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エメラルドの血  作者: 山ノ上三条
第一章
56/111

56

周辺に居た人達がいつもの事だと分かったのか何事も無かったように戻って行った。

こんな日常ってやだなーエメラルドにきて日常が忙しいのは気のせいではないよね。

望んで帰ってきたんだけど、こんな状況は想像してなかった。うん。

もっと悲壮感が漂うかと思ったんだけどまあ、暗くならないのは良い事だよね?ね?


「翡翠、落ち着いた?それで君達もドラゴンになってみるかい?

今なら優先的に実験出来るよ?」


「・・・・・」



返事が無い、翡翠はポンコツっているようだ。



「はーい。私、宮前 夏樹が立候補しまーす」


「お、元気な返事だねえ。じゃあ夏樹君にお願いしたいところだけど、

まずは個体適正を調べてからお願いするよ。各人に適したドラゴンで試して

貰いたいからね。それでいいかい?」


「良く判りませんが、それで良いと思いまっす」



夏樹さんはどんだけドラゴンになりたいのかな?うーん、空を自由に飛べるってのは

魅力的ではあるけどなあ・・・・・・ん?・・・各人に適したドラゴンって・・・

複数いるの?ドラゴンが?



「あのーもしかして、何匹もいるんですか?ドラゴンって」


「千景君、匹ではなく体で数えてほしいな。いるよ~、基本になる火、水、地、風。

これは妖精と同じで属性を持たせてある、やっぱり属性別ってのは当然だよね。

それに、光、闇、そして無がいるんだ。無ってのは属性無しって事じゃなくて

全ての属性を扱える個体って事。でもその分大変に魔力を食うんだよね~。

・・・誰も扱えなかったらどうしよう?」


「どうしようもありませんね・・・」


「モスボール処理して展示しようかな・・・第二次世界大戦時に使われた戦艦みたいに」


「そして時間が経ち扱える者が現れるまで眠りにつくんですね、わかります」


「だよねえ、ファンタジーの王道だよね。じゃあ、名前はカリバーンにしようか?」


「エクスカリバーでもいいんじゃないですか?有名だし」


「ん~そうなるとアーサーかペンドラゴンでもいいような気がするね」


「王道ですね、奇をてらって国名のログレスでも面白いかもしれませんよ」


「判ってるねえ、千景君!いやあおじさん嬉しいよ」



ああ・・・似たような嗜好の二人が話すとメンドクサイわ。同好の士と会えたのは

嬉しいんだろうけど、千景、響さんが呆れてる。



「千景、そろそろやめにしないと、響さんに嫌われるわよ?」


「へっ?」


「そうね、ちょっと嫌かなあ」


「あ、ああ、あ・・・すみません、スミマセンちょっと熱くなっちゃって・・・」


「あちゃ~失敗しちゃったねえ千景く~ん。って嘘嘘。だよね?響?」


「ふふふ、ごめんね、千景く「ってわあああああああああああ」わっびっくりした」


「皆さん、なんでつっこまないんですかあ!おかしいでしょ!何匹いるですって?

ふざけんじゃないですよ!何考えてるんですか!あふぉですよね?よね?」


「翡翠、さっきそれやった」


「さっきやったのはあほですかですよね?です!百合花も私につっこみいれるんじゃなくて

昴様につっこみいれなさいよ!あーもう!」


「翡翠ー着いたよー」


「あーもう、味方がいなーい!」



混乱してる翡翠引きずって着いた先はドーム型球場くらいある空洞だった。

中央には大きな球状のものが何個も浮かんでいるけど中は暗くて見えない。

うわーでっかいわあ、どうやってできたんだろう?色々な装置らしきものが見える

んだけど、今までの様式とは違うみたい。なんだろうこの感覚。

今まで見てきた地球上の文化的要素が見当たらない。遺跡であるのは間違いないけど、

全て初めて見る模様や作りになっている。んー例えるなら、地球と異なる文明で

作られた構造物というのが正しいのかしら?

わかりやすく言うとSFもので出てくる惑星の文化かしら?



「・・・宇宙で大作戦にでてくるMクラスの惑星でよくある文明みたいね・・・?」


「そう!響さんそれです!あ~知ってる人がいてよかったあ~」


「あははははははは!、僕らの仲間内でしか判らない内輪ネタが君等に伝わって

嬉しいよ!あ、僕らが作った訳じゃあないよ?それにあれとは関係ないし。

似てるけど違うんだよ。ここはね、僕がこの世界に来る以前から

[元々ここに存在していた]ものなんだよ。言ってる意味判る?」


「え、じゃあここには僕ら地球人が来る前に人類というか異星人が居たって事ですか?」


「そうなるねー今まで君等が見てきた魔法や転移門などは彼らの置き土産から

作られたものだよ」


「ファンタジーだと思ってたらSFだったでござる・・・?」


「夏樹が武士になった・・・アル」


「響さんが中国人に・・・なったごたる」


「百合花はどこの人よ」


「知らない」


「あ、ちなみにエルフ、ノーム、ドワーフの人類、妖精、精霊も彼らが作ったと

思われる。凄いよね!恐竜や哺乳類、魚、虫は原生生物だね。

そして、そして!ここには僕らが生み出した生物がいるんだ!ドラゴンがね!

僕らの希望、そして夢、願いがここに!」



昴さんは機材の上に登って背中に雷(幻)を背負って高らかに宣言した。

ちなみにポーズが変。上げた左手で左目を隠し左足は一段高い位置に置き

右手は私達を指差している。80年代のロックスターかしら、古いわ。

そして指を指された私達だけど、

私はへーそうなんだ。千景はちょっと興奮してるね。響さんは呆れている。

翡翠は絶対零度の視線を向けている。夏樹さんは鼻息が荒い、美人なのに。

各人反応はそれぞれだね。



「なーにが希望、夢、願いだよ。単なるお前の欲望じゃないか」


「むっ、何奴!いや、知ってるけども!ライド貴様見ているな!」


「じゃあ誰何すんなや。昴以外の人こんにちは、中華クランの人だよね。

翡翠もよく来たね歓迎します」



突然現れたエルフの男性は今まで見てきた中でも年齢が上の渋い感じのエルフさんだった。

身に着けている服などから結構な地位の人だと判るわ。かっこいいなあ・・・。

男だったら憧れてたかも、あんな中年になりたいなって。

今は女性だから別の意味で憧れたりするのかもしれないけど、悲しいかな私には

そういう恋愛感情が浮かんでこない。どうしてだろう。きっと運命の王子様(笑)が

現れるまでは誰も好きになんてならないって事よね。



「皆、昴は基本いい加減だから話半分で聞いておくといいよ。そこのところは翡翠が

良く判ってるはずだから話を翡翠に合わせるといいかもね」


「味方が現れたぁ・・・ううう・・・ライド様良く良く来てくださいました!

さあ、悪の権化昴様を弾劾しましょう!」


「何の件で弾劾するのかな?それを知っておかないと賛同できないかな?」


「ドラゴンです、流石に目に余る研究ですよ!」


「あ、それ私も参加している研究だ」


「貴方も敵側でしたかあああああああ・・・いつの間にこんなことを・・・もう嫌あ」





「姉さん、翡翠さんって面白いね」


「うん、それにテンパってると可愛いでしょ。いつものクールさが消えて」


「ところであの渋いオジサマエルフさんは誰だろう?百合花ちゃんや響は知ってる?」


「いいえ、私は知らないわね。百合花ちゃんは覚え有る?」


「私も覚えてませんねえ・・・中央には何回か来ましたけどそれ以前に建国してませんでしたし」


「そうよねえ」



翡翠との掛け合い漫才が一段落着いたのかライドと呼ばれたエルフオジサマが

私達のほうに来た。うん、渋い。開発局の人かしら。



「改めて自己紹介しよう、私はライド。この国[ユニフィ]の王というまとめ役を

している者です。中央へようこそ」


「国王陛下でしたか、ご無礼許しください」


「ああ、いいのいいの。王様なんて役職についてるけど実際にただのまとめ役でしかないし。

畏まられるとこっちが恐縮しちゃうから。敬語とかも出来れば使わないで」


「は、はあ・・・判りました」



謝罪した響さんが困惑するくらい気さくな人だね。この人からは何というか親しみを感じるわ。

この前会ったゲスリクスさんとは大違いね。いや、違ったゲトリクスだったわ。



「姉さん、僕この人とは仲良くなれそうな気がするよ。この前のゲスリクスさんとは

大違いだと思わない?」


「あ、やっぱり千景もそう思う?だよね~ゲスリクスさんとは大違いだよね~

なんでだろうね?やっぱり相性があるのよ」


「そうなの?私は何とも感じないんだけど?」


「私も夏樹と同じかも。何も感じないけど二人は違うのね」



響さんと夏樹さんは感じてないみたいね。これって多分千景と私しか感じないの。

自分でも説明できない感覚だからなあ。困った困った。

そういえば王様から自己紹介してもらってこちらが自己紹介をしていない事に気づいた

私たちは所属クランと名前を各々申告した。本当に失礼しました。

こちらの自己紹介が終わった後、昴さんから私達がここに居る説明をして貰った。

もちろん、転生と私達の強さもちゃんと説明に入っていた。



「ふむ・・・転生ねえ・・・昴の話だと誰でもできる訳ではなく、状況が揃わない事には

同じことは出来ないという訳だね?」


「そうだね、それで合ってるよ。それで今回彼らの事を始めに言い出したゲトリクスだけど」


「うん、彼には転生などの事実は伏せておこう。彼らの強さは偶然であって理由は不明だが

恐らくなんらかの不具合に拠るもので同じ現象は再現不可能だと。

従って強化の方法など無いと報告しておいたほうがいいね」


「だよね、僕と同じ意見だ。じゃあ後でそう報告書でも書いて送っておくよ」



おや?なにか隠し事しないといけない雰囲気ですか。それにゲスリクスさんへの

報告が作為的にグレーなのはやばい案件なんですかね?私達って。

それにですね、



「あの・・・転生の事実はうちのクランで普通に喋っちゃったんですけど?

もしかして駄目ですか。黙秘しないといけない案件でしたか?」


「ああ、そっか崋山派ではもう伝わってるのかあ・・・じゃあ悪いけど翡翠、後で円に連絡してきて

貰えるかな?崋山派ではこの件に関して黙秘する事。クラン外には洩らさない事。

さっき言ったゲトリクスへの報告内容を表に出して良い情報とすること。

響、夏樹、千景、百合花、この4名は初期のメンバーであってごく初期に引退したメンバーと

いう事にしておいて。それ以外はオフレコで。君達もさっき言った事を覚えておいてね。

面倒な事は回避しておきたいでしょ?」


「そうですね、そのほうが助かります」



説明メンドクサイからね。



「ところで、ここに来たって事はドラゴンの件なのかな?」


「そうだよ、彼らに手伝ってもらう事になってねえ。きっといい結果が出ると思うよー

後で報告と報復に行こうと思ってたんだけど、君なんでいるの?」


「なんか変なフレーズが聞こえたけどなんでだろう・・・息抜きにちょっとね。

抜け出してきた。」


「駄目だよぉ、皆に迷惑かけちゃあ。何かあったらどうするのぉ

君には馬車馬みたいに働いて貰わないといけないんだよぉ。

僕らをエメラルドに呼んだ責任があるんだし。

王様辞めたいとか言い出しても退位させないからね。寿命尽きるまで

逃さないよぉ。だから、体大事にしないと駄目だよ?」


「お、おう・・・いきなり何?」



あ~デジャブデジャブ、さっきこの光景見た見た。

翡翠以下私達全員がこのやり取りを冷たい目で見た。男のツンデレって寒いわ。

美術部の吉田君の彼女、腐女子の未優ちゃんなら興奮してそうだけど。

未優ちゃんが言ってたけど、男性が書く物語には武勇伝みたいに人物の強さや功績、

何を成し遂げたとかが描かれる事が多いって。女性の場合は人物の繋がりを

メインにする事が多いって言ってたな。BLも人との繋がりを描いてることが多いって

鼻息荒く説明してた。別の部分の繋がりもあるけどね!とか言ってた。そんな事聞いてないの!

やおい穴とか無いのよ?今、私の目の前で広げられてる光景も未優ちゃんにとっては

好物なんだろうね。きっと攻めがアレで受けがコレがどうたらこうたら言ってるよね。



「ツンデレごっこも大概にしてですね、ライドさま?

護衛も連れずに国王陛下が歩き回られると臣下が困りますので自重くださいね?

ふふふ・・・こっちの身にもなれってんですよ・・・ねえ?皆さんもそう思いますよね?」



翡翠が怖いとても怖い。ぼっけえ、きょうてえ。こっちみんな。

昔、腐女子の友人に私は攻めなのか受けなのか聞いたところ、攻めでした。

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