第53話 ダンジョンマスター
リルが暴走してから一週間が過ぎた。この一週間は無理に進まず29階層の森を探索していた。森にはやはり魔物は居らず、何処までも広いワンフロアが広がっていた。
移動には転移魔道具を使って時間節約している。なんでホント気づかなかったんだろ…一応、ダンジョン前までは言って管理の人にダンジョンに入る事は伝えてる。なんかあった時、攻められたら可哀想だし、管理の人が。
魔物はいないが、生えている植物は貴重な物だった。様々な治療薬に使えるそうだ。ギルドで良い金額で買い取ってくれた。
森に空はあるけど日が暮れる事がなく、時間感覚が可笑しくなる。この世界に持ち運べる時計はないので、リルの腹時計だよりだ。意外と正確でビックリする。
ユリカに作ってもらったガスマスクで俺たちは花粉に悩まされず探索出来ていた。他の冒険者がこのフロアに辿りつけばユリカはボロ儲けだろうな。
さて、一週間も探索(実際は休みもあったから実質四日くらい)すれば当然階段は見つけてある。先に進まなかったのはリルの刀が仕上がるのを待っていたからだ。
スキルで作ればすぐじゃないのか?とか思ったが、新しい素材での試みだから構造を把握するのに時間が必要だったそうだ。あと店もあるから、刀ばかりに時間をとってられなかったとも言ってた。それでも優先的に仕上げてもらったんだから文句は言うまい。なんだかんだ、ユリカには世話になってる。
そして今、刀を受け取り万全の体制で俺たちは30階層にあがる階段にきている。
「さぁ準備はいいか?」
『おー!』
「問題ありません」
「私も大丈夫です」
グボナ、サラ、リルがそれぞれ返事をする。
「それじゃ行くぞ!」
俺たちは30階層への階段を登った。空を登る訳じゃなく、空間に開いた穴のような所に入って行く。階段が空まで続いてたら遠くからでも階段の場所がわかっちまうよな?
登り切るとまた、ダンジョンはまた洞窟型に戻っていた。目の前には扉があり周囲にはなにもない。
「はじめてのパターンだな」
『いや、森の後に似たパターンがあっても怖いから』
なんかグボナに負けた気分になる。
「ボスの扉に似てますね」
「似てると言うかフロアボスの扉だと思うぞリル」
「そうなのですかサラさん?でも階層ボスって今まで次の階段の前くらい部屋ありましたよ?」
「リル…だからはじめてのパターンなんなだよ」
リルは奥義、天然を炸裂させた。
『こうなると、フロアボスってよりダンジョンのボスが居そうだな』
「それフラグっぽいな」
確かに居そうだ。このダンジョンがいつからあるか分からないが俺たちがこのダンジョンを見つけて…いや、ダンジョンに現れて4ヶ月程度、まだまだ若い。その分階層が低くても不思議じゃない。
「まぁ立ち止まっても仕方ないから入るか」
バッ!と勢いよく扉を開けてはいると……
超巨大な大蛇がいた!魔獣化したリルや竜化したサラより更にデカイ!
『…魔獣化』
へっ?魔獣化?
グボナが呟くと大蛇の尾がサラを突き飛ばす!
「サラ!野郎!」
俺は大地の籠手で攻撃するが、硬い鱗がそれを受付ない。竜化サラ並みに硬いんじゃないかこれ⁉︎
「ユウマ様!相手は私と同じ魔獣化した者です!称号に《大地の杖》があります!キャ!」
「リル!」
今度はリルが突き飛ばされる!魔獣化したハーフ、ヨルムンガンドか!じゃリル達同様、スキルを無効化すればいい!
俺はスキルブレイカーの範囲を広げる。このデカブツが入る広いフロアでも下の森みたいに再現ない訳じゃない。十分フロアをつつめる。
スキルブレイカーに触れれば、ヨルムンガンドが淡く輝き小さくなっていく。
小さくなっていく
小さくなっていく……
ちょっと小さくなりすぎしゃないか?
光が治ると12歳くらいの男の子がいた!
「えっ⁉︎えっ⁉︎なんで⁉︎」
男の子は混乱している。なんか攻撃する気にもなれないので、スキルブレイカーを維持しながら観察していると、サラとリルが戻って来た。
「怪我はないか?」
「あの程度で怪我する鍛え方はしていません。質量の差で飛ばされてしまいましたか…ご心配お掛けしました」
「私も大丈夫です」
うん、サラもリルも大丈夫そうだな。では目の前の男の子どうしようか…
『ユウマ、その子、ダンジョンマスターみたいだぞ?』
「えっ⁉︎」




