第3話 VSゴブリンズ
『そんなことより、お困りじゃなんじゃないか?』
ゴブリンが既に背後にせまっていた。
ゴブリンは吠え棍棒を振りかぶっている。
俺はそれを紙一重で避け、蹴飛ばして距離を取る。
『俺を使え!』
迷ってる暇はない。俺は台座に近づき得体の知れない槍を抜き取った。
ゴブリンが3匹距離を詰めてくる。真ん中のゴブリンの額に槍を突き刺さし、右からくるゴブリンを蹴飛ばしす。素早く槍を戻し最後の1匹に突き刺さす。
槍で突き刺したゴブリンは黒い霧になり霧散した。
《レベルが上がりました》
脳内にアナウンスが流れる。そんな事より今は目の前のゴブリン供が先決だ。
ゴブリンソーサラーを含み残りは3匹、蹴飛ばしたゴブリン2匹はヨロヨロしている。未だ元気なゴブリンソーサラーが魔法で攻撃してくる。拳くらいの火の玉2発だ。スキルブレイカーのある俺は気にせず突っ込み槍でゴブリンソーサラーを仕留める。左右からゴブリンが来るが、槍で薙ぎ払ったら黒い霧になった。
《レベルが上がりました》
再度、アナウンスが脳内に流れる。ゴブリン3匹でレベル1アップ。レベル2から3へはもっと経験値が必要だと思ったのだが…ゴブリンソーサラーの経験値が高かったのだろうか。まだ数えられるし、どうせ他にスキルを習得出来ないのだからステータスを確認するほどでもない。
魔石を拾っておこう。
ゴブリンソーサラーのドロップは杖だった。魔法には縁がないようなので放置でいいだろう。
『お疲れ〜改めて自己紹介な。俺は《魔槍グンボルナク》よろしくな』
なんだその寄せ集めな名前は?まさかと思うけど…
「転移者か?」
『‼︎何故それを⁉︎』
「そんな寄せ集めな名前なら気付くわ。槍になってるとか思わなかったけど確認してみたくなった。素直に吐き過ぎじゃないか?」
『しょうがなかったんだ…グングニルもゲイボルグもブリューナクも既に登録してあって付けれなかったんだ。』
悲しそうに槍が語っている。
「しかし、念話?でいいのか?さっきからお前の声が聴こえるが、スキルじゃないのか?」
『?スキルだと聴こえないはずって言ってるように聴こえるけどあってっか?』
迂闊だった。誤魔化せっかな?
「まぁな、色々あってな」
『まぁいいや。これはスキルじゃなくて《インテリジェンスウェポン》の種族特性だ。種族っていいのか分からねぇけどそんな感じ。』
軽い奴で助かった。ってかさり気に種族特性まで教えてくれたぞ。迂闊な奴だ。
聞いたら加護やスキルも教えてくれそうだが、、俺のを聞かれると困るので今は聞かないでおこう。危機を救ってくれた恩人?恩槍?ではあるが、信頼するにはまだ早い。
危機?こいつにあったのは加護の力なのか?でもそもそもダンジョンに転移させられなければ危機にあう事も無かった訳で…分からなくなってきた。
タラレバなんか考えても無駄か…
『お〜い。』
槍が話しかけて来る
「なんだ?」
『これからどうすんのかと思って』
「とりあえず出口を探して外に出る。そこから近くの町か村に向かおうと思ってる」
『俺も持ってってくれねぇか?』
「なんでだ?俺は武器もないから有難い申し出なんだが」
『いやさ、俺異世界転生とか聞いてハーレムやーチートやーっと浮かれてたんだけど、フタ開けてみたら槍じゃん?動けねぇんだよ。せめて、せめて美少女?美女な女戦士に使って貰いたいんだけど、こんな薄暗い洞窟に女の子が来ると思えないわけさ。そんなん考えてる時に…え〜と「ユウマだ」ユウマが来た訳さ』
「ダンジョンみたいだから女冒険者とか来そうだけどな」
『ホントにダンジョンかまだ分からないんだろ?ダンジョンだったとしても、人が見つけているかも人が来れる階層なのかも分からないだろ?探しに行った方早そうじゃん』
スキルの時もそうだがバカそうな名前と喋り方の癖にこいつ頭が回るな。頭ないけど。しかし
「それじゃ一緒に行くか。しかし名前なんとかならないか?ゲイグンナクだっけか?覚え辛いし言いにくい。」
『魔槍グンボルナクだ。』
「すまん。縮めてグボナじゃダメか?頭文字とって。ダメなら本名教えろ」
『しょうがないかぁ〜前の世界の知識あると混ざるもんな。グボナでOKだ。しかし、いいのかぁ?色々隠したそうなのに全然隠せてないぞ?同じ転移者でいいんだよな?』
⁉︎しまった…迂闊過ぎるぞ俺!
「…嘘のつけない性格なんだ。もう開きなおる。」
『それがいい。人には向き不向きがある。俺は人じゃないけどな。』