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エメラルドの血  作者: 山ノ上三条
第一章
51/111

51

「ところで翡翠、そろそろ中央に向かおうよ。さっさといってさっさと帰ってこよう」


「あ、そうですね。ショックでぼーっとしてしまいました」



熱く弁舌を振るった千景に皆が驚いてるけど、いつもの事だから。それ。



「・・・懐かしいわね・・・昔の将君見てるようだわ・・・」


「あ、こと・・・響さん、判ります。将そっくりですよね。竜輔さんと話してるとき

あんな感じにしゃべってましたよね。千景君って本当に孫なんだね、遺伝ね」



え、私あんなだった?



「遺伝というか将君の生まれ変わりの百合花ちゃんと兄弟だからねえ。

それで似たんじゃない?魂もはんぶんこな状態だし」


「あ、その線もありましたね。まあどちらにしても将の遺伝子ってことで、うふふ」


「うふふふふ」



なんだろう瑠璃花と響さんがお互いに微笑んでるけど私としては生前に似てると言われても

自分の事だからわからない。いまの百合花はあんな感じじゃない!と、思いたい・・・。

早くこの空気なんとかしたい、それには行動よね。



「おーい皆~中央行くよーお見送り有難う~いってくるねー。それと瑠璃花~」


「ん、なあに?」


「私の部屋で爆睡してるマユナ起こしといて。多分私が居ないって騒ぎ出すからなんとかしといて」


「・・・・・・なんでマユナがいるの・・・」


「おフランスから引っ越してきた。ついでに私のパートナーに決定したから」



そういった瞬間瑠璃花の背後に燃える幻を見た。というか本物の炎よね。

ひいいいいいい物理的に燃えてるう・・・。なんで!?



「ふふふ・・・そう・・・ついにこの時が来てしまったのね、40年来の宿怨に終止符が

うたれるのね燃えてきたわ・・・ふふふ・・・勝つのは私よ・・・」



怖い!怖い!なんで私を好きになる子ってヤンデレっぽいの?

何でそこまで想い続けられるの!?理解出来ない!愛が重い!そして怖い!



「・・・翡翠・・・とっとと行くわよ・・・」


「いいんですか・・・?」


「怖くて瑠璃花が見れない・・・」


「そですか・・・」



怖くなった私は転移門に駆け込んだ、真っ先に。本気で怖くなったの。

転移門は広場の中央に設置してあり同じデザインの転移門が4つも並んでいる。

まるで!えーっとあれよあそこイギリスあたりにある石でできたあそこ。はらっぱにあるやつ。

だめだ・・・思い出せない・・・。将の時に何回も来て同じ事思うのだけど毎回ぱっと出てこないのよね。



「わあ~ストーンヘンジみたい!」



そう!それ!夏樹さんそれです!けっして歳だから思い出せないとかじゃないのまだ10代だし!

私の後から続々と皆が転移して来た。そのなかでもやはり千景のテンションがやばい。



「うわあ、石造りの家だ、ケルト十字もある。しかもオガム文字じゃないか!

わかってらっしゃる!しかも木で出来た巨人まである!あれって柳で出来てるのかな?

異世界だからそれはないか!あははは・・・は・・・?」



またやらかした千景&私達に視線が集まる。

しかも今回は周りにガリアクランのクラン員まで居るので

視線が痛い。ああ、違うのよ?私達は関係者のような他人なの!

だからそんな目で見ないで!そして翡翠!あんた私達から距離とろうとしてんじゃないわよ!



「千景自重しなさい・・・」「ごめん・・・」






ガリアクランの人に案内されまるで教会のような建物に案内された。

なにここ!でっかあ・・・こんな建物昔は無かったわよね?それに白塗りバーバリアンじゃなくなってる。

中庭ひっろ!エルフさん可愛い!服装がヨーロッパ調でいい!

これは千景でなくてもテンションあがるわね。ま、私淑女なので千景みたいにはしゃぎません。

ステンドグラスきれい!異世界だって忘れそう・・・でも宗教あったっけ・・・ここ・・・。



「ここはそちらの世界の教会をモチーフにして作られたもので特に宗教施設というわけでは

ないんですよ。この国の中央の象徴的な建物という感じですね」



はあ・・・そうですか・・・?

って!国!?建国したの!?初耳ですよ!?



「え、建国したんですか!いつのまに?」


「え、ご存知ないのですか・・・?」



あ、やばいかも。自分の国を知らない人間ってどうなのよ。

ほら、案内してる人警戒してるし。


(百合花!変な事言わないで!)


(いや、だっって知らなかったんだもん!翡翠こそ教えてくれなかったじゃない!)


(そのくらい知ってるものだと・・・)


(あああ・・・しかたないなあ)


「あ、あの私達帰還者っていうかそんな感じの人間なので凄い久しぶりで・・・

い、いやあ・・・発展してますねえ~」


「な、成る程。帰還者ですか!それならば知らないのは当然ですね」


「そ、そうなんです。おほほほほほ・・・」



国かあ・・・なんて名前なんだろう。

もしかしてあの水城 昴さんが王様とか?偉い人に呼ばれてしまったのかしら・・・まずいわ。

礼儀作法なんて私自信無いし、緊張してきた。

案内人が訝しげな目を向けてくるし・・・、ひい!見ないで。

怪しまれながらも目的地に到着しました。何というか偉い人が居そうな部屋ね。

いや、実際そうなんだけど。

大きな扉を開けるとそこに居たのは10代とおぼしき男の子?&妖精さんが数人。



「やあ、来たね。初めましてだよね?僕が水城 昴です」



この人が噂の水城さんか!見た目若いのね!



「ああ、もしかして若いって思ってない?こう見えても70超えてるからね。

僕さあ、30代のとき10代に見られてたんだよね、んで30代でエメラルドにきちゃったから

このなりなんだよね。威厳もなにもあったもんじゃないよね・・・」


「昴さま、ご自身でそんなこと言われるから威厳が出ないのでは?」


「知ってる、わざと言ってるんだもん。客人をリラックスさせようとおもってさ」


「はあ・・・」



私らそっちのけで水城さんと妖精さんの会話が続いてるんですが、私らもう帰っていいですかね?

リラックスさせる為の会話の内訳話したら駄目じゃないですかね?

じゃあ、ここらで御暇して・・・?駄目ですかね?



「ああ、ごめんごめん、まあソファに座ってよ。色々話し聞かせてもらうからさ

あ、翡翠おつかれ様。君も話聞いていってね」



やっぱり帰れませんですか・・・分かってましたけど。妖精さん達はお茶の用意をした後退席した。

私は遠慮なく高級そうなソファにすわったのだけれど、凄く体が沈む・・・

おおう、何という・・・やわらかさ・・・素敵・・・これ欲しい・・・

これは・・・人を駄目にするソファですね、わかります。

やばい体がとろけそう・・・このまま眠りたい・・・。



「百合花ちゃん、百合花ちゃん!」


「っは!?」



ってうえええ・・・寝ちゃってました?ああ、恥ずかしい・・・。

え?自己紹介?あとは私だけ?



「あ、えっと・・・。御園百合花です16歳です?」


「何で疑問形なのさ、姉さん・・・」



うっさいわね、寝起きで頭回らないの。



「さて、そろそろ話を始めようか。でさ、君達って何者?」


「っつ、え?」


怪しい笑顔の水城さんの質問にソファと同化し寝てた私はいまだ頭が回らず

変な声が出してしまった・・・恥ずかしい。赤面してる私に代わって響さんが質問に答えてくれた。



「・・・それは私達の素性が怪しいという事でしょうか?」


「そうだね、ここ中央には全てのクラン構成員の名簿がある。勿論過去、現在に至る、ね。

脱退者、引退者、追放者、死亡者、全ての情報がある。その中に君らの名前は無い。

今、手元にある名簿は紙に記録されている。ここに君らの名前は無い。

しかし、クランシステムの中にあるクラン名簿のデータ上には君らの名前が記載されている。

最初バグがでたのかと思ってあせったよ。それに・・・君らのクラン名簿に載っているはずの

人物の名前が消えてしまっている・・・これは中央で処理しないと消えないんだよ。

いやあ、びっくりだよね。で、君ら何者?」


「そう・・・でしたか・・・そんな怪しい人物達と面会するのに警護はお付けにならないので?」


「まあ、怪しさ全開な訳なんだけどさ、君らのクランのマスターの円が

何も言ってこないのはおかしいけど、本当に危険な怪しい人なら捕まえてるはずで

こんなに自由にさせる訳ないからね、なので僕も一応警戒はするけど警備は必要ないと思ってる。

第一、僕になにかしてもなんの意味もないからね」


「水城さんはこの世界の重要人物なのでは?始まりの人ですよね」


「昴でいいよー。始まりの人って・・・なんか可笑しいね。

ただ、皆より早くこの世界に来ただけだよ。

そしてこの世界で色々やってるだけ。偉くなんてないよ、実際権力も持ってないし」



あれ?私てっきりこの人が王様だと思ってたんだけどな。違うんだ、

どんな人が王位に就いてるんだろ。



「そうですか・・・皆、私達の事説明してもいいかな?」



もうすっかり説明担当キャラになってしまった響さんが私らに同意を求めてきた。

ええ、もう何もかも説明してください。

何回も聞かれているので響さんの説明は判り易かった。

ついでに昴さんもうんうんとちゃんと聞いてくれるのでスムーズに説明が終わった。

その間私達3人(百合花、千景、夏樹)はお茶をすするだけ・・・。暇ね。



「っ!?君が御園 将だって!?」


「え、ええ。正確には私と千景の半分こですけど」


「記憶は百合花君のほうにあるんだよね?で、千景君は擬似魂だと?そして小鳥君が響くんになり

夏樹くんも擬似魂だと」


「ええ、それであっていると思います」


「そうかー君が将君かー男から女になってるんだー、そっかーだからかー」



何故か私を見つめる昴さんから表情が消えてる、ついでに目から光が消えた。

いわゆるデス・フィッシュ・アイってやつだ。私・・・生前貴方になにかしましたっけ?


「姉さん、前世で何したの?」


「いや・・・あの、私何かしました?生前に・・・やらかした記憶が無いんですが・・・」


「あ、ああ!いや!僕は何もされてないよ。会ったこともないよね。話を円から聞いてたからさ。

ごめんごめん、ちょっと驚いただけなんだ」


「は、はあそうですか・・・」



円さん水城さん・・・昴さんに何を言ったんだろう?怖いなあ・・・。

将ってことは前世の話だよね。いろいろやらかしたから。うう、気になる!



「・・・僕の感想言ってもいい?」


「ええ、どうぞ」


「魔界転○?」



またか!またそれか!ちくしょう。70年~80年代生まれはやっぱりそう思うわよね。

でも、残念でした。きっと昴さんは前作の映画よね、私が知ってるのはリメイク版だもん!



「あの~それってなんですか?」


「「「えっ!」」」



私、響さん、昴さんの「えっ!」がシンクロしました。シンクロ率300%かしら?

そっか・・・知らないんだ・・・千景。ついでに?マークが幻影的に浮いてそうな夏樹さんも知らないっぽい。



「千景・・・そっか魔界○生知らないんだ・・・でも、ゆうべはお楽しみでしたね。

は知ってたわね。ベルバラも知らなかったし・・・」


「ベルバラ?ヴェルバラ?」


「ベルバラよ・・・ベルサイユ○薔薇」


「ああ!アレってそう言う風に略すの?知らなかったよ」


「あれっ?作品は知ってるの?」


「うん、名前は知ってるよー。でも内容は知らないかな・・・少女漫画だから読んだことないかな。

そっかーあれって確かフランスが舞台だもんね。だからこの前フランスクランで興奮してたんだね」


「・・・そういう事」


「そっかー響も興奮してたのは漫画読んでたからなんだね。そんなに面白いの?」


「面白いわよ。私の部屋にあったでしょう?、読んだ事無いの?」


「無いよーアレ紙でしょ?骨董品だと思って触れなかったのよ」


「ああ、データじゃない本なんて珍しいものね」


「話しは済んだかい?じゃあ真面目に話を進めようか?」


「あ、ごめんなさい・・・」



魔○転生で脱線した話はにこにこ顔の昴さんに止められてしまった。

でも、怒ってる訳じゃなくて孫を見るおじいちゃんのような笑顔でした。顔は10代なのに。



「僕の見解だけど転移装置が破壊されたのが原因なのは確かだよね。

普通ならエメラルドで死亡するとまず、君達の魂は現実世界に帰還するよね。

まあ、エメラルドで復活されなければだけど。

そして現実世界で自らの肉体に入っている擬似魂と入れ替わり時に記憶の移動を行ったあと

擬似魂はエメラルドへ帰還する。ここまでが普通の工程。しかし今回のケースはオリジナルの魂が

現実世界に帰還後に転移装置が破壊されているので擬似魂が帰還しようにも転移装置は破壊されているので帰還できない状態になり、したがって魂の入れ替わりが出来なくなり君らの魂が浮遊状態になってしまった訳だ。

そして・・・その状態が保たれたまま年月が過ぎていく。そして転生する訳だけど、条件がある

みたいだ。まずエメラルドへのログインができない状態。

そして擬似魂が死亡している状態である事。

オリジナルの魂、擬似魂が肉体を持たない状態で新しい肉体が用意される事。

これはどれでもいい訳ではないようだ。DNAが遺伝している存在、

今回は子孫の肉体ということになるね。肉体が用意されればそこにオリジナルの魂と擬似魂が宿る。

二つの魂がある事で双子になった・・・という事なのかな?君達2組が存在しているから

恐らく正解だろう。しかし不思議なんだが君達の魂は転生するまでよくその状態を保っていられたよね。そこのところは今は情報不足だね・・・。なんとも凄い話だ」



そっか・・・大体私が考えていた事と同じだ。私の魂が転生するまでその状態を保ってられたって所は考えた事は無かったけど。そんな事考えたこともないなあ・・・なにせ幽霊みたいだったからそんなものだと受け入れていたから。



「百合花ちゃん、貴女も同じ考え?私は昴さんと大体同じだと思ってたんだけど」


「ですね。私も同じこと思ってました。幽霊状態時の事までは思いつかなかったですけど。

響さんは気づいてました?」


「いいえ、全く。[そういうもの]だと受け入れていたわ」


「ですよね」


「僕の考えは受け入れてもらえたみたいだね。じゃあ、次の話だ。

君達はなぜエメラルドに来られたのか、だ。言い方が悪かったね。なぜログインできるのか?だ。

姿形が違う君達オリジナルの魂はエメラルドにログイン出来る。魂の情報は生前と同じだという事なのか?と、いうことになるんだけど・・・・。

まあ百合花君は性別が違うけどな。判定が甘いのかな、そこは調査しないとわからないね。

そして擬似魂だけど擬似魂がエメラルドにログインできるのはログインというよりは帰還している。

と、考えてみようか。オリジナルの魂と一緒に新しい肉体に宿るときに記憶をオリジナルに移動させているので帰還待機状態になっているのだと仮定。擬似魂がエメラルドに帰還するときはログインしてから帰還している・・・。でもこの仮定だとクラン名簿に名前が載っているのがおかしい。

なので擬似魂として帰還しているのではないようだ。

肉体に宿るときにオリジナルの魂と一旦融合して新たに二つの魂に分かれている。

響さんの話にもそのような話が出ていたからね。と、なるとオリジナルの魂が持っている

ログイン権限が融合された擬似魂に付与されている状態になったということかな?

同じ魂が存在するなんて状況は予測されてないし、魂情報が同じならあるえるのか・・・?

う~んこんな状況は予測してなかった・・・」



昴さんは首を捻って唸り始めた・・・なんかごめんなさいメンドクサイ案件で。



「まあ、現実に起こってしまっている事だからいいかあ?」



・・・軽いですね?なんか私達の扱いまで軽くなりそうで嫌なんですが?



「はい、次の質問です!君達すご~~く強いんだって?ゲトリクスが興奮して通信してきたよ?」



あ、それは・・・きっと重い話になる・・・響さんでは説明が出来ない・・・。

私が意識失った時に見た記憶の中に答えがある。チョップで見た走馬灯の記憶。


あの子たちの未来を[奪った私]の記憶。

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