第14話 災厄の種族と神の槍
「では、始めましょう。サラ、リルフェン。背中を出して下さい。」
紳士が言うとサラとリルが服を脱ぐ。背中には魔法陣が描かれている。
「これが奴隷紋です。ここにユウマ様の血を一滴垂らして下さい。」
俺は言われるままにナイフを借り、指先を少し切って血を垂らす。
奴隷紋が青白く光、少しすると治った。
「これで主人の登録が完了しました。奴隷は主人の命令に背けません。ただし、主人が命令と認識し発言した言葉のみに効果を持ちます。背けば奴隷の背徳意識に比例し軽い痛みから死にいたるまでの苦痛が奴隷に与えられます。」
「背徳意識に比例すると言うと、頑張ったけど出来ませんでしたって時は軽い痛み程度で済むと考えていいですか?」
「はい、その通りでございます。これは無茶な命令で奴隷を殺そうとする者への対策でもあります。また、奴隷は主人に危害を加える事が出来ませんが、殺意を持った場合にのみ限られます。事故を避ける為に突き飛ばす事や、訓練など冒険者の方々には必要とされますので。」
確かに訓練出来ないのでは困るところだった。
「説明は以上でございますが、質問はございますか?」
「いえ、大丈夫です。ありがとうございます。」
「では、服をご用意させて頂きます。」
助かった。薄手の布服一枚で女の子をつれて歩くのは気が引けた。一般の女の子服と淡い色合いのローブを用意してくれた。
「料金はいくらでしょうか?」
「合計金貨4枚でございます。衣類はサービスさせて頂きます。外では獣人は奇異の目で見られますから。」
見せびらかしたい気持ちはあるが、リル達が嫌な目で見られるのは確かに嫌だ。
「ありがとうございます。」
ギルドカードで料金を支払う。
「では、これで。何か困った事があればいつでもご相談ください。もはやユウマ様も私の家族でございます。」
「ありがとうございます。その時は是非お知恵を拝借したいと思います。」
「えぇ是非」
そう言って奴隷商館を出て宿に向かう。
「いらっしゃい。あら、増えたね。奴隷買ったのかい?」
女将さんが話しかけてくる。
「えぇ三人部屋にして朝夕食事をお願いします。獣人ですがよろしいでしょうか?」
拒否されたら野宿しよう。
「あら、珍しい。ウチは大丈夫だよ。昔は獣人の冒険者も沢山いたのにねぇ〜嫌な時代になったもんだよ。」
昔って女将さんおいくつですか⁉︎差別ってここ10年や20年の話じゃなかったはずだよ⁉︎でも助かった。
「ありがとうございます。では、5泊お願いします。」
「はいよ。全部で銀貨3枚と大銅貨1枚だよ。」
計算早いな!慣れないから幾らか分からなかったぞ!
ギルドカードで料金を支払う。
大分減ったな。残りは金貨7枚、銀貨1枚、大銅貨5枚、銅貨5枚だ。あれ?半分も減ってないな。七百万あるって考えたらまだ大丈夫かな?グボナをサラに渡すと武器買わなきゃだし、皆んなの生活用品や防具買わなきゃだから贅沢はできないか。
「部屋は二階の端だよ。」
鍵を預かり部屋に入る。
「さて、改めて自己紹介をしよう。このメンバーでは隠し事は無しだ。家族の様に接する事。」
「「はい。」」
「まず、俺から。ユウマ-サトウだ。歳は16。見ての通り人族。異世界から神さんの遊びに付き合わせれる為に来た。」
「「⁉︎」」
驚いてる驚いてる。
「…ユウマ様は使徒様なのですか?」
リルが言う。
「そんなんじゃないよ。本当にこの世界がつまらないから、なんとか楽しくしてって感じで言われた。」
そのうちカジノを提案してやろう。遊戯の神さんならそれで許してくれる。
「…信じられません。」
サラが言う。まだ信用ないみたいだ。
「直ぐに信じろって言ったって無理だろ?俺も逆の立場ならそうだ。ただ隠し事は無しって言ったろ?自分が率先しないでどうする?あっ!でも俺達の情報は他言無用で頼む。」
「承知いたしました。」
「次はリルな。」
「はい。リルフェンです。歳は15になります。エルフと白狼族のハーフで忌み子です…」
「ありがとう。リル。ここにはリルを蔑む人はいないよ。サラも大丈夫だろ?」
「はい。問題ありません。奴隷商館での会話は聞いておりました。奴隷商の話がどこまで信用おけるか悩ましいとこではありますが、忌み子という存在がここまで大切に育てられている事を踏まえある程度信じられると判断致します。私は種族が違う程度で、他者を見下すつもりはありません。」
「あ、ありがとうございます。」
サラは堅いな。
「次はサラ。」
「はい。サラ-ドラクニルと申します。歳は18です。主人殿より歳上だった事に驚いております。戦闘では槍を使います。腕に自信がありお役に立てる自負があります。種族は蜥蜴人族です。」
「…サラ?隠し事は無しって言ったろ?」
「⁉︎申し訳ございません。」
「言い辛い事なのか?」
「…」
「そうか、では仕方ないな。サラを戻す。」
「⁉︎ま、待ってください!言えます!言えますから!」
「まだ信用が無いのは分かるけど、信用得る為にもこのメンバーで隠し事はしないでほしい。」
「…畏まりました。私は…竜人族です…」
「⁉︎竜人族ですか⁉︎」
「リル?竜人に何かあるのか?」
「…私が、忌み子が災厄を呼ぶ者なら、竜人は災厄そのもの…天下無双の強者と言われます。昔は1人の竜人の怒りに触れ落とされた国もあったとか、お伽話と思っていました。」
「…」
「じゃぁ、リルが呼び寄せた災厄はサラだっんだなぁ。出会う運命だったのかもなぁ?」
「へっ?」
リルが変な声をあげる。
「災厄の種族なんだろう?」
「そ、そうですが、そんな考えでいいんですか?」
「俺もある意味、神の使いだし変わり種ばかりでいいじゃないか。俺を呼んだ神さんも喜んでるよ多分。」
遊戯の神さんよ。俺が生涯かけてケモミミ差別だけは無くしてやるよ!
「…私が怖くないのですか?」
サラが言う。
「怖くないね。サラが強いのは分かるけど、まだ俺に及ばない。っと言うか奴隷として捕まってる時点でなんだかなぁ」
「…⁉︎。あぁぁぁ。種族として恥だぁ」
サラが手を地につけて落ち込む。
「まぁまぁそのお陰で会えたんだから。それにサラはコイツを持って俺を超える事が出来る。」
そう言って俺はグボナを差し出す。
「この槍は?」
『我は魔槍グンボルナク。神より遣わされた槍である。』
「槍が…」
「喋った…」
おぉ〜いい反応だ。しかし、グボナ調子に乗ってるな。俺の時はこんな事しなかったのに。
『我の遣い手に汝を選んだ。我を手に取りユウマの力となれ』
「か、畏まりました!」
「あぁ〜サラ。そいつふざけてるだけだから、畏まらなくていいぞ。」
『なんだよユウマ〜バラすなよ。面白かったのに〜』
槍だから表情が読めないがニヤニヤしてるに違いない。
「…インテリジェンスウェポンなのですか?」
『そうだよ。ユウマと同じ世界から来た元人間。だから神から遣わされたっての嘘じゃないよ。』
「わ、私が貴方様を使ってもよろしいでしょうか?」
『むしろ君がいい。俺を上手く使える美人さん。適任だね。』
「お、畏れ多く感じますが…畏まりました。誠心誠意、貴方様の力を引き出せるよう精進致します!」
『簡単にグボナって呼んでくれ。サラは俺を持てばもっと強くなる。試しに持って、ステータス見てみて。』
サラがグボナを手に取りステータスをみる。
「…スキルが増えてる⁉︎」
『これが俺の力さ。倒した相手が多ければ多いほど力があがるよ。』
「凄い…しかし、主人殿を差し置いて私がグボナ様を使ってもよろしいのでしょうか?」
「グボナがサラを選んだんだ。俺とグボナは対等だから気にするな。」
「ありがとうございます!竜人である私を受け入れてくれただけでなく、この様な神槍まで授けて頂けるなんて。感無量です!」
「気にするなって。さてグボナを含めて全員自己紹介が終わったな。分かったと思うけど、俺達は異常だ。遅かれ早かれ他者に目をつけられるだろう。それはリルが忌み子だから、サラが竜人だからって訳じゃない。俺には全てのスキルを無効にするスキルがある。鑑定弾けば誰だって気になる。グボナだって異常な槍だ目をつけられる。だから、力をつけよう。誰が来たってこのメンバーなら跳ね除けられる力と自信をつけよう。明日は武器や防具、生活用品の買い物に行く。その後、出来ればサラとリルの冒険者登録。冒険者としては週一回は訓練を受けて、近隣の草原や森、ダンジョンでレベルアップを図って行こうと思う。どうたろう?」
「畏まりました!全力でご期待に添えてみせましょう!」
サラが言う。
「わ、私は少し自信がないです…ほとんど檻で生活していたのでレベルが高くないので…」
リルのレベルは3だ。
「まぁ最初は俺やサラが守るさ。大丈夫。リルは強くなれる。」
そんな予感がする。獣人の身体能力にエルフの魔力。強くなる気がするんだよな。案外忌み子の由来も竜人と似た様なものかも知れない。
「…分かりました。頑張ってみます。」
「じゃ二人でお湯を桶二つ分貰って来てくれるか?」
「「はい!」」
二人が女将さんからお湯を貰ってくる。
「じゃぁ二人共脱いで拭いてあげるから。」
「ふぇ⁉︎」
「主人殿の前でですか⁉︎」
「…ダメ?」
「…ご命令であれば従いますが、恥ずかしいです…」
「流石にこんな事で命令したくないな。嫌ならいいんだよ。俺も男だからさ、ね?」
男は皆んなエロいんだ!
『俺のサラを汚すな!』
グボナが騒ぐ。サラの頬の一部と手足の外側は鱗が付いている。胸とか背中どうなってるか気になるんだけどな…エロい気持ちのほうつよいけど。
「じゃリルだけでもどう?イヤ?」
「わ、私も恥ずかしいです…」
「しょうがない。今回は諦めるか。部屋の外で待ってるから終わったら声を掛けてくれ。リルは夜抱かせてくれ。」
「ふぇ!そ、それはもっと恥ずかしいと言うか、まだ早いと思います!ど、奴隷ですから覚悟していましたが、いざとなると心の準備が…」
「あぁ〜そっちじゃない。本当に抱きしめて寝たいだけ。それがまだ早いのは俺も分かる。」
「なんだ…って、それも結構な事ですよ⁉︎」
「ダメ。俺にケモミミを愛でさせろ。」
「そんなぁ〜」
「…そんなにイヤか?」
「…いえ、それが…そんなにイヤじゃない…です…」
「じゃ決まりだな。」
「はい…」
俺は外で待つ。アレ?グボナ部屋の中じゃないか?あの野郎ー‼︎
「主人殿、終わりました。」
「ありがとう。サラ。グボナ!」
『気づかれたか!』
「一人だけいい思いしやがって!サラ、リル!コイツも男だからな!気をつけろ!」
「そうだったのですか?ですが、槍なので私達に手は出せないかと思います。」
「そうだが、俺のものを視姦されるのは良い気分じゃない。」
「畏まりました。以後気をつけます。しかし、私とグボナ様は常に一緒にいる事になると思います。不意な事故はお許し下さい。」
「うん、まぁ仕方ない時はしょうがない。」
「ありがとうございます。」
「庇われやがって…」
『ユウマだってリル抱き枕にするんだろ?爆ぜろリア充!』
「ぬぅ…」
『サラ。俺を抱いて寝てくれない?』
なんか言ってる!
「かまいませんよ」
えっ⁉︎いいの⁉︎
「命を預ける武器ですので、それくらい大切にします。ダンジョンや戦などでは奇襲に備え武器を抱えて寝るのは当たり前かと。」
それもそうだな。
『よっしゃああ!』
「よし。上手くまとまった所で飯食って寝ますか!」
そうして、食堂で夕食をとりベットに入る。
リルを抱きしめて、ミミと尻尾を愛でる。ニギニギ、サワサワ、スリスリ。
胸は触ってない。それはまた別の時だ。
「ゆ、ユウマ様…もぅ少し抑えて頂けると助かります…」
「…すまん」
チョット怒られてしまったが、幸せな気分で眠りについた。ケモミミは素敵だ。




