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エメラルドの血  作者: 山ノ上三条
第一章
26/111

26

「ねえ、将 いいえ百合花ちゃん ちょっと話があるんだけどいいかな?」



・・・瑠璃花から話しかけられてしまった・・・

雄二と千景が私からしれっと離れていった おおう私だけ御指名ですか?

どうなるんだろう私



「ええ、いいわよそれで何所で話しましょうか」


「じゃあ私の部屋でいいかしら」



敵陣ですか それは怖いですね

まあ変な事にならないように気をつけますか 気をつけてどうなるもんでもないけど・・・

瑠璃花と一緒に部屋へ移動した私はいつでも逃げられるようにドアに近い椅子に腰掛けた

今現在の私の気持ちはまな板の上の鯉である あ~瑠璃花の視線が怖い



「えっと、百合花ちゃん 百合花って呼んでもいい?」


「いいわよ私なんて瑠璃花って呼んでるし 敬称つけたほうがよかった?」


「あ、いいよいいよ 貴女から瑠璃花って呼ばれると不思議と嬉しいから」


「あ、そうですか」



ああ、なんかドキドキする これは恋じゃなくて生命の危機に感じるドキドキだよね

なんか瑠璃花との距離がちょっと近くなってる気がするし

いや、物理的に近くなってる 瑠璃花が椅子を少しずつ動かしてる!

瞳に浮かんでる光がなんか妖しいんですけど 蛇に睨まれたカエルの気分が分かるかも

そうこうしてる間に瑠璃花の手が私の手に重なってる おおう これどうしよう。



「ねえ、百合花・・・ 私 将に会えるってずっと信じてたの 長かった・・・40年・・・以上経ったのよ?将はどうだった? また私に会えるって思ってくれた?」


「そうね・・・正直会えるとは思わなかった 私幽霊状態になってたし

それでも瑠璃花を忘れた事は無かったわよ・・・こうして会えるなんて本当不思議だよね

それに私、貴女の孫になるのよ?瑠璃花おばあちゃん会えて嬉しいわ」


「やめてよ、私子供産んだことないのよ それに・・・私・・・将としか・・・」



あらまあそれ以上は言わないで、こっちまで照れてしまうじゃない

あらあら、瑠璃花 頬がピンクになっていてよ?



「将、いえ百合花 私達昔みたいになれるわよね?もう離れ離れじゃない同じ場所にいるんだよ

また昔みたいになりましょう いいでしょう?」



瑠璃花はすがるように私に接していてまるで捨てられた子猫のような目をしてる

ごめんね今から酷い事言うね これは貴女の為なんだよ



「瑠璃花・・・それは・・・無理

私は御園 将の記憶を持っただけの人間でしかないの もう御園 百合花として人格が出来ているし

貴女への愛情は肉親に向けるそれなの 恋人としての愛情ではないの ごめんなさい

千景も御園 将の片割れだけど私と同じ考えだと思う

それにね、瑠璃花 貴女もう自由になっていいんだよ いつまでも将の事想ってなくていいんだよ

その愛情はなくした恋を引きずっているだけのものじゃないのかな ちゃんと終わらせていないから

いつまでも心に残ってしまっているだけなんじゃないかな・・・ そんなの悲しいじゃない」



瑠璃花が目を見開いてこちらをじっと見つめてる・・・

ああ・・・ごめんね 酷いよね でも もういんだよ楽になっても



「私・・・そんなつもりじゃ・・・」


「本当に?瑠璃花よく考えてみて そして答えを出しなさい その結果 私への気持ちが

ちゃんとしたら私もちゃんと貴女の事考えるからって うわあっ!!!!!」



私は最後まで言葉を言えなかった なぜなら瑠璃花にタックル食らったからだ

さて問題です、その結果私は今どこに居るでしょう

正解は ベッドの上です

うええ!?どうしてさっきまで椅子に座っていたはずなのに何故私はベッドにいるんでしょうか?

しかも私の上に瑠璃花がいるのは何故に? あ、もしかして私危険? ワ~オ(あのSEで)

せっかくいい話で終わりそうになってたのに台無しだよ!。



「わたし・・・私の気持ちは本物なの!将への愛は変わらないの!だから生まれ変わりの

貴女への愛も本物なの!だから・・・だから・・・私を・・・貴女も愛して!」


「お、おお?そうなんだ でもね私、女なんだよね だから親愛の情なら持てるかも

今後の百合花にご期待ください。ね?」


「ううん、今後じゃなくて 今 ね?愛し合おう?」


そう言って瑠璃花が私の体を抱きしめた 首筋に顔うずめて完全にその気になってる

ちょっとまってこれピンチじゃ?主に貞操の

倫理的に駄目な奴じゃないかな 倫理的に駄目な赤ん坊たる私が成長して

倫理的に駄目な少女になるって? わらえない~い。



「まって駄目だよ?私、遺伝的に貴女の孫だから倫理的に駄目だからね 私女だし色々ね?」


「そうね、でもいいの 将の魂持ってる百合花ならOK 40年以上待ったんだしいけるいける」


「そういう事でなく!ああもう一線は越えちゃ駄目だから ね?判って」


「・・・私の初めてあげたじゃない?だから私があなたの初めて貰ってあげる

 大丈夫優しくするから 貴女の後は千景君の初めても私が貰ってあげるから」



なんか凄いこと言い始めたけど これ本気で抵抗しないと本当にやばいことになりそうだ!

手が私の体まさぐってるし!あ、駄目そこ・・・って!私の名前が百合花だからって

百合展開はいただけないわ!

もう駄目だ 百合花反抗期に入ります! おばあちゃんだからって容赦しねえ!



「瑠璃花、貴女 ちょっとやりすぎね なので反抗します」


「なんで?嫌なの?そんな・・・」



なんかショック受けてるけど私の反応は普通だと思うんだ

女同士でしかも肉親だし私性癖はノーマルだから・・・多分 初恋したことないし

男性好きになるって感覚が分からないから確実ではないんだけどさ

 まあ同性愛に嫌悪感ないから分からないけどさ。



「と、いうことで点穴!」


「甘い!」



なにっ!防がれた! さすが元恋人私の行動お見通しですか

ならば力ずくで逃げさせていただきますね でないと本当に倫理的にやばいので!

そして私は瑠璃花の手から強引に抜け出そうとするのだけれど瑠璃花もそうはさせじと私の服に手を掛ける ちょっとやめて脱げちゃうから



「瑠璃花いいかげんにして!本気で怒るわよ」


「百合花私も本気なの!本気で真剣なの!大丈夫天井のシミ数えてる間に終わらせてあげるから!」


「それは男の間抜けな言い訳でしょうが!」


「え~じゃあ据え膳食わぬは男の恥? 女だけどさ」


「それは据え膳の前に[美人局]が付くんだよ 美人局 据え膳食わぬは 男の恥って江戸時代の川柳なんだよ罠だと分かっていてもそれに乗るのが男ってもんさあ みたいな感じなのよっ・・・って胸揉むな!」


「私よりでかい・・・なんで・・・いいなあ」



駄目だ・・・もう限界だ なんで皆私の胸揉むのよ

でも諦めるわけにはいかないよね 瑠璃花の気持ちは判るし将としては嬉しいのだけれど

今は孫で女なのでそれに答えるのは無理なの 今は・・・って後でも無理だわ

それに私の後に千景もいただく予定になってるし それは私がいただかれるよりデンジャーよね

これ以上千景にトラウマ増えさせるわけにはいかないの

瑠璃花見てピタゴラ的にトラウマスイッチが入るような精神にさせてたまるもんですか

これは姉として頑張らねば!。



「瑠璃花・・・貴女が私の事抱こうとしてるのは理解したわ でもそうなったら私一生貴女を許さない 千景に手をだしたらもっと許さない 孫として貴女を軽蔑したくないのお願い分かって・・・」


「将・・・」



そういって瑠璃花は力を弱めて私を解放した

やっと諦めて&理解してくれたのよね?大丈夫よね 



「わかった・・・ごめんね・・・私どうかしてた 駄目だよね・・・」


「分かってくれた?気持ちは嬉しいよ でも瑠璃花の気持ちにはこたえられないから

もう私には貴女は家族という感情が芽生えているの だからごめんなさい」


「うん ひっく・・・うん・・・ごめんね・・・うう・・・」



瑠璃花はそういいながら涙を流し始めた

ああもうしかたないなあ まあ、ちょっとサービスするかなあ 健全な方向で 膝枕でいいよね



「ほら、瑠璃花おいで」



私は正座してふとももを叩いた 瑠璃花はゆっくりと私の足に頭をおいてそのまま泣きはじめた

瑠璃花の髪をなでながら声をかけ慰める 瑠璃花が泣き止むまで私は彼女の髪を撫で続けた

そうやって私達が離れ離れだった時間は終わりを告げた。

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