第50話 妖刀【朧紫月】
「それで、これは何なんだユリカ?」
俺とサラはユリカの店まで来ていた。怪しく光る刀は現在鞘に入れられている。ユリカ曰く鞘に入っていれば安全との事だ。
「それは妖刀【朧紫月】…手にした者の実力を最大以上に引き出す代償に所有者の意識を操る魔性の刀よ…」
最大以上って何気にスゲーな。所有者の意識を操るってグボナみたいなインテリジェンスウェポンか?でも念話がないから違うかな?随分的確に俺の行動を阻害して来やがったが…よくわからんな。ってか!
「んな危ねぇもん店に置くな!」
「だってぇ〜」
「だってもクソもねぇ!リルが危なかったんだぞ!」
他でもないリルの危機だぞ!間違ったじゃすまさねぇ!
「それは悪かったと思ってるよ…」
「じゃ置くなよ!」
「高値で買い取っちまったんだからしょうがないだろ…もととらなきゃ…」
「いや危ねぇだろって!商売人としても客が危険に晒せるようなもんダメだろ!」
「ぬぅぅぅ」
「ぬぅってなんだぬぅって!」
「鑑定で見た感じ呪術スキルが付いてるだけっぽかったから解呪出来る奴にならいいかと思って…」
「成る程な…分かるが、それなら書いとけや!危ないから!」
「リルちゃん起きたら謝るよ」
「俺には!…いや俺には別にいいか。それで呪術スキルってなんだ?」
「所持者の意図とは無関係に発動してしまうスキルよ。大抵がトンデモスキルなんだけど、強すぎる効果を打ち消すかのように良くない効果も発揮してしまうの」
強すぎる効果を打ち消すか。俺のスキルブレイカーが全てのスキルの無効化をするかわりに他のスキルを覚えられないってのと一緒かな?ってもスキルブレイカーは穴多すぎだからもうちょっと優遇してくれてもいいと思う。
「【朧紫月】の効果は身体能力120%アップする代わりに、使用者の意識を奪い破壊者に変えることね。それこそ生き絶えるまでね。120%の代償なのか持って3日間暴れ続けるくらいらしいけど…」
「マジでそんなもん置いとくなよ!」
下手すりゃリルが死ぬとこだったじゃねぇか!
「…ごめん」
やっと謝りやがった
「リルにもな…」
「わかったよ」
「ん…ん……」
その時リルが目を覚ました。
「リル!」
「ユウマ…様?…あれ私は…」
「体の調子はどうだ?痛いところはないか?」
「はい…大丈夫です…」
やや調子が悪そうだが、良かった。
「リルちゃんごめんね」
ユリカがリルに近づき誤っている
「ユリカさん?私は…どうなっていたんですか?」
「覚えてないのかリル?」
「はい…」
「そこの妖刀って物に意識を乗っ取られて魔獣化してたんだよ」
「えっ⁉︎」
「今までで一番苦戦したな」
「ユウマ様が助けて下さったんですね。ありがとうございます。……お怪我はありませんか…」
「あると思うか?」
「いえ、愚問でした。ありがとうございます」
良い笑顔でリルが答える
「それで、その妖刀どうする?」
俺はリルに尋ねた
「私ですか?ユリカさんはなんと?」
「ユリカはリルを危険に晒したので意見を言う資格がありません」
「そんな〜…リルちゃん聖魔法使えたよね?」
「はい…使えますが…?」
「《ディスペル》してみてくれないかい?」
「はい?」
「呪術スキルはそれで消えるはずなんだよ」
「気にしないで叩き折ってもいいんだぞ?危ねぇし」
ディスペルで消えるって言ったってなぁなんか信用ならねぇ
「そんな殺生な!」
「ユリカは黙ってろ。決めるのはリルだ」
「分かったよ…」
「……ユウマ様が宜しければ《ディスペル》を試してもよろしいでしょうか?」
「いいのか?」
「はい、今私の刀はユリカさんに修理をお願いしていて代わりが必要なんです。《ディスペル》で使えるようになるなら試してみたいと思います。よい刀ですから」
「ん〜呪術スキルが消えてもなんか使わせる気にならないが…リルが試したいなら好きにするといい」
「ありがとうございます」
「リルちゃん、ありがとう!」
「いえいえ、もし安全になったらこの刀使わせて頂いても?」
「もちろんOKさ!」
「OK?」
「あぁ〜いいよって事さね」
「ありがとうございます」
初めてじゃないか、意味が通じない言葉があったの。まぁいいか。
ユリカが妖刀をリルの前に置いた。
「では、《ディスペル》!」
妖刀は少し淡く輝いたら直ぐに治った。
「どうだ?」
ユリカに問いかける。
「……消えてる」
「そうか良かったな」
「消えてるんだ……」
「だから良かったなって」
「効果自体全部消えちゃったよ!」
「仕方ないじゃね?」
ユリカから聴いた効果は身体能力アップと意識乗っ取り。スキルが二つあるとは聴いてない。二つ合わせての呪術スキルだと思ってたんだけど…違ったのか?
「身体能力アップは残ると思ってのに…」
「お前それは都合良すぎだろ?世の中そんなに甘くない」
安全になったようだから刀を抜いてみる。紫だった刀身は銀色に輝いていた。
「素材は分からないけど魔力の通りは良い見たいだね。魔力を通すと切れ味が上がるよ。あと名前が【朧月】になってるね」
紫じゃなくなったからな。ユリカから朧月を借り受け、帰宅する。
しかし、呪術スキルか…俺のスキルブレイカーも呪術スキルの一種なんじゃないだろうか?今まででの転移者でスキルにマイナス効果なんて持った奴いなかったし。
…遊戯の神さんならあり得る。初めにチートじゃないって言ってたしな。今度会う事があったら聴いてみよう。
それはさておき
「リル…帰ったら迷惑掛けた分しっかり可愛がってやるからな」
ニヤついてリルに宣言する
「お手柔らかにお願いします…」
リルが若干怯えてる。
心配するな。なに、風呂入って尻尾や耳をモフモフしたりベットでイチャイチャするだけだ。
俺はニヤニヤしながらリルはやや怯えながら帰宅した。




