第24話 カジノ《戦士の集い》オープン
俺たちはギルドに来ている。
「受付嬢さんいるかー?」
「ギルマスです!もぅネタにしてますよね?なんですかユウマさん。」
はい、ネタにしてます。名前も名乗られるまでは聞かない気でいます。
「ちょっとやりたい事があるからギルドで一口かまないかと思って相談しに来たんだが。」
「どのような事ですか?」
「まぁ簡単に言うと賭場なんだけど、カードゲームで賭ける場所を作りたいんだ。カードはユリカに作って貰うから、場所と人員にこの前の亜人達にお願いしたいんだけど。」
「分かりました。どの様なゲームか教えて下さい。亜人達で職が決まってないのは3人ですが足りますか?」
「多分大丈夫だな。」
俺が教えるのはポーカーとブラックジャックだ。トランプは先にユリカに作ってもらっている。ついでに転移魔道具も時空間魔法でOKだと伝えて来た。
「なるほど…分かりました。面白いですね。こんなの考えつきませんでしたよ。ユウマさんは天才ですね!」
もとの世界の知識だから申し訳ない気持ちになる。
「まぁそれは置いといて、どうだ?なんとかなりそうか?」
「はい、場所と人員に亜人は用意しましょう。ですが、責任者になる方が必要です。」
「そうか…ちょっとユリカに聞いてくる。」
「ユウマさんがやらないのですか?」
「面倒だからパスだ。」
「利益はどうするのですか?」
「俺たちが遊ぶときに融通して貰えればいい。そろそろダンジョン攻略も5階層より下に向かうつもりだし。」
「そうですね。攻略の邪魔になってはいけませんね。あっ!ダンジョンマスターは倒さないで下さい。出来たら友好関係を結んで貰えると助かります。」
「何故だ?コアさえ壊さなければダンジョンは死なないんだろ?」
「マスターと友好関係にあれば、非常事態時にダンジョンを利用できますから。」
「非常事態?」
「誰かさんのせいで国軍が攻めてくるとか…」
「…」
「冗談ですよ。ダンジョンマスターも生活かかってますから、死人を減らせとかアイテムをもっと出せとか応じる訳ないんですが、ダンジョン内で不正があれば協力といいますか、冒険者が冒険者を襲う事があれば教えて欲しい感じですかね。」
「なるほど…分かった。ダンジョンマスターは倒さない。」
ってか、前者の方が本音だろ!すみせんねぇその時は帝国軍を一人で殲滅してやるよ!ちくしょー!
「んじゃ宜しく頼むよ。」
「いつからか私に敬語なくなりましたよね?」
「受付嬢さんも砕けてきてるじゃないか?距離が近くなったんだよ。」
「へっ⁉︎」
受付嬢さんが顔を赤らめ、リルが俺をジト目で見ている。
「…またユウマ様はそんな事言うから…」
えぇえぇ〜
「俺のせい?」
「はい。」
「とっとにかく場所と人員、承りました!」
受付嬢さんに追い出されるように外に出た。次はユリカだ。
「ユリカいるか〜?」
「これは無傷様。いらっしゃいませ。ユリカ様ですね。只今呼んで参ります。」
店番をしていたのは、先日の獣人だ。二人ほどユリカの所で働いてるらしい。
「ユウマなんかようかい?トランプはどうだったんだい?」
「あぁ場所と人員は大丈夫そうだが、責任者が必要らしい。なってくれないか?」
「なんであたいが。あたいだって暇じゃないんだよ?」
「研究資金は入るぞ?」
「ゔっ。お金は欲しいけど、暇がないの…」
そればっかりは仕方ないか…どうしようかな。
その時、背後から声を掛けられた。
「ユウマ様、ご無沙汰しております。」
奴隷商の紳士だ。
「これは、どうしてこちらへ?」
「はい、この集落も色々と発展が目覚ましいようで、人が入り用かと思いましてね。なんでも獣人や亜人も生活していると言うではありませんか。私の家族達も此方ならば外を見せて上げられるのではと思い下見に、獣人が働いてると言うお店を見に参りました。そうしたらユウマ様がいらしゃったのでお声を掛けさせて頂きました。」
「なるほど…奇遇ですね」
「はい、それで先ほどのお話ですが失礼ですが少し聞かせて頂きました。責任者を探されてるそうで。」
この紳士なら、亜人にも差別意識がないし適任か?
「賭場を作りたいと考えておりまして、そこで責任者が必要なのです。場所は冒険者ギルドが用意してくれます。人員には亜人を三名雇用予定なのですが、もし宜しければ受けていただけないでしょうか?」
「亜人で運営するのですか?揉め事になりませんか?」
「この集落で亜人、獣人に手を出したり差別発言をすればユウマ様に殺されますから、滅多にありませんよ。影ではあるかも知れませんが、ユウマ様が絡んでる賭場でする事はないでしょう。」
リルが説明してくれた。
「殺される…南の街を半壊させたと言う噂は本当なのですね。あれからトールでも獣人、亜人奴隷に対し差別をすると殲滅者が来ると恐れをなして、扱いを改めたり私の商館に売りに来たりと忙しかったのですよ。お陰で家族がかなりふえてしまいました。」
「こちらで準備する賭場の内容は二つだけのカードゲームですが、そちらで内容を増やし人員増加しても構いません。食い扶持を稼がなくてはいけないでしょう?」
「助かります。利益の分配はいかがなさいましょう?」
「私は遊びに行った時に少し融通して貰えれば結構です。場所の関係でギルドと話して頂ければ良いかと思います。」
「それほど、優遇されては断る理由が御座いませんな。有り難く受けさせて頂きます。」
「ありがとうございます。でば商館の移転などもあるでしょうから、打ち合わせは後日その後にでも。」
「はい。畏まりました。」
後日、紳士が受付嬢さんと話し合いをしていた。予定してる採用人数が多いらしく、建物が大きくなってしまったので他にアイディアはないかと聞かれた。だからルーレットやダーツ、ビリヤードなんかも教えた。ダーツやビリヤードは賭けにならなそうだが、俺がやりたいからまぁいいや。あとは酒と軽食を出したらどうかと提案して試作にフライドポテトやオニオンリングを作った。料理が出来なくてもコレくらいは出来る。
『美味しい。』
『これは、エールやワインにも良いですな。』
紳士や受付嬢さんの評価は上々だ。
『ユウマ様…もっと早く食べたかっです。』
リルさん。料理する場所なかったでしょ?
そんなこんなで、カジノ《戦士の集い》がオープンした。冒険者の集落ではだから集まるのは戦士だろうって安直な名前ではある。獣人、亜人を差別する貴族達に対する牽制でもあるのだが。
カジノには俺が提案したものの他に熊獣人とアームレスリングや、ビリヤードやダーツを使った対決もの賭け事があった。観戦者はどっちが勝つか掛けて、挑戦者は挑戦料を払いカジノ側に勝てば賞金を貰える制度だ。なかなか考えたな。
ルーレット、ポーカー、ブラックジャックにいるディーラーは燕尾服のエルフ達だ。モデル体型なので凄くカッコいい。メイド服の女性亜人達は給仕を担当していた。ここはケモナーの天国だな。
オープンし数日は亜人に対する暴言があり、俺が呼ばれる事もあった。
行ったら速攻で土下座かましてたけど、見せしめに半殺しにして、外に日が上がるまで吊るしといた。
それから注意書きが入り口に貼られる事になった。
『当カジノ《戦士の集い》は無傷の殲滅者の縄張りであり、当カジノの亜人、獣人に対し暴言、暴力を振るった場合、制裁が加えられる恐れがあります。ご注意下さい。』
そんなんでいいのかな?っと思ったが効果があり、殆ど暴言は無くなったらしい。たまに居るが俺の字名をだすと、冷や汗流して逃げ出すようだ。失礼な。
カジノの備品は殆どユリカに製造を依頼した物でユリカも懐が暖かくなったようだ。それよりもフライドポテトに感激していた。
『異世界で揚げ物が食べれるなんて幸せだよ。今度唐揚げ作っておくれよ。』
残念ながら俺に料理の才能はない。唐揚げなんて作り方は知らない。女性なんだから自分で作れと言ったら
『料理が出来たら元の世界で結婚して幸せになっていただろうね〜』
遠い目をして言われた。すまん。地雷だったか。
とりあえず、カジノは成功した。遊戯の神さんの依頼一つ目終了だ。
亜人達の差別を無くす一環としても上出来だろ。遊戯の神さんも満足してくれるかな?




