第51話 休日
昨日は色々あったから今日は皆んなで休みにした。休みにしたと言うのにサラとグボナはギルドに訓練しに行ってしまった。槍技も10になっているのになんでも
『技術はいくら磨いても限界なんてありますんから。また、磨いていないとすぐダメになってしまいます』
だそうだ。たまには遊んでもバチは当たらないと思うんだが。
俺は王都から集まった亜人達にリルが貶されたって言うんで、チョット文句付けに行こうとした所、リルに物凄い勢いで止められてしまった。
『謝罪は頂いてますから!ユウマ様が出るほどじゃないですから!』
でもな〜それ以外に俺が怒る理由って無いんだけど?まぁ本人が必死に止めるから今回は見逃す事にした。ただイライラが収まらないので、家のソファーでリルを愛いでている。
「ゆっユウマ様……もう許して下さい…」
許すってなんだ?俺は別にリルに怒ってないぞ?
ソファーで、リルを抱きしめ耳や尻尾をモフモフする。顔を近づけスリスリする。リルは可愛いなぁ〜
そんな事してたらアメが……
「もう!イチャイチャするのは夜だけにして欲しいの!掃除の邪魔だから外にでも行くの!」
怒られてしまった…ウチの中では家事全般を担うアメの権力は絶大だ。怒らせてオカズが一品減ってはたまらない。
言われるがままにリルと出掛ける事にした。さて…
「リル、何処か行きたい所あるか?」
急だったからノープランだ。デートなら怒られるなコレ。
「そうですね……久しぶりに《戦士の集い》に行きませんか?」
以前、奴隷商の紳士と建てたカジノだ。ゲンジロウには遊技場とか言われてしまったが…まぁ間違ってないから否定出来なかった。遊戯の神さんからしたらどっちでもいいだろうし。
「それもいいな。ビリヤードで勝負でもするか?」
「はい!ユウマ様でも負けませんよ?私たまに行って練習してるんですから」
そうなのか?今でも週に1〜2日は休みを作るようにしている。ダンジョンに行く日でも一日中かかる訳じゃないからチョットした合間に行っていたんだろう。
「なんだ、俺も誘ってくれれば良かったのに」
「ユウマ様は最近忙しそうだったので…それにご一緒したら練習になりませんよ。ビックリさせたいんですから」
「ほぉそれほどか?楽しみだな」
「はい!」
二人で戦士の集いに向かった。
「こんにちはービリヤード空いてるか?」
「これはユウマ様、リルフェンさん、いらっしゃいませ。ビリヤードですね?はい大丈夫です。此方へどうぞ」
対応してくれてるのはメイド服を着たエルフの女性だ。異世界エルフメイド…うん、よく似合う。
戦士の集いでは俺を字名で呼ぶ事を禁止した。だってあれ、知り合いに呼ばれるとスゲー恥ずかしいんだぜ。グボナとか未だにからかってきやがるし…
ビリヤード台に案内され、エルフメイドさんは玉とキューを俺たちに渡したら軽く会釈し離れていった。
「ではごゆっくりお楽しみ下さい」
うん、流石紳士の教育を受けてるだけあるな。サラは期間が短かったからたまに荒いとこ見えるけどリルとかも言葉丁寧だもんな。…もうチョット可愛らしい感じでもいいけど
「ユウマ様?今なんにか不穏な事を考えてませんでした?」
「いや!別に考えてないぞ⁉︎」
うむ…鋭い
「それより何やろうか?」
「対戦したいのでナインボールをやりたいと思います」
ビリヤードにもいくつか遊び方があってナインボールはビリヤードの代表的遊び方だ。ナインボールの事をビリヤードって言うと思ってる人も多いんじゃないだろうか?
ビリヤードの玉は1〜16まである。そのうちの⑨まで使う。相手と交互に手玉と呼ばれる何も書いてない白い玉をキューって言う棒で突いて、6つあるポケットって呼ばれる穴に番号が書いてある玉を入れる。先に⑨番のボールを落とした方が勝ちだ。
しかし、最初から手玉で⑨番を狙ってはダメだ。それより若い番号が残っているなら最初に手玉に当てるのは台に残ってる一番若い番号からじゃないといけない。1〜8を順番に落とせばいい訳なんだけど、①に当てたけど弾いて⑤が落ちるなんて事もある。それはありだ。
だからさっき台に残ってる一番若い番号からって言った訳だ。最初から⑨が落ちる事も稀にある。上手い人は狙って出来るらしいが俺には無理だな。無難にやる。
交代のタイミングは相手がミスした時、①が残ってるのに最初に③番に手玉が当たってしまったとか、手玉がポケットに入ってしまったとかしたら交代する。手玉は原則動かせない。相手がミスした位置から打つ事になる。だから物理的に無理だと判断したら相手が嫌がるであろう位置に手玉打ってワザと失敗するのも一つの手だ。ちなみに手玉を落としてしまったら相手が自由に置けるので一番避けるべきミスだ。
あと、壁に当てて跳ね返るのを利用するのはありだ。クッションと言われる。跳ね返る角度からボールがどう動くか考えて打つので、それなり経験と技術が必要だ。ビリヤードでは当たり前の事ではあるけど。
っで、さっきから長々ビリヤードの説明をしている訳だが、一向に俺の番が来ない。リルが想像以上に上手い。
あれ?コレ順番来ないで終わるんじゃないか?って思ってたらリルが失敗した。よかった。打つ機会は貰えるみたいだ。
「あとチョットだったのですが失敗してしまいました。でも、コレをどう打ちますかユウマ様?」
リルがらしくない不敵な笑みを浮かべる。リルには無邪気な笑顔の方が似合うと思う。
じゃなくて、今台に残ってるのは⑧と⑨だけ、⑨は左手前隅のポケット前で少し押せば落ちそうだが、⑧は右の中央と手前のポケットの間で壁にくっついている。手玉は手前側中央より。この角度から⑧に当てても俺の技術じゃ⑧は落とせないだろう…ならば!
俺は狙いを付けてショットする。手前は⑧に軽く当たったら不思議に戻って来て⑨に軽くあたり⑨を落とした!
「え!なんですかそれ!」
ただのバックスピンだ。ビリヤードはなにも直線的な物で決まる訳じゃない。回転で玉の強弱をコントロールする事もある。ドライブスピンで押し込むのも楽しい。マッセと呼ばれる横回転で独楽みたいに付近の玉を回避する方法もある。キューを立てて突くから、ラシャ、ビリヤード台に張ってある布を傷つける恐れがあるので大抵の場所で禁止されてる技だけど。
「ふふふ、自分で考えてみなリル」
「ユウマ様、意地悪です…」
チョット目に涙浮かべて頬膨らましてる。あぁやっぱりリルは可愛らしいな。
我慢できないのでリルを抱きしめる。
「ゆっユウマ様!皆んな見てますよ!」
「こんな可愛いい生き物我慢できません!」
人目など気にしない気にならない。それにここはケモナーなお店。周りは理解してるのか生暖かい笑みで見てくる。
「わ、私が恥ずかしいんです!」
「じゃ次はダーツで勝負するか?リルが勝ったら今後人前だったら我慢してやろう。俺が勝ったら人前だろうが何処だろうか抱きしめるぞ?」
「うっ、分かりました…受けて立ちます!」
うん、俺、ビリヤードよりダーツのほう得意だったりするんだよね。
プールバーじゃなくダーツバー世代です。
二人でダーツのほうに向かう。




