第30話 じぃさん鬼に出会う
それから数日は狩りをしたり、木ノ実を集めたりして過ごした。魔獣の皮を加工して布団も作った。少し硬いがないよりいいらしい。
今日も狩りに出掛けようとした時だった。玄関から声がする。
「ごめんくださ〜い。誰かいませんか〜」
誰じゃ?誰じゃってないか、初めての来客じゃな。異世界初コンタクトじゃ!
はてさて、敵か味方か?
「誰じゃ?」
意を決して声を掛ける。
「あ、いらっしゃったんですね。怪しい者ではありません。森の中に家があったので、何方かいらっしゃるんじゃと思いまして。」
?なんか変じゃな?
「森の中に家があったら不思議かの?」
「すみません。こちらの事情に疎いもので、宜しければ色々教えて頂きたいのですが」
??これは…
「移転者かのぅ?」
「⁉︎移転者を知っているのですか⁉︎」
あぁ〜異世界初コンタクトかとおもったのじゃがな…同郷者らしいのぅ。
ゲンジロウは扉を開ける。
そこには赤黒い肌、黒い髪、額に角の様なものが生えた人物がいた。
鬼じゃ!
「あ、警戒しないで下さい。危害を加える気はありません。これ詰まらないものですが。」
そう言って鬼の青年は角ウサギを差し出して来た。
若そうなのにシッカリしとるのぅ。
そう言えば鬼はこの世界では亜人に区分されるんじゃった。そう警戒する事もあるまい。そもそも同郷者じゃ。
「では、立ち話もなんじゃから中に入ろうか。」
「はい、お邪魔します。」
鬼の青年と茶の間に行く。
「改めまして、鬼頭 蓮と申します。お察しの通り転移者です。」
鬼頭で、鬼人族って魔の神以外もふざけておるようじゃな。
「ワシは山田 源次郎じゃ。此方の世界ではゲンジロウ-ヤマダじゃな。」
「では僕はレン-オニガシラですね。ヤマダさんはこの家どうしたんですか?」
「ゲンジロウでいい。親しい者にはゲンさんと呼ばれてる。家は魔法で作った。こっちの家の様式は知らんから日本家屋じゃ。」
「魔法が使えるんですか⁉︎」
「あぁオニガシラ君は使えんのか?」
「あ、僕もレンで大丈夫です。憧れはあるんですが、鬼人族は魔法適性が薄いらしくて…良ければ少し教えて頂けませんか?」
「ワシもスキルで使えるだけじゃからな。あまり参考にはならんかも知れんが…」
「構いません。可能性があるのならば是非!」
「分かった。暇な時に教えよう。」
「ありがとうございます。」
「レン君のスキルはどんな感じじゃ?」
「僕のは戦闘特化ですね。《一騎当千》と言います。戦闘時に限り五感と身体能力が大幅上昇します。加護は《戦の神の加護》武技スキルの上昇が早いようです。」
流石、戦の神じゃ。戦争させる気まんまんじゃな。
じゃが…
「レン君は性格的に向かなそうじゃな。」
「そうなんです。あまり目立ちたくないですね。」
優しそうな青年じゃて。
「で、レン君此処に住まないか?」
「いいんですか?」
「今後あてもないじゃろ?部屋も空いておるし、ワシも一人はちと寂しいしのぅ。魔法を教える予定じゃろ?」
「ありがとうございます。助かります。それで失礼ですが、ゲンさんはお幾つなのでしょうか?その…喋り方が気になって…」
「あっちでもこっちでも87じゃよ」
「大先輩でしたか!失礼いたしました。見た目10代後半にしか見えませんでしたよ!」
そうじゃったのか。
「エルフじゃからな。寿命500年と言われておるから実質18歳くらいなのかも知れんの。」
「はは、エルフ凄いですね。」
暫く雑談を交わしていると、外が何やら騒がしいようじゃった。
レン君と外に出ると、そこでは人族の冒険者らしき男達が、亜人、獣人に暴力を振るっていた。




