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エメラルドの血  作者: 山ノ上三条
第一章
46/111

46

さて、連歌屋を物理的に〆る事を確認した私たちはフレンチクランを後にした。



「姉さん、フランスクランじゃないの?」


「それなんだけどさ、両方呼ぶのよ。ゲルマン&ジャーマンみたいに

コボルト&コボルドみたいにさ。人によって言い方が違ったりするのよ。

間違って伝わったりしてごちゃごちゃなのよ」


「訂正しなかったの?」


「もう方言みたいに浸透してるんですよね、それ・・・」



虚ろな目の青羽さんが付け加えて説明してくれた。

そうなのよね、日本だってにほん&にっぽんだしね。ちなみに私はにほん派だ。



「さ~じゃあ帰りますよー皆準備はいいかな~?」


「は~い」


「あらあら、夏樹ったら保母さんみたい」



何故か夏樹さんと三咲さんが引率のお姉さんみたいになってる。幼稚園の先生みたいね。

夏樹さんは見た目優しそうな髪の長いおねえさんなので似合ってるわー。

青羽さんは当分役に立ちそうにないしこのまま妖精さんの相手してもらおう。

三咲さんはお孫さんもいるみたいだし流石に手馴れてるわね。

お孫さんか・・・会えなくなってしまって寂しくないのかな・・・。


フレンチクランの転移門から崋山派へと帰ってきた私達なのだけれど

いきなり妖精を11人も連れてきたせいで注目を浴びる事になってしまった。

翡翠配下の妖精に住民登録をお願いして私達は何故かクランマスターの呼び出しを受けた。

まあ結果報告があるし行くつもりだったんだけど、この話を伝えてきた翡翠の顔は

結果報告に行ってくださいって顔じゃなかった。あれ?私、なにかしたっけ?

全員ってことは私が何かしたわけじゃないよね?だよね?。



「帰ってきたね、とりあえずお帰り」



フィンガルの洞窟での話と妖精の移動の説明を円さんに報告したのだけれど・・・

円さんは口に手を当ててずっと沈黙している。

ああ・・・懐かしいな・・・昔もこんな風なしぐさしてたっけ・・・。

転生前に円さんとはリアルで会ってたから付き合いも長いけどまだ同じしぐさなんだね。

私、将の頃は円さんと・・・って今はそんな事考えてる場合じゃないわね、

円さんの返答待ちかあ・・・。うう・・・怒られませんように。



「フレンチのゲトリクスがな・・・妖精11人も持っていかれた、と通信してきてな・・・

救出したエルフ達がお前らの強さが物凄かったとか、説明してな・・・

向こうのクランではお前ら何者だ?って話しになってるぞ?

しかもゲスリクスが昴に報告しやがってたぞ、あ~もうばれちまったよ。

昴に百合花、千景、夏樹、響の話なんかすると興味持つからもうちょっと黙ってたかったんだがなあ・・・」


「ゲスリクスだってぷぷぷ・・・」


「夏樹ー笑い事じゃないんだぞ?お前来たばっかりで昴の事知らないだろうから教えてやるがな、

あいつはこのエメラルドに来た最初の人間で全ての始まりが奴に起因してるんだぞ?

しかも好奇心旺盛だからお前らなんかあいつの研究対象として追いかけられるぞ?

なんたって擬似魂発明したり私たちのエメラルドでの肉体の開発者だからな?

私なんて魔法の実験をあいつに任されて酷い目にあったんだから・・・」



ああ・・・青羽さんに続いて円さんも虚ろな目を・・・

ちなみに私も会った事はないけど[水城 昴]の名前は知ってる。

偉い人らしいけど、困った人でもあるそうだ。



「あ、俺と三咲と青羽ちゃんは関係ないな。この件」



京也さんの俺達関係無い宣言!



「ああ、京也達は関係無いな、報告&子守おつかれさん。んじゃ三咲と疲れ癒してくれ

温泉入ったか?良い眺めだろ?」


「ああ、すげえな。なんつうか水墨画の題材になりそうな絶景だったよ、中国好きには

たまんねえよな。昔も景色良かったが今もいいよな、崋山派入ってよかったぜ」


「そうかい、そりゃよかった」


「んじゃ、将ちゃんおつかれさん♪」


「んぐぐ・・・お・つ・か・れ・さ・ま!」



三咲さんが京也さんの事ごめんなさいね?っていいながら青羽さんを連れて出て行った。

京也さんとは生前付き合いはなかったけど、竜輔さんの友達だけあって私と馬が合う

なんか竜輔さんが側にいる感覚に似てて、嬉しいんだけどその分寂しいな・・・。



「よし、君達4人。昴の所に至急行って呉れ給へ」


「え?」


「返事は?」


「いや、ちょっと待って水城さんって何所にいるの?」


「返事は?」


「だからどこに行けばいいのよ?」


「返事?」


「駄目だわ、百合花ちゃん。このモードの円さんは頑固よ。貴女も経験済みでしょ・・・」


「響さん・・・デスよねー。うん、しってた。はいはい、行きますよー」


「おっけい、付き添いに翡翠連れてっていいから。あいつ開発局よく知ってるから」


「それでいつ行けばいいんですか?」


「ああ、今日はもう遅いから明日な。詳しくは翡翠に伝えてあるから聞いてくれ」


「既に手配済みですか・・・」



円さんの執務室から出た私と響さんはすぐ深いため息をついた。

何も知らない千景と夏樹さんは不思議そうな顔をしている。



「姉さん、話しに出てきた水城さん?昴さんだっけ?どんな人なの?」



私と響さんは水城 昴さんについて知ってる事を二人に話した。


曰く、エメラルドで現実世界の穀物を育てる為に農家の人をスカウトして異世界で働かせたとか。

「俺、ゲームの中まで農業すんの?癒しの為にネットゲーム始めたのに・・・」


曰く、擬似魂製作中に「あれ?ゴーレム作って擬似魂入れて大量生産したら労働力として役にたたね?」といって勝手に人格コピーしようとして流石に他の人から反対されたり

「同じ人格の魂があったら発狂の可能性があるでしょ?」「そうかなあ?いけるとおもうんだけどな」「それ以前に倫理的にあかん」「そっか、じゃあAIみたいに最初から学習させていこか」

「ならええんとちがう?」「ほなやろか」とか言って色んな労働力として活用したり

「僕達の肉体改造して強くしない?。あ、どうせならファンタジーに出てくる

ドラゴンとかどうよ?素材はこの世界には恐竜いるし改造とかして戦力アップしようよ。

そしたらちんたら戦う必要なくなるんじゃないかなあ」

などとマッドサイエンティストぶりを発揮してるらしい、すべて噂だけど半分は本当らしい。



「そんな人に僕ら会うの?やだなあ・・・」


「え~千景君おもしろそうじゃない?私達の強さの秘密調べてくれて更にレベルアップとか

してくれそうじゃん。そうしたら闘いも終わらせられるんじゃない?

平和になったら現実世界に戻る手段もすぐ解決できると思うんだけどな。

それにこの世界を旅してみたいじゃない、なら早く敵をデストロイしないとね」


「夏樹・・・お気楽ね」


「響が真面目すぎるのよ」



正直、私は夏樹さんの考えに賛成だ。

強くなることに賛同ではなく、[平和になる]事だけど。

だってエメラルドにいる私達の仲間は40年以上異世界に閉じ込められて闘い続けているんだし。

皆元気そうだけど本当にそうなんだろうか?精神的に疲れてやしないのだろうか?

はっ!もしかして水城さんが「皆を戦わせるために健康診断と称して精神改造しとこうか?」

とか言って・・・だったらやだな。



私達は宿舎に向かうべく廊下を歩いていると



「お、将。先に帰ってたのか?お前らはどこに救援いってたの?」



連歌屋がのほほんと向こうから歩いてきた、警戒心の欠片も無い顔だ。

全員が戦闘態勢に入ったの言うまでも無い。

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