第48話 リルのお仕事
〜〜リル視点〜〜
今日私は集落の入り口にきています。ユウマ様とは別行動でちょっと寂しいです。私が此処にきた理由は、先日帝都で解放された、獣人や亜人の元奴隷達を集落で迎え入れる為です。集落の実質的な代表のユウマ様の使いがいた方がいいだろうと、ギルドマスターこと受付嬢さんがおっしゃってました。私だけでなくサラとグボナ様もご一緒です。ユウマ様は「他に用事あるし目立ちたくない」と言って出掛けてしまいました。もう十分注目されてますよユウマ様。
亜人達は総勢200名ほどいました。ユウマ様に言われて事前にお家は用意していましたが予想以上なので足りるでしょうか…集落に来た亜人に話を聞くと大半がこの集落に来ていて、亜人の街には全体の三割ほどが向かったそうです。なんでも「実質、我等は無傷の殲滅者様に救われたのだから、彼の方にお仕えしたい」と言うことでした。
そんな尊敬する方の使いが私みたいな忌子ですから当然…
「彼の方の使いが忌子だと?馬鹿にしてるのか!俺と代われ!」
「忌子なんかに従えるか!」
なんて声が聴こえます。
『リルちゃん大丈夫か?』
グボナ様が心配して下さっています。
「大丈夫ですよグボナ様。私も強くなりましたから」
実力だけ見てもこの程度の数なら倒せてしまうだろう。でも、そう言う事じゃなくて私もユウマ様に仕える身として誇りがあり精神的に強気なったと思う。忌子なんて関係ない。ユウマ様ならそうおっしゃってくださると思います。
全体的に奇異の目で見られますが罵倒している人達は一割もいません。ですから私は強く発言します。
「無傷の殲滅者様にお仕えしたいと申す者が忌子ごときで差別をなさるのですか?」
「そっそれは…」
「彼の方は如何なる理由でも人を分け隔てる事を嫌います。この集落に住むのであればそれを理解してください」
「忌子が彼の方の言葉を語るな!」
ん〜盲信してますね
すると今度はサラさんが前にでました。亜人達から「竜人…」「災厄の…」なんて声が聴こえます。
「聞け!リルフェンから説明があった通り我等の主人殿は差別を嫌う!それは亜人も獣人も、そして人族も分け隔てる事はない!」
「なっ!人族も容認するのか⁉︎」
「何不思議なことを言っているのだ?主人殿は人族だぞ?人族を優遇する事はあっても亜人、獣人を優遇するほうが不思議なことじゃないか?」
「そっそれは…」
「主人殿は決して亜人、獣人を優遇してる訳ではない!差別する心があれば殲滅されるはお前たちだ」
集まった人達がザワザワと騒ぎだした。
「そもそも、お前たちは南の街の事件が何故怒ったか分かっているのか?」
「無傷の殲滅者様の奴隷を罵倒したから…」
一人の獣人が答える
「今お前らが罵倒したのは?」
周りの空気が凍てついた。サラさん…私その手段は使いたくなかったんですよ。
「忌子や災厄の種族が気に食わない者は今からでも遅くはないから亜人の街へ行け!」
サラさんが声を上げる。サラさんはいいかも知れませんが私がハクアの街に行きにくいじゃありませんか…ユウマ様はきっとハクアの街もこの集落みたいにしたいと思ってますよ。
ですが、立ち去る人はいないようです。私を罵倒してきた人達は今目の前で地に頭を擦り付けて謝罪しています。
慣れてますから大丈夫ですよ。っと伝えたのですが…
「あっ貴女様がよくても彼の方のが不快感を抱けば我等は…大変申し訳ございませんでした!」
ん〜ユウマ様の性格を理解していらっしゃるようですね。嬉しいような悲しいような。サラさんも「怒り状態の主人殿を止めれるのはリルフェンだけだから、よく謝れよ」なんて言うから謝罪順番待ちで列ができちゃったじゃないですか…ユウマ様じゃないですがちょっと面倒ですよこれ。
なんやかんやして冒険者ギルド前に連れて行き、受付嬢さんに後を託しました。
「受付嬢さん、後の事よろしくお願いします」
「ギルマスだからねリルちゃん?もぅユウマさんのせいで!」
受付嬢さんがご立腹です。サラさんとグボナ様はそのままギルドで訓練を受けて行かれるそうなので私は一人ユリカさんのお店へ向かいました。買わせて頂いた刀が随分と痛んできたようなので見て頂こうと思います。
「ユリカさんいらっしゃいますか?」
「あらリルちゃんいらっしゃい。ユウマはさっき帰ったよ?」
ユウマ様もいらっしゃったのですね。入れ違いでしたか残念です。
「残念ですが、用事は別なんですよ」
「あら、そうなのかい?」
「はい、刀を見て抱きたくて」
私は白雪をユリカさんに渡す
「こりゃ随分無茶して使ったみたいだね」
刀身を見てユリカさんが言いました。刃は欠けが多数あり、素人目にみても酷使した事がわかります。サラさんはグボナ様を使っていますし、ユウマ様の蜻蛉切はアダマンタイトで出来てる為余程のことがない限りは傷付かず、さらに魔力でカバーしていていて滅多に破損する事はありません。私がこの刀を買った時は低レベルでしたから仕方ないのですが。
「こりゃもうダメだね。新しいのをお勧めするよ」
「やはりそうですか…ユウマ様に初めて買って頂いた武器なので大切に扱っていたのですが…」
毎日の整備は私の日課だった。
「そうかい…あたいがこの刀をベースにして新しく打ち直してあげるよ!」
「本当ですか!」
「あぁ、この刀は総ミスリルだったんだがね。真鍮をそのままこの刀を凝縮した物にして周りをヒヒイロノカネで作ろうと思うんだけど、いいかい?」
「私はあまり金属の事は詳しくないので、ユリカさんにお任せします」
「はいよ、任しときな!出来上がるまで1週間ほどかかるからそれまで売り場にある刀選んで持ってきな」
「あの、お金は?」
「あぁいいのいいのリルちゃん可愛いしユウマにいつも儲けさせて貰ってるからね」
「しっしかし…」
「気になるなら今度また素材持ってきておくれ」
「⁉︎…はい!分かりました。ありがとうございます!」
「素直でいいねぇ」
それからユリカさんのお店の刀を見ていた。
一本凄く気になる刀があったので手に取って抜いて見た。
紫に怪しく光る刀身は凄く妖美で魅せられる輝きをしていた…
「ユリカさん…この刀は…」
「⁉︎リルちゃん!それはダメ!」
ユリカさんが何か叫んでる…良くきこえない。
うっ!胸が苦しい…凄くドキドキする…
なんだろうこれ…怖い…ユウマ様…
私は刀を持ち駆け出していた…集落を出て森まで来ている。
動悸は治らない…凄く苦しい…
腕の毛が増えてる気がする…私…どうなっちゃうの…
「ユウマに知らせなきゃ!」
ユリカはユウマの家に向かって走った




