に無理じゃないかな?
「……」
「主人殿」
『ユウマ』
「ユウマ様」
「兄ちゃん」
「…だぁ!分かった勝手にしろ!……ただし、着いて来れたらな!」
俺は全速力で駆け抜ける。サラ達もレベルが上がって早いが、瞬殺者を発動させた俺より早く動ける奴はいないと思う。あっと言う間にトールの街(覚えてるかな?最初の街だ)を越し、帝都方面に向かって突き進む。
あれか?1時間ほど走ったら軍勢が見えてきた。なるほど…確かに万は超えてそうだ。サラ達でもあと3時間はかかるだろう。一般人なら8時間はかかる距離まできた。その間に殲滅しますか……
奇襲開始!無傷の殲滅者発動!大地の籠手で広範囲に岩の棘を作り出す!
帝国軍は慌てている。奇襲を受けて統率は崩れた!
チャンスだ!蜻蛉切に魔力を込めて突貫する!最大30m程にできるようになった刃が帝国軍を薙ぎ払う!
大地の籠手で遠距離、中〜近距離を蜻蛉切で倒していく。
薙ぎ払う
突き刺す
薙ぎ払う
落とし穴、アーンド蓋!
薙ぎ払う
突き刺す
やっても、やっても減らねえ!
グボナだけでも連れてくればよかったかな?無傷の殲滅者とか称号あっても、俺の能力は多人数に基本向かないんだよ。極大魔法とか使えねぇし!怪我したら無傷の殲滅者すら使えなくなるし!
もうかれこれ5時間は戦闘している。幸いまだサラ達は到着していない。
しかし、帝国軍はまだ半分にもなっていない。クソ!どんだけいるんだよ!ってか万の軍勢が一人に半分近くやられてんだぞ⁉︎心折れろよ!
そんな事を考えているとサラ達が到着したようだ…あちゃー怒られるじゃん俺
突然付近の兵達が一斉に俺に飛びかかった!俺は蜻蛉切で薙ぎ払うが次から次に飛びかかってくる!
何が起こった⁉︎
等々捌き切れなくなり俺は接近を許してしまうと、無数の矢が俺に降り注ぐ!
こっちが本命か!大地の籠手で壁を…ダメだ間に合わない!
致命傷になる傷はないが、何本か当たって頬や手足に傷を負ってしまった。
無傷の殲滅者の効果が切れる……ヤバイ
瞬殺者があるし、レベルも高いからそうそう負けはしないが数が違いすぎる!無傷の殲滅者の効果は絶大だったんだ、それがないと…
俺はあっと言う間に囲まれる。近づいてくる奴は問題ないが、また矢が降ってくる。敵味方御構い無しかよ…
此れも致命傷にはならないがジリジリ削られていく…ここまでなのか
その時!
「主人殿に!」
「ユウマ様に!」
「兄ちゃんに!」
「「「何しやがる‼︎」」」
リル、サラ、ヨルムが魔獣化、竜化した。デカイの三体もいると圧巻だ。
同時にグボナが俺の処に飛んできた
『よっ無事か?』
「無事に見えるか?」
『おぉ無事に見えるぞ?俺はこれでもサラ達より冷静なつもりさ』
「いや、結構ジリ貧だった。正直助かる」
『ユウマが俺に礼を言った!槍でも降るんじゃないか⁉︎』
「矢だったらさっきから降ってるけどな」
リル達はそれぞれ帝国軍を蹴散らしている。一体一体が国を壊滅出来る魔獣やドラゴンズ。それが三体…あぁ俺いらなかったんじゃね?
『援軍はまだいるぞ?あっち見てみ』
グボナが指すほうを見ると冒険者達がいる。先頭にいるのは……受付嬢さん?いつもと違ってキラキラ光る際どい鎧を着て、両手に剣を持っている!
「我等の地を汚す帝国に鉄槌を与えよう!」
何かカッコいい事言って帝国軍に突っ込んで行った!受付嬢さんが光輝きながら帝国軍を切り裂いて行く…強すぎないか?なんか雷背負ってるよ。なにあのスキル怖いんだけど。
ちょうどよくクーリンさんが通りかかったので捕まえる。
「クーリンさん、ちょとあれ、受付嬢さんどうしちゃったんですか?」
「ん?ユウマ知らないのか?ギルマスは帝国では唯一のSランク冒険者だぞ?」
「へ?」
「双剣の戦乙女レジカ-スカーレットって言ったら有名なんだけどな」
「受付嬢さんってレベル40代じゃありませんでした⁉︎」
「それ偽装スキルだぞ?確かに200は軽く超えてたはずだ。もういいか?俺も暴れてくる!」
そう言ってクーリンさんが走っていってしまった。
人を化け物扱いしといて自分の方がよっぽど化け物じゃねぇか!受付嬢さんの名前知っちゃったけど嫌味を込めてこれからも受付嬢さんと呼んでやる!
『あとあっちな』
まだいるのか?と思いながら向くと、金棒で無双するレンと、極大魔法ぶっ放してるじぃさんがいた。
あと何人か鬼人族がいるなぁ。
なんかもう過剰戦力だよね。いや数は圧倒的にこっちが少ないんだけどさ……
もうドンドンと敵の数は減ってきている。そうなると気になるのは彼奴だが…
「無傷の殲滅者ぁぁぁ!」
やはり来たか!
勇者が現れた!




