表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エメラルドの血  作者: 山ノ上三条
第一章
49/111

49

マユナの容赦ない台詞によって枕を涙で濡らした私、百合花です。おはようございます。

早朝、千景を見かけました。何か良いことありましたか?元気そうですね。

ああ、もしかしてお楽しみでしたか?10人ですもんね。それはすごいですよね、何かありました?

ありますよね。性豪ですね、やだエロい。そう思い、お約束を一つ、



「ゆうべはお楽しみでしっ!」


ごすっ!!!!



お決まりの台詞を千景に言おうとした瞬間、千景に頭にチョップを喰らいました。

そんな・・・一瞬千景の姿が消えたと思ったら私の正面に・・・あんた、いつのまにそんな俊足に・・・。






何か・・・映像が浮かんでは消えていく・・・

千景と私が部屋でエメラルドの話してる映像・・・。

学校での事、絵のモデルになった私、友人も見える・・・。

お父さんやお母さんの姿も浮かんでくる・・・、ああ・・・これ走馬灯なのかな・・・

千景と一緒に小学校の入学式、七五三、幼稚園・・・そんな映像が浮かんでは消える・・・

そして・・・

ああ・・・お花畑が見える・・・あれ・・・川の向こうに誰か居る・・・何所かで見た人だ・・・

ああ、おじいちゃんだ・・・私、が将だった頃の父方のおじいちゃんだ・・・おばあちゃんも居るわ・・・。



「しょ~う~」



おじいちゃんが手を振りながら私の名前を呼ぶ。



「将~こっちくんな~~(笑)」


「うえっ!?おじいちゃんそれ酷くない!?」


「こっちくんな~」



祖父のあまりな台詞につっこみ入れながらorzになって打ちひしがれてたらおばあちゃんも



「しょう~こっちに来ちゃ駄目よ~」



と声を掛けてきた。

はて?来ちゃ駄目とは?・・・・・・

川・・・? 積み上げられた石・・・亡くなった人・・・? お花畑の先は賽の河原・・・?

あっぶね!ここ三途の川じゃない!そりゃこっちくんなって言うわよね。

有難う!おじいちゃん!おばあちゃん!百合花はまだ死なない運命なのね、そうなのね。


だからこっちくんな、なのね。

百合花思わず泣きそうになったわ、いやかなり泣きそうだった。

あまりに悲しいのでおじいちゃんに文句言いに行きそうになったわ、そして

思わず三途の川渡るとこだったわ、そして死ぬところだったわ、チョップで。

やだ~死因が弟のチョップでしたとか泣ける!



「しょ~う」


「ん?」



また私を呼ぶ声がする、今の私は百合花ですよ?

声の方を見ると母方のおじいちゃん&おばあちゃんが見える・・・何事?



「しょう~」



おばあちゃんが私に優しく呼びかけてくる、ああ懐かしいな。

そんな懐かしさをぶち壊す祖父の一言、



「しょう~こっち見んな~(笑)」


「ええええええええ」



三途の川の向こう側で祖父ズ&祖母ズが腹抱えて爆笑してる・・・。

命助けてくれたのは有り難いけど、ここからかう場面ですかね、それにそんな性格でした?

そんな事思っていたら三途の川から自分の体が離れていくのを感じる。



「ああ・・・お別れだよ!おじいちゃん&おばあちゃん達ちょっとの時間だけど会えて嬉しかったよ~」



幻影でももう会えない人達に会うのはやはり嬉しいものだったようで

そんな台詞を言ってしまった、私ってそんなキャラだったっけ。

ちょっと恥ずかしい・・・。

消え行く人影に手を振っていると



「貴女ともう一人の中の・・・と・・・を助けてあげて・・・3人を・・・宜しくね・・・百合花・・・」



そんな声がかすかに聞こえてきた・・・

そして私はまた走馬灯の続きを見る・・・。

赤ん坊の頃・・・横で眠る千景・・・それを嬉しそうに見ている両親・・・

私が蘭花おかあさんの胎内に宿る瞬間・・・



そして私は

見てしまった。


3つの魂を。そこには私も入れて4つの魂が存在し、

千景の魂と私の魂とが混ざり合い一つとなる光景があった。



そして



私と千景の魂が残り二つの魂を捕食するように取り込んで吸収し、そして新たに分裂し

千景と私に分れる瞬間を。

魂を取り込んだ私達の魂は力強く光っていた・・・。



そうか、あの二つの魂が大志と蘭花の[本当の子供達]なんだ。じゃあ私と千景は・・・。

ああ、なんてコトだ。

私は

本来生まれるはずだった子供の魂を喰らい自らの糧にした挙句、その肉体すら

奪ってしまっていたのだ。

当然、送るはずだった輝かしい人生までも。

自らを呪いたくなる気持ちを抱きながら私は覚醒する。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ