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エメラルドの血  作者: 山ノ上三条
第一章
100/111

97

97話目みたいですが投稿は100回目みたいです。

 昴と百合花が出かけてしまい取り合えず崋山派のクラン員は解散する事になり、また夜に集合する

事になった。そして響と千景は和音、そして妖精達と一緒に中央をめぐる事にした。

既に響、千景、和音は中央に滞在して1週間過ぎており日常生活の範囲内で中央を巡ってはいる

ものの、観光までは出来ていないので丁度いい機会として行動する事に決めた。

中央が初めての者もおり、どこに行くかで話題は尽きない。特に響と千景の言葉尻にある気安さは

1週間の間に構築されたのだろう、そこに和音も入り和気藹々とした光景である。

青春を謳歌している10代の光景がそこにはあった。逆ドリカムな感じで。

その姿を若干離れた所から見つめている夏樹。所在なさげな感じでただ佇んでいるだけなのだが、

いつもの明るい夏樹ではなくどこか寂しげなのは百合花が居ないせいなのかそれとも仲の良い二人

(オマケつき)を見たからなのか・・・。その横には更に所在なさげな茉莉花が。



「夏樹、何でそんな所で黄昏てるの?早く来なさい。茉莉花さん、私達と一緒に中央めぐりを

しませんか?ちょっと大所帯なので騒がしいかもしれませんが」


「私も行っていいの?それは嬉しいけれどお邪魔じゃない?」


「大丈夫ですよ問題ありません」


「そっか、ありがとう。大所帯とは言っても私の姉妹よりも少ない人数だから大丈夫よ」


「あ、そうでしたね・・・」



響が夏樹に声を掛けたのはついでであり本命は茉莉花のほうにあった。

形的に言えば(本当にたとえだが)本妻が響(小鳥)で側室(本当にたとえで申し訳ない)の子が

茉莉花なのである。いわば義理の娘に当たる。色んな感情が響の中に渦巻いているけれども、

彼女達自身に罪は無く、竜輔にも罪は無く、そしてこんな事になった元凶であるオーク共に対しての

薄暗い憎しみだけが響の心の奥に新たに降り積もっていた。


自分の感情を表に出す事無く茉莉花に話しかける響の言葉に賛同する茉莉花。

茉莉花は23人姉妹なので妖精10人くらいでは特に多いとは思わないのかもしれない。

今回、中央を散策するのは、

千景とそのパートナー候補の10人のロリ妖精達、夏樹と響、そして新たに加わった和音、

ダークエルフの茉莉花。以上。



散策開始直後に夏樹がどうしても行きたがったのが女性下着専門店。

千景の必死の抵抗にも関らず夏樹の「千景君女顔だから違和感無いし」に凹む千景を引きずって

妖精達が入店する。「きっといつかは私達もせくしーなパンツをはくの」とおませな考えを持ち

ながらの入店である。ブラはどうした。


先ほどまでの暗さは打って変わって陽気な夏樹に茉莉花は「ああ。お前、頭おかしいもんな」

と理解を示す。夏樹は夏樹で「茉莉花さん酷い!おかしいのは頭じゃなくテンションです!」と、

開きなおり、「お、おお・・・」と茉莉花を引かせる。

しかし先ほどから大きめのブラを手にとっては戻しを繰り返しているのだが・・・夏樹本人用では

無いようだ。そしてカップにレースの付いた白のブラを千景に提示して、



「ねえ、千景君も百合花ちゃんの下着の色は白が正義だと思わない?百合だけに。花柄のひらひら

レースがとても素敵だよね?そう思うよね!?」


「えっと・・・僕はどう答えればいいんですかね?」



いきなりの質問に入店直後から赤面の千景の頭から湯気が出そうな質問を浴びせる夏樹。



「夏樹のおふざけだから真剣に答えなくていいわ、千景君。基本夏樹はスルーしてね」


「響?この答え聞くまで私は引かないからね。ずっと言い続けるよ?なのでファイナルアンサー?」



夏樹の強引な質問に諦め顔の千景。それを面白そうに黙って見つめている妖精達。

決して子供の前で話題にしていい事ではない。だが、千景が返答しなければこの話題は終わらない。

恥ずかしいのを我慢して言うべきか?千景の掌は若干汗で湿っているような気がして手を繋いでいる

リンドとハナエに申し訳ない気持ちでいっぱいになってしまっていた。既に千景の魂は涅槃に

逝きそうである。羞恥心で。



「白で・・・」


「千景君もそう思うよね?だよねー。スカイブルーも捨てがたいけど、あ!でも勿論黒も似合うと

思ってるわよ?だけどだけれども!赤は駄目!いけないわ!それだけは有り得ない!」



店内にて力説する夏樹、羞恥心で真っ赤の千景。取り巻きの妖精達。一種異様な光景が展開されて

しまっていた。既に他の客は周りには居ない。響と和音、茉莉花もそこから離れている。



「響って呼んでいい?・・・えっと・・・夏樹って馬鹿なの?」


「いいですよ、私は茉莉花さんっていいますけどね。そして・・・否定し難いですね・・・。

あのテンションが標準なので・・・。いえ、百合花ちゃんの事が絡んでいるので3割増しくらい

かなあ・・・馬鹿さが」


「響さん・・・私夏樹さんと仲良くなれるか心配です・・・」


「和音ちゃん、決して私から離れないで夏樹と二人っきりになっちゃ駄目よ」


「・・・承知しました」


「・・・姉妹にも色んなのがあるのね。勉強になるわ」



こんな事で得た知識は何の役にも立たない。だがだれもツッコミを入れたくはなかった。

巻き込まれそうで。



「それでそれで、千景君としてはどんな色の下着が好きなのかな?そしてどんなデザインの下着が

お好みなのかしら~ね~妖精ちゃん達も気になるよね~知っておきたい知識だよね~?で、

どないだ?百合花ちゃんに着せるなら千景君のチョイスはどんなかな~スポブラかな~あのカップの

部分がが無くて丸見えのエッチなやつかな~機能性重視の色気無い奴とか~」



一々展示してある物を指差しながらいい笑顔の夏樹。

本当に嬉しそうな笑顔を浮かべて千景との会話を楽しんでいる。



「僕が答えるとでも思ってるんですか?言いませんよ」


「ぶう、残念ノリ悪い~」



本当に残念そうな夏樹。そして千景の答えにワクワク感が止まらない様子の妖精達。

ちょっとおませな妖精達だった。もしここでマユナが居たならば千景への追求は終わらなかった

だろう。妖精達を煽り千景で遊んだだろうことは明白。しかし今回は瑠璃花と行動を共にする事に

なっていたのでマユナは居なかった。千景にとっては幸運だったに違いない。のだが・・・

夏樹のセクハラは続くのだ。



「まあ、弟が姉の下着の色を評価するのって気持ち悪いけどね」


「酷い!?答え損じゃないですか!何でこんな質問したんですか。何か意味でもあったんですか!」


「うん、千景君と響の初体験の時、響が下着のチョイスをしやすくなるように千景君の嗜好を

さりげなく引き出そうと思ってたんだけど。言葉のチョイスを間違えたというか」


「よ、余計なお世話!?ですよね!?響さん!こんな事言われても困りますよね!」


「え、あ、うん、そ、そだね・・・」


「あれっ!?」



顔を真っ赤にして答える響。え、そこは私に対して怒るところでは?と、夏樹は期待していた

リアクションが帰ってこなかった事と響の反応に(これはまさかの展開ですか!?二人の仲が進展

している!)素で驚いてしまった。(あ、そうなんだ・・・そっか・・・)姉として妹の恋愛が

いい感じに進行しているのを嬉しく思いつつも、寂しさを感じずにはいられなかった。

果たしてその寂しさは何に対してのものなのか、いまだ夏樹には気づけないままだった。


夏樹(百合花に着せたい、そして見たい)チョイスのブラとパンツを入手して満面の笑みの夏樹を

最後に呆れ顔のその他が店を出るとそこにはガタイはいいがあまり善人には見られないだろう

ルックスの男と百合花が道の真ん中で口喧嘩をしていた。百合花の後ろにはノームであろう女の子が

隠れているのが見える。それに真っ先に気づいたのは茉莉花だった。



「あ、あれ?あそこにいるの百合花じゃない?なにか男性と言い争っているみたいだけど」



最後尾に居た夏樹が瞬時に茉莉花の側まで移動してきた。神行法の無駄使いも甚だしい。

百合花(ノームの女の子)と男の周りには遠巻きに野次馬が事の成り行きを見守っている。



「本当だ、う~んなにか尋常じゃなく怒ってますね、男の方。あ、危ない!百合花ちゃんの貞操に

危機があ!!ゆ・る・せ・ん!待っててね!今たす・・・け・・・に?」



恐らくは百合花の言葉にいらついたのか男は百合花の髪でも掴もうとしたのだろう、怒りに任せて

手を上げたがそれよりも素早く反応した百合花が背中にひっついているノームの女の子と一緒に

男の背後に回り常人には見えない速度で剣訣を繰り出し点穴した。何が起きたのか理解できずに崩れ

落ちる男。その顔には驚愕が浮かんでいる。そしてその後ろには点穴し終わったポーズで止まった

百合花の姿。その美貌と相まって一幅の絵のように仙女が顕現した。動きを止めた姿とゆらりと

流れる髪のなまめかしさに見惚れる野次馬の男達。何人かはその姿に恋に落ちてしまったのだろうか

目がハートマークである。


が、何人かは遅れて揺れたダイナミックなその大きな胸の揺れ具合に見惚れていた。

エルフだろうがノームだろうがドワーフだろうがおっぱい星人は星人だし。最低である。


百合花の背中に隠れていたノームの女の子も信じられない奇跡を見た者の如く左斜め後ろから、

百合花のドヤ顔(決まった!神行法で移動して素早くツボを打ち抜く動作!いやあ爽快だなあ!

そしてこのポーズ!ちょっと金庸先生の小説のドラマで見たポーズに似てるけどまあ、よし!)

を見ていた。



恐らく周りの野次馬には何が起きたのか理解できたものは居ないだろう。

しかしここには百合花とほぼ同じステータスを持つ人間が4人も居た。

但し、百合花の武技を知っているのは小鳥である響と、後は実体験した千景。



「まあ、百合花ちゃんは将君だからねえ・・・。点穴は十八番よね。あ~あ男の人倒れちゃった。

本当にあの武技広まらなくて良かったわ・・・」


「姉さんえげつないなあ・・・あれじゃあ自力で立てないでしょ・・・」


「え、何?百合花ちゃん凄くない?ヒロイン度が半端無いんですけど!?じゅるり・・・」


「はあ・・・凄いですね。転生・・・いえいえ千景さんのお姉さんは・・・」



響、千景、夏樹、和音の順に感想を述べるが、百合花のちゃんとした姿(?)を見た茉莉花は、



「ドヤ顔がうざいわあ・・・」


おまけ


夏樹達が中央を散策している時に交わされた会話にしておいてください


「店長、さっき契約した幻惑魔法なんだけどさ、実は僕の夢が叶う魔法なんだよ!凄くない!?

ねえ!ねったら!」


「とりあえずテンション下げてください。うざいんで。で、どういう事ですかね?聞きたくないけど

どうせ拒否しても話すんでしょ?ほら、早く喋って!」


「なんだい、つれないなあ・・・。じゃあ言うけど、この魔法を使うと見たい映像が妄想するだけで

・・・想像するだけで見られるということは、だ・・・」


「いや、溜めとか要りませんし」


「好きなキャラとのHが現実に!」


「聴くんじゃなかったアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」




終わり。




ああ、本文に金庸先生って書いちゃった。金庸は中国の小説家です。

まだ日本でツンデレの概念すら無い時代に自分の作品にツンデレ出した偉大な武侠小説の大家です。

東方不敗で有名ですね。

私は郭靖と黄容のカップルが大好きです。

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