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エメラルドの血  作者: 山ノ上三条
第一章
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68

放浪生活2日目夕方です。

怪獣映画って見たことあります?

私、子供の頃に見たんですね。勿論生前ですが。

着ぐるみで暴れる怪獣、そしてヒーローが戦う特撮なんかも。あと恐竜が出る映画。

ちょうどCGがもの凄い新化をとげてまるで本当に生きているような映像が凄かったんですね。

でもね


まさかリアルに見るとは思いませんでした。



「あ~~ははははははは!ぎゃお~ぎゃお~クエエエエエエエ!ぎゃ~す!

この~やったなあ、お返し~右ぱ~んち!」



今現在夏樹ドラゴンがTレックスタイプの恐竜と戦っています。

ドラゴンVS恐竜の2大対決が夕焼けをバックに私の目の前で繰り広げられております。

地響きがとても凄いの。振動が凄いの。土煙が酷いの。夏樹ちゃんが酷いの。



「百合花ちゃ~ん、待っててね~。お肉もうすぐ狩れるから!そしたらバーベキューしようね~」



うん、バーベキューしたいって言いました。私。

でもまさか目の前で恐竜を狩るとは思いませんでした。

困ったな、肉食恐竜って筋肉多くて硬いのよね。できれば草食恐竜のほうが食べたかったな。

今更そんなこと言えないんだけどさ。

しかし凄いなあ。迫力が段違いです。周りの植物が踏み倒されまくりですよ。

夏樹ちゃんのほうが体格がいいので優勢だね。夏樹ちゃん現代っ子なのにオークとか

ゴブリン倒すのに嫌悪感とか無いのね、今も恐竜と戦って命を奪う事に何の躊躇いも見えないし。

あ、決着ついたみたい。



「あ~楽しかった!はい!お肉!お腹すいたから食べよう!」



・・・・・・グロイ。

口からでっかい舌を出して息絶えてる恐竜って怖いなあ。おっきいし。頭だけで3メートルくらい?

うーん食欲沸かないかも・・・食べるけど。

まず夏樹ちゃんが炎属性ブレス吹いて丸焦げにします。焦げた部分をそぎ落とし(ナイフなんて

持っていないので石包丁作りました、勿論夏樹ネイルでよさげな岩を粉砕して)次に

良い感じに焼けた赤身を贅沢に切り分け葉っぱのお皿に盛り付けます。これで完成。


私が想像してたバーベキューじゃない。焼肉だ、これ。いや、それも違うか。



「あんまり美味しくないね、調味料無いからしょうがないんだけどさ。味の無いローストビーフ

食べてるみたい。」



人間に変身した夏樹さんがもぐもぐしながら味の無い肉を手づかみで食す。

なぜか服を着た姿で。夏樹さん曰く「服を着た自分を想像したらできた」何それ。

昨日まで裸になってたじゃん、何でいきなりそんなことが出来るようになるの?謎なんですけど。

それにステータスを見たらスキルに[人工精霊][亜空間収納]魔力不足とか出たらしい。

おまけに[眷属付加][軍勢強化][その他]未実装って表示があるらしい。

何それ、外国産MMOで本国では実装してるけど日本にはまだなんだけど、

先行でイベントだけ始めました。実装まではもうちょっと待ってね。的な事なのだろうか?

それよりも[その他]って何!?なんなんですか昴さ~~~ん。




「いやあ、中央って遠いね。困ったね」


「いえ、困ったのは巻き込まれた私なんだけど?」


「ごめんよう、方向音痴なんだ私。いつもは響がいるから安心なんだけど」


「最悪だー」



駄目だ夏樹ちゃんはあてにならない。明日は私が頑張らないと!

焼肉食べながら昨日みたいに色々話してたら夏樹さんが気になる事を言い出した。



「私さ、響から聞いた話で何で?って思った事があるんだけど。できれば当事者の一人である

百合花ちゃんの意見が聞きたいの」


「いいけど何?」


「あのねちょっと聞きにくいとこで申し訳なさ満開なんだけど、響と百合花ちゃんが死んじゃう

闘いってあったでしょ?そのとき響がオーク?の目的が転移装置だったって言ったらしいね。

でも何で響がそれ判ったのか私には不思議だったの。響はオークの動向で判ったみたいな?

そんな感じで話してくれたけど本当にそれで判るものなのかな?百合花ちゃんや竜輔おじいちゃんは

判らなかったのよね?そこんところどうなのよ?」


「何が申し訳なさ満開なのかな?その態度から申し訳なさ0%だと思うけど、そうだねえ・・・

判らなかったってのが本音かな。私もあのとき小鳥さんが言った言葉を直接聞いてないから

なにをもって判断したのかは分からないかな・・・」


「そっかあ、百合花ちゃんも分からないかー。もしかして電波でも受信したのかと

思ったんだけどなあ?竜輔おじいちゃんなら分かるのかなあ」



やだ怖い、小鳥さんってどっかから電波受信する危ない人だったの?うん、それは無いな。

ふむ、電波うんぬんは別として竜輔おじいちゃんって言葉はなんか新鮮に聞こえる。

あ、現実世界では竜輔さんの擬似魂は生存しているのね?あれ、聞いてたっけ?忘れた・・・。

そういえば響さんと竜輔さんの擬似魂の関係ってどんなのだったのだろうか?

気になるけど聞きづらい話だなあ・・・。あ、さりげなく夏樹ちゃんと竜輔さんの関係聞いたら

響さんの事をぽろっと話してくれたりしてくれるかもしれない。



「竜輔さんと夏樹ちゃんってどんな感じだったの?竜輔さんは擬似魂だって知ってたりした?」



私の質問を聞いた夏樹ちゃんが固まった。あれ?拙い事聞いちゃったのかな?

でも、最初に竜輔さんの話だしたの夏樹ちゃんだし?私悪くないよね?

あ、擬似魂だって知ってたって昨日聞いたじゃん。忘れてた。



「おじいちゃんかあ・・・あのね、響から小鳥おばあちゃんの生まれ変わりだって聞いた時に

え?じゃあ、おじいちゃんと夫婦だったの?って聞いたら「そう」ってあっけなく返事されたのね。

「辛くない?」って言ったら「同じ記憶持っていても魂は別人でしょ?」って言われて

へえ・・・ドライだなーってそのときは思ったの。あ、私との関係性を聞きたかったんだよね。

えと、たまに一緒に遊びにいってたよ。結構アウトドアな遊び教えてくれた。

でもなあ・・・響が余計な事いって大変な目にあったわ~」


「ん、どんな目?」



おや、目が死んでますよ夏樹ちゃん。



「うん・・・いのちのたいせつさを、なつきにおしえて?ってひびきがおじいちゃんにいってね?

わたしたちそのころ8さいくらいだったの。ぼくじょういってね、そーせーじつくりをけんがく

したの。そーせーじよ?おにくちょうたつするところからけんがくしたの。

ちょうたつだよ?いきてるぶたさんだよ?がん!っておとしたら、ちがぴゅ~ってふきだして

しんじゃったの。「いいか?これがいのちをたべるってことなんだ」とかいいこといってたけど

おじいちゃんもびびってたの。ひびきだけがふつうだったの。

そのごもおなじような事を何回も体験してね・・・なんかね・・・もう慣れちゃった」



何やってんだ竜輔さ~~~~ん!!!(擬似魂の方の人~~~)



「まあ、響の目的ってのが命を奪う事を躊躇う事のない様に慣れさせる事だったらしいんだけど!

あの子エメラルドに私が絶対ついて行くってその頃から信じて疑わなかったんだろうね。

異世界でも生きていける胆力つけようとしたんだろうね。

だからあんな事画策したんだろうけどさ、過激過ぎでしょ。そりゃあね、最初エメラルドの世界

の話聞いたときは無論躊躇いなく行くって返事したよ?でも、もうちょっとやり方があったでしょ」



ああ、だから戦闘になっても怖気づいたりとかしないのかな?怖いな・・・。

あれ?なら何の訓練もしてないうちの愚弟は何で初陣で無双できたんだろう?

普通ならびびって逃げるはずなのに・・・。あれ、千景って戦闘狂とかそんな人格なのかな?

やだ、怖い。



「まあ、おじいちゃんが擬似魂だって事は響の説明の中にあったから知ってはいたよ?

そもそも私のおじいちゃんはそちらのおじいちゃんだからねえ。百合花ちゃんが知ってるおじいちゃん

とは違うよね。やっぱりどこか違うのかな?響そこの所は何も言ってなかったな。

響ってね、おじいちゃん子だったのよ。もうべったりだったなあ、小さい頃。

おじいちゃんは芳野おばさんと旦那さんの家に同居してたから休日にいくと必ずおじいちゃんの元に

真っ先にいくのね・・・・・・・・・響は魂が違うとか言っていたけど、ある時おじいちゃんを見る目が違う事に気づいてしまったの。やっぱり旦那さん会いに行ってたんだ・・・そっか・・・って思っちゃった。でもね、響も成長していくうちに竜輔さんの事にけじめをつけたんだろうね。

それからは普通のおじいちゃんと孫の関係になったんだ」


「夏樹さん・・・」


「辛かっただろうなって。同じ顔、同じ声、同じ記憶を持っていてもさ、小鳥おばあちゃんが愛した

竜輔さんじゃないんだよ。何て残酷なんだろうって。話を聞いた当時は私も子供で響の辛さを

理解してあげることができなかったから響に対して何も出来なかった。

でも、響は自分自身の力でその辛さを乗り越えたんだよ。偉いよね、うちの妹。

おねえちゃんなにもしてあげれなかった」



ここ2日で夏樹さんが凄く大人に見える。ここまで心情を私に話してくれるなんて思わなかった。

ああ、ただの変態じゃなかったんだな、って。見直した(変態って思ってしまうのもどうかと思うけど)もしかしたら私を連れ出したのもこれを話したかった為・・・なのかな?



「だからお姉ちゃんとしては響は千景君にお任せするの。だから百合花ちゃんもっと

仲良くしようね!本当の姉妹の如く!だって千景君が響と結婚したら義理の姉妹になるんだから!

百合花ちゃんが私の妹!夢が広がるよ、やったね私!」



違った、確実に違う。

やっぱり夏樹さんは夏樹さんでしかなかった。

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