第32話 じぃさん城を建てる。
「では、まず城をたてるぞぃ。」
「なんで城からなんですか?」
レンが不思議そうに尋ねる。
「堅牢な城があれば万が一の住民の避難場所にできるじゃろ?備蓄倉庫もあれば籠城戦も出来る。」
「なるほど。」
「もちろん普段住む家も建てるんじゃが、いつ攻められるかわからん状況じゃし、今いる人数まるまる囲える城を建てるのが良いと思うんじゃ。」
決して城が好きな訳じゃないぞ?
「次に塀と掘りを作るのじゃ。」
「塀は分かりますが、掘りも必要ですか?」
「掘りを舐めてはいかんぞ?掘りがある事で敵軍の進行速度を落とし、飛び道具で狙えるんじゃ。塀との高低差も出来、簡単に攻略出来なくなる。」
「凄いですゲンジロウさん!」
城とは防衛の要じゃ。現代兵器には負けるが、この世界では十二分に通用するじゃろ。
「遠距離を魔法で攻撃された場合はどうするのでしょうか?」
ネコミミ獣人が問いかけてくる。
「塀と城にはワシが結界を付与させる。生半可な魔法には負けんぞ。」
「頼もしいお言葉です。」
チートじゃからな。
「次が家と田畑じゃ。塀で囲ってる中に作る。盤上にせず、あえて食い違いに作るからチト不便かも知れんが勘弁してほしい。」
「何故わざわざ食い違いにするのでしょうか?」
次はエルフが声を上げる。
「食い違いにする事で敵が直線で向かってくる事を防ぐ。また高みから監視し、伝える事で伏兵を活かす事が出来るのじゃ」
「「「「おぉ〜」」」
「田畑は見通しが良すぎるから塀のすぐ脇じゃな。掘りを水路として活用もできるしの」
「ゲンジロウさん!素敵すぎますよ!」
レン君もなにかアイディアないのかの?
「レン君はワシが街を作る間、亜人達と弓や槍なんかの武器を作ってくれ。先にも言っとったが、どんなに戦略を考えようと戦は最後は兵の質と量じゃ。他の亜人達の集落を知るものはおらんか?」
「はい。私達に心当たりがございます。」
声を上げたのはエルフ達と犬人族達だ。
「では、勧誘を頼むとしよう。皆で力を合わせて人族を追い払おうとな。何日くらいかかるかの?」
「往復で6日ほどあれば…」
「私達は8日ほどで」
「分かった。街を5日以内に完成させる。直ぐには信用されんと思うから、最低でも使者を招き街を見て決めてもらうのじゃ」
「5日で出来るのですか!」
「最低限、城、掘、塀、井戸と数棟の家屋は行けるじゃろ。まぁあとはワシの魔力しだいじゃな。魔力が回復する食べ物かなにか知らんかの?」
「それなら私が付近の魔力草を集めてマナポーションを作ります!」
エルフの一人が声をあげる。
ポーションを作れるのか、優秀じゃのう。
「それはありがたい。是非頼むとしよう。」
「はい!」
良い返事じゃ。
「最後は場所じゃな。」
「ここに作らないんですか?」
「ただの森に作っても芸がないじゃろ?掘りに引く水の為に川があると良いのう。背後が崖だと其方から攻められる心配がなくなり良いと思うのじゃ。」
「退路もなくなりませんか?」
「鋭い指摘じゃレン君。まぁ崖に魔法で抜け道を作るのが良いじゃろ。かえって退路を発見され難くなるはずじゃ。」
戦国時代では出来なかったろうが、今のワシのならば可能じゃ。
「なるほど、分かりました。」
「場所に心当たりがある者は…」
「私がありますニャ!」
ニャって言う猫人族いた!本当にいるんじゃな。
「では、案内頼む。皆んなで場所を確認したら確実役割に準じるのじゃ。子供達は大人二、三人と果実など食料を確保してくれ。」
「「「「はい!」」」」
その後、猫人族の女の子の案内で目的の場所についたのじゃ。うむ、よい場所じゃな。切り立った崖は天を仰がねば上が見えん。大きな滝があり水も豊富じゃ。
「では皆!作業に入ってくれ!勧誘に向かう者も今日は向かう準備だけ進めてくれ!」
レン君が指揮をとる。リーダーはレン君なんじゃから働いてもらわねば。
さて、ワシもやるとするかの。今日城だけでも出来んと野宿じゃからな。
ゲンジロウは全身に魔力を滾らせイメージする。
城、城、城…
地に手をつき魔力を解き放った。
『《瞬間築城》』
もはやただのセリフだ。
大地が唸りを上げ、樹木が急激に伸びる。絡まりあい、城の形になっていく。
屋根は瓦、壁は白塗り。7重建て地下2層の立派な日本の城が出来上がった。
「僕、西洋の城イメージしてました。」
鬼が住むのに西洋の城は似合わんじゃろ?




