第52話 リルとダーツ勝負
さて、お次はダーツだ。
「カウントアップでいいですかユウマ様?」
「いや、折角だから501にしよう。練習してたんだろ?」
「わかりました。次こそは頑張ります!」
いや、ビリヤードも十分上手かったからね。俺が勝てたのはリルの知らない技術を使ったからだし。
さて、ダーツだ。リルの言ったカウントアップはよく知られるルールだ。
真ん中がブルって言って50点、その円周に1〜20点がある。一番外側がダブルって言って書いてある点数の倍になる場所。中心と外側の丁度中間にトリプルって言う三倍になる場所もある。実はブルより20点のトリプルの方が点が高い事実。台によっては中心にさらにダブルブルって100点の場所がある物もあるけど、これにはない。
1回が三投で、相手がいる時は交互に投げる。8回で終了。点数が高い方が勝ちだ。この台だと20点トリプル×三投×8回で1440点が最高だ。そんなの見た時ないけどね。一般なら500点とれればいいんじゃないかと思う。
501はカウントアップとぎゃくに点数が下がっていく方式。ただ、ピッタリ501点を減らさなきゃ終わらない。オーバーした場合は、オーバーする前の点数に戻る。他に301や801なんかもある。
有名な遊び方にはあとクリケットって言うのもあるけど、今回はやらないので説明は省く。
さて、リルの1回目…いきなりハットですか…スゲーな
ハットは三投全てをブルにあてる事だ。サッカーのハットトリックとの関係は知らない。
プロなら普通だろうけど、一般人が遊びでやるなら1〜2回ハットがでたらいいほうだと思う。初心者なんかまず出来ない。結構練習してたのかなリル。
「どうですかユウマ様!」
「あぁ凄いなリル」
リルの頭を撫でる。嬉しそうな顔をしてるので思わず抱きしめたくなるが、さっき約束したから我慢しなきゃだ。
って、負けたら人前じゃずっと我慢しなきゃならなくなる!真剣にやらねば…
俺はリルを越さなきゃならないから20のトリプルを狙う。少し下に外れたがブルに入った。二投目は20点三投目でやっとトリプルに入った。
「ふふふ、私がリードです」
リルがニヤニヤしてる。まだまだこれからだ。リルの二回目はブル、ブル、18点。最後少し下にそれてしまった。
「あぁ連続したかったのに」
そんなほいほいハット出されてたまるか!俺は再度20のトリプル狙い。一投目はブルになったが二、三投目はトリプルに入った。
おぉ〜昔より上手くなってる気がする。槍投げ効果か?いや、関係無いか。
次にリルはまたハットを出して残り83点、俺はなんと全部トリプルに入って残り21点だ。お互い上手く行けば次で勝負がつく。
リルの一投目はブル。残り33点。二投目はなんと20のトリプルに入ってしまいオーバー。リルは83点に戻る。
「あぁぁぁ」
リルが地に膝をつき悲鳴をあげている。オーバーだな〜オーバーしただけに……
やべ、チョット寒かった。
気をとりなおして俺の番。一投目は18点へ。残り3点。素直に3点を狙い、ゲーム終了。うん、なんとか勝てた。
「負けました……」
普通にリルが落ち込んでいる。落ち込んでいるリルに更に追い討ちをかける。
「俺が勝ったんだから分かってるな?」
「はい……」
リルを抱きしめ、人目を気にせず尻尾や耳をモフモフする。
「よく考えたら元々あまり気にしないで触られてたのであまり変わりませんね」
……そうだな。
軽食コーナーの席に座って軽くポテトを摘んでいると、何処かで見た顔が近づいてきた。
「こんにちは無傷の殲滅者」
「ここでその名は禁止にしてる。また喧嘩売りに来たのか絶壁聖女」
昨日の絶壁聖女だ。
「なっ!喧嘩売ってるのはそっちじゃない!」
「うるせぇな静かにできないのか?」
「なっ!あんたがっ……いえ、いいわ。今日はたまたま居合わせただけよ」
なんだ急に大人しくなったな。
「なんだ?変なもんでも食ったか?」
「なっ!」
「ユウマ様、聖女様との出会いは聞いておりますが、あまり突っかかるのもよろしくないですよ?」
「ん?あぁそうだな。で、どうした?」
「…いいわ。昨日の事は私が悪かったわ。情報を表面しかみてなかった。ごめんなさい」
驚いた。この手の転移者は傲慢だと思ってとから謝られるなんて考えてもみなかった。
「あぁ、俺も突っかかって悪かったな。どうも敵が多くてな」
「自分で作ってるのでしょ?」
「ん〜まぁ作りたい訳じゃないんだが…」
セリフに嫌味がないから多少俺の事を考えて来たんだろう。
「力で押さえたら反発するわよ」
「そうなんだが、内政チートとか知識ないしな俺は」
政治とか興味無かったからな。
「私はできるわよ」
「ほぉ」
「これでも有名な政治家の娘なの」
「それはそれは、じゃあっちはさぞかし大混乱だろうな」
「…父は私に興味なかったから、娘って言ったって妾の子だし…」
「すまん。悪い事きいた」
「いいわよ。それで父に興味を持って、私に興味を持って貰いたくて政治の勉強したのよ。それが役に立つなら喜ばしいわ。私も差別は嫌だし。だから、機会があったら私にも教えて欲しいの」
「分かった。考えておく。そういや名前聞いてなかったな。俺は佐藤有馬だ」
「私は橘穂花よ」
それで絶壁聖女改めてホノカと別れ、俺たちは家に帰った。
力で押さえれば反発するか…そりゃそうだ。しかも俺がいなくなったら一気にハクアの街や、この集落が襲われるだろう……考えなきゃな…
今日もリルを抱きしめ眠る




