第41話 ハクアの街
亜人の街へ着くと案の定ガヤガヤと騒いでいた。眺めていると1人が気づいて声を上げる。
「サラ嬢!無事であったか!」
すぐさま門が開き、俺たちは迎え入れられた。城壁に堀、日本の城だと⁉︎…やり過ぎじゃないか?
「サラ嬢、申し訳無かった。他に手が無かったとは言え部外者の貴女に殿を務めさせてしもうた。」
エルフの男性は申し訳なさそうに頭を下げている。
「大丈夫ですよゲンジロウ殿。私は無事でしたし。」
サラはこう言ってるが…
「大丈夫じゃないだろサラ。お前を死にかけたじゃないか。」
相手に気を使っているのだろうが、俺はそんなの気にしない。大事な家族が死にかけたんだ。暴れはしないが文句くらい言わせろ。
「そっそれは!本当に申し訳ない…それで其方の御仁は…」
「はい…私の主人殿です。」
「なんと⁉︎」
エルフの男性が青ざめている。俺の事をなんて紹介したんだサラさんや。
「此度は我等を助けに来ていただいたサラ嬢を危険に晒し、大変申し訳ございませんでした。ワシが差出せる物であれば精一杯お詫び致しますので、どうか街には手を出さんで頂きたい…」
あぁ〜そう言う事か。
「別に何もいらねぇよ。殿だって聞けばサラから言い出した事なんだろ?ただ家族が危険に晒されてんで文句言いたかっただけだ。」
ホッとしたようで、エルフが自己紹介を始める。
「ワシはゲンジロウと申しますじゃ。この街、ハクアので街の参謀を務めておりますじゃ。」
老人喋りの若そうなエルフが言う。ゲンジロウ?転移者か?
「転移者か?」
「そうですじゃ。」
「その喋りじゃかなり歳上だろう?敬語はいらねぇよ。俺も突っかかっちまって敬語になおせねぇが勘弁してくれ。」
「いやいや、お気遣いなく。それで帝国軍は…」
「主人殿が殲滅いたしました。」
「なんと⁉︎それではお話以上に…」
「えぇ…お話した街を半壊させた時よりレベルが倍近かったので当然なのかも知れませんが、私も主人殿の殲滅戦を初めて見ました。」
「初めてって…俺は今回も含めて2回しかやってない!いつもやってるみたいに言うなサラ!誤解される!」
「誤解もなにも…主人殿は規格外ですよ。災厄の種族程度では手も足もでませんよ。」
全く、皆んなで人を化け物扱いしやがって、今回はグボナがいたからだぞ⁉︎
「立ち話もなんじゃから城へ行きましょうぞ。」
ゲンジロウの案内で城へと向かう。向かう途中には様々な亜人、獣人がいた。犬人族、猫人族、エルフ。鬼人族もいるのか⁉︎まぁトップが鬼人族だから不思議じゃないか…しかし、みんなリルを見て驚いた表情をしている。
あぁ〜忘れてた。
「リルすまない。ローブは持ってるか?」
「申し訳ございません。急な召喚だったもので…武器しか手に取れませんでした。」
部屋にいる時だったからな…仕方ない。
「俺にくっ付いて離れるな。」
「はい…」
リルを抱き寄せる。
「如何されましたか?」
ゲンジロウが不思議がってる。転移者だからな、知らないのは当然だ。
「リルは忌み子と呼ばれるハーフなんだ。災厄を呼ぶ者とされ、人族は勿論亜人達からも忌み嫌われている。」
「それは…知らなかったとは言え、晒す真似をし申し訳ないのじゃ。ワシのローブで宜しければ羽織ってくだされ。」
「ありがたい。」
ゲンジロウからローブをかりリルに羽織らせる。
「申し訳ないが城までそれで我慢して欲しいのじゃ。城なら気の知れた連中しかおらん故、恩人の些細な事など気に留めんでしょう。新しいローブもあるので帰りはそちらをお使いくだされ。」
「助かる。」
俺たちは城へと急ぐ。
城に着き、談義室とやらに行くと鬼人族の青年がいた。此奴がここのトップか。
「サラさん!無事でしたか!」
鬼人族の青年が此方に駆け寄る。
「えぇお陰様で。紹介致します。此方が我が主人、ユウマ様です。」
サラに紹介されるたので軽く会釈しとく。
「これはこの度はサラにご無理を言って危険に晒し大変申し訳ございません。」
「謝罪は先ほど聞いたからいい。」
「しかし、やはり長としては謝罪しなくては示しがつきませんから。」
そう言って鬼人族の青年が深々と頭を下げる。
「僕はこのハクアの街の長でレン-オニガシラと申します。」
「お前も転移者か⁉︎」
「えぇそうですよ。」
2人もいたのか…
「2人もいてあのざまか?」
「お恥ずかしい限りですじゃ…」
「面目ないです…」
「やはりユウマ様が異常なんですね。」
リルさんや今ツッコミ入れる所だったかい?
「まぁ勇者もあの程度だったし俺が気張ってレベル上げしてたのが原因か?グボナ的にはどうだ?」
『俺らはダンジョンから始まったからなぁ〜戦闘は当たり前に思ってたフシがあるなぁ〜』
「ダンジョンから?転移した時からダンジョンの中にいたんですか⁉︎レベル1で⁉︎」
「ん?あぁそうだぞ。」
「そりゃ規格外になる訳じゃ…」
なに納得してんだよ。結構大変だったんだぞ?特に食料が。
「それで、帝国軍は…」
「主人殿が殲滅いたしました。一時的ではありますが、軍の脅威はありません。」
「本当ですか⁉︎すっ凄い…」
「本当に一時的じゃがな。帝国は諦めんじゃろ…」
そうだろうな。自国の政策を否定する街なんて許してたら国が崩壊するわな。
「一時的でも安心できます。今のうちに対策を立てましょう。」
意外と真面目な奴だな…鬼人族って言うから豪快な奴かと思ってた。
「それでユウマさんに相談なんですが…」
「なんだ?」
「サラさんと其方の方…奴隷なんですよね?解放して頂けませんか?」
「れっレン君!」
なんだコイツ?テンプレ色男キャラか?
「断る。」
「理由をお聞きしても?」
話を聞く気はあるのか。
「サラは災厄の種族。こっちのリルは忌み子と言って災厄を呼ぶ者とされる。どっちも人族からは勿論、亜人達からも恐れられ、忌み嫌われる存在だ。俺の奴隷と言う事で現在拠点にしているダンジョン集落では差別がほぼ無くなった。が、今解放したらただ恐れられる存在に戻ってしまうだろう。解放はもう少し先を考えている。」
解放するつもりがないんじゃない。今は時期じゃないと思っている。
「…分かりました。帝国軍を退ける程の貴方がいるからなんですね。サラさんが街に来た時は確かに大騒ぎになりましたから。」
おぉ〜話のわかる奴だったか。
「すみません。不快な思いをさせてしまい。ですから後ろのお二方もそんな顔しないでください。」
リルとサラが凄い目でレンを睨んでる。
「主人殿!私は解放など望んでいません!」
「ユウマ様!絶対見捨てないでください!」
ん〜なんでこんなに好かれたんだ俺?
でもまぁ嬉しいな。
2人を抱きしめ呟く。
「まだまだ解放などしないさ。皆んな一緒にいよう。あぁ〜でも解放されたくなったら言えよ?手放したくないけど、リルやサラの気持ちが優先だ。」
2人とも顔を赤くして頷く。
「…いいなぁ」
レンがポツリと呟いた。
「レン…お前まさか…ケモナーか?」
「⁉︎。ユウマさん⁉︎」
レンと手を取り合い硬い握手をする。
「異世界で同士と会えると思ってませんでした!」
レンは言う。
「俺の集落には1人現地人でいるぞ。今度こっちで語ろうか!」
「はい!」
『なんだかなぁ〜』
グボナが呆れてる。
ケモミミ最高じゃないか⁉︎
『女の子に抱きつくのがいいなぁって言ったんなら分かるけど今のでよくケモナーって判断できるな?』
「それは…」
「「ケモナーの感だ!」です!」
レンとハモった。
ケモナーシンパシーパネーな。
「そこら辺にしといて今後どうするんじゃ?」
ゲンジロウが話を戻す。
「サラさんが解放されるなら、ウチにいてほしかったんですが…」
解放しないし、ずっとコッチにいるとかは勘弁してほしい。まだ新築なんだよ家が。
だが、俺に解決方法がある。
「ケモナー同士の為に俺が一肌脱ごう!使うか迷っていたが策は仕込んでおいた!」
「本当ですかユウマさん⁉︎」
「あぁ泥舟に乗ったつもりで待ってろ!では行ってくる!」
俺は灰色の球体に魔力を込めると瞬間移動した。転移魔道具だ。
「大船って言って下さいよユウマさん!」
「懐かしです…だから大丈夫ですよ?」
『リルちゃん。根拠が伝わらないと思うよ。』
俺は何処に転移したかと言うと…
「よう、さっきぶり」
「ひぃぃ!」
部屋の隅で怯える勇者がいた。




